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あの大変な筋電図解析が、ウェアラブルセンサーで可能に。

📖 文献情報 と 抄録和訳

ヒトの脚に均一に配置された64個の衣服埋め込み型電極から足首筋の筋電包とそれに伴う足底・背屈トルクを自動推定した

📕Simonetti, Donatella, Bart Koopman, and Massimo Sartori. "Automated estimation of ankle muscle EMG envelopes and resulting plantar-dorsi flexion torque from 64 garment-embedded electrodes uniformly distributed around the human leg." Journal of Electromyography and Kinesiology (2022): 102701. https://doi.org/10.1016/j.jelekin.2022.102701
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[背景・目的] 個人に合わせた運動トレーニングやリハビリテーションのパイプラインを設計するためには、個々の筋肉の活性化と機能的な運動中に発揮される関節トルクを同時に評価する能力に依存する。モーションキャプチャ、フォースセンシング、生体電気記録技術の進歩にもかかわらず、筋の活性化とその結果の力の推定は、依然として臨床的に実行不可能な長大な実験と計算手順に依存している。本研究では、筋骨格系の機能を迅速かつ定量的に評価するためのウェアラブル技術を提案する。

[方法] この技術は、以下3つのシステムから構成されている。

(1) 64個の筋電図電極を均一に配置した柔らかい下衣
(2) 電極を7つの筋別クラスターに自動的にグループ化するアルゴリズム
(3) 足関節矢状面について生じる力とトルクを推定する筋電図駆動型モデル

スライド2

スライド3

その結果、8人の健常者を対象に、異なる興奮パターンを持つ様々な生体力学的動作において、筋の興奮とその結果として生じる関節トルクを正確に推定できる筋特異的電極のサブセットを自動的に選択できることを示した。

[結論] これにより、筋部位の特定や電極の設置に要する時間が大幅に短縮され、標準的な臨床プロトコルにEMG駆動のモデリングパイプラインを適用することが容易になると考えられる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

筋電図解析をやったものから言わせてもらえば、これまでの筋電図解析は3つの課題を有した。

①労力的課題:電極を1つ1つ貼付していく作業は、それはそれは大変なもの。
②技術的課題:筋電図を貼付するポイントの選択、抵抗の落とし方、技術によって再現性にムラ。
③多機種同期的課題:運動学的データとの同期の問題がある

今回の技術では、①、②はかなりの部分解決されている。
③の問題は、一応運動学的データは三次元動作解析から得ているようなので残ったまま。
だが、一部関節トルクは筋電図依存的な推定が可能になっているようだ。

とにかく、ウェアラブルセンサーは、素晴らしい。
研究室にスッときて、センサー付きの服を着て、課題をやって、服を着替えて、帰る。
なんとスマートな世界だろう。
これなら、研究者、被験者双方の負担は激減される。

関連noteに示したが、関節トルクや角速度など、特定のパラメータを限定的に解析できるウェアラブルセンサーが開発されてきている。
求めるのは、運動学的データ、動力学的データ、そのすべてが1つのデバイスで算出可能な、ウェアラブルセンサー。
そしてこれが最も大事なのだが・・・・、安価である。

⬇︎ 関連 note✨

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