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PEDro vs. PubMed。フルテキストの入手しやすさ

📖 文献情報 と 抄録和訳

Physiotherapy Evidence Database (PEDro)はPubMedよりもフリーフルテキストアクセスが良い:観察的研究

Moseley, Anne M., et al. "The Physiotherapy Evidence Database (PEDro) has better free full-text access than PubMed: An observational study." Brazilian Journal of Physical Therapy 26.1 (2022): 100392.

🔗 DOI, PubMed, Google Scholar

🔑 Key points
- フルテキストへのアクセスは、エビデンスに基づく実践に不可欠。
- PEDroでは、51%(95%CI:44, 58)の論文がフルテキストで利用可能。
- PEDroはPubMedよりも4%(95% CI: 1, 7)優れたフリーフルテキストへのアクセスを提供する。
- PEDroによるフリーフルテキストアクセスは、年や場所による変化はない。
- PDF検索サイトは、フリーフルテキストアクセスを9%(95%CI: 6, 14)増加させた。

[背景・目的] 論文全文へのアクセスは,エビデンスに基づく診療に不可欠な要素である.目的Physiotherapy Evidence Database(PEDro)において、全文に無料でアクセスできる論文の割合を推定し、PEDroとPubMedの間で無料アクセスを比較する。PEDroによるアクセスに関する副次的な目的:出版年と地理的位置がフリーアクセスに影響するかどうか、ポータブルドキュメントフォーマット(PDF)ロケーターウェブサイトへのリンクを追加することでフリーアクセスが向上するかどうか、論文の特性とフリーアクセスとの関連性を検証する。

[方法] この観察研究では、2000年から2019年に出版され、PEDroで索引付けされた200件の論文を無作為にサンプルとして使用しました。オーストラリア、ブラジル、ネパール、スペインのデータ収集者が、PEDroを介して各論文のフリーテキストにアクセスしようと試みた。データ収集者1名がPubMed経由で全文を無料で入手しようと試みた。1名のデータ収集者は、PDFロケーター(🌍PDFロケーター >>> site.)を使って全文へのアクセスを試みた。PEDro、PubMed、PDFロケーターサイトから全文を無料で入手した論文の割合(95%信頼区間[CI])を算出した。ロジスティック回帰を用いて、フリー・フルテキスト・アクセスと論文の特徴との関連を評価した。

[結果] PEDroで全文にアクセスできた論文は51%(95% CI: 44, 58)であった。PEDroはPubMedより4%高いアクセス率であった(95% CI: 1, 7)。PEDro経由のアクセスは,時間,地理的位置,論文の特徴によって系統的な違いはなかった。PDF検索サイトを追加することにより,アクセスは9%(95% CI: 6, 14)改善された。

[結論] PEDroは、理学療法士やその他のリハビリテーション専門家にとって、無料のフルテキスト論文の良い情報源である。エビデンスリソース、専門組織、雇用者、研究者、研究機関のすべてが、無料のフルテキストへのアクセスを増やすのに役立つだろう。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

いきなりだが、勉強とは何だろう?
哲学的な問いとも取れるような広範囲な質問だが、僕はこう思う。
「利用可能性を高める営み」だと。
利用可能性とは、たとえば目の前にある1つの論文が、今後自分自身の人生に利用される可能性のことである。
利用されるとは、臨床実用もそうだが、複数知識を統合する際の一部になることもそうだ。

さて、利用可能性は、2つの因子で構成されると考える。
関連性と、敏捷性の2つだ。
関連性とは、当該知識が有するエッセンスを明らかにしておくこと、タグ付け、キーポイントの明確化、にあたる。
たとえば、この論文は高齢者、歩行能力、予後予測、といった要素が入っていることを明記 or 記銘しておく。そうすると、その知識から関連性のシナプスがこの場合3つ出ることになる。このシナプスを有することで、その後「高齢者の歩行能力」について考える際、当該知識が利用される可能性が高くなる。
敏捷性とは、しばらく後に当該知識を利用したくなった場合に、その知識を召喚するのにかかる時間の大小、にあたる。
たとえば、その論文のフルテキストを得るのに、自分のPC検索で3秒で召喚できるのと、大学図書館に依頼して、到着を待ち、資金を支払って2週間後に受け取るのでは敏捷性が全く違う。この場合、前者は利用可能性が高く、後者は「もうええやろ」となり利用されないだろう。

以上のような理由があるため、フルテキストはできればその場で得ておきたい。
アブストだけ保存して、後で必要になった時にフルテキストを、とやっていると利用されない可能性が高まる。
以前、習慣化可能性を高める「20秒ルール」というものを紹介した。

✅ 20秒ルールとは?
- 朝、出かける前にテキストを机の上に出し、その日の夜、勉強し始めるページを開いておく。
- これで、勉強を始めるまでの手間を20秒以内に収めることができる。
- この20秒分の手間のかからなさが、頭によぎる「面倒くさい」を遠ざけ、「気がついたらやっていた」という習慣化につながる。

すべての知識においても、このルールが適応されるのかもしれない。
次に引き出す際の面倒臭さを徹底的に低めておくこと。
それは、知識の統合、勉強の障壁を少なくする営みだ。
今回の抄読論文は、PEDroがその方面に役立つこと、またPDFロケーターというインターネット上のツールを紹介してくれた。
さっそく、自分の論文検索アルゴリズムに組み込むとしよう。
利用可能性を高めるために・・・!

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