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私のための香水 

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100年前の ある挿話_7_世に放たれたNo.5  (完結回)

100年前の ある挿話_7_世に放たれたNo.5  (完結回)

1_彼女の希求100年前の ある挿話_1_彼女の希求|調香師 山人ラボ sunyataperfume (note.com)

2_化学者のジャスミン100年前の ある挿話_2_化学者のJasmine|調香師 山人ラボ sunyataperfume (note.com)

3_特別な香り100年前の ある挿話_3_特別な香り|調香師 山人ラボ sunyataperfume (note.com)

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100年前の ある挿話_6_創られた挿話

100年前の ある挿話_6_創られた挿話

1_彼女の希求100年前の ある挿話_1_彼女の希求|調香師 山人ラボ sunyataperfume (note.com)

2_化学者のジャスミン100年前の ある挿話_2_化学者のJasmine|調香師 山人ラボ sunyataperfume (note.com)

3_特別な香り100年前の ある挿話_3_特別な香り|調香師 山人ラボ sunyataperfume (note.com)

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100年前の ある挿話_5_中世の調香

100年前の ある挿話_5_中世の調香

なぜ、香りに心動かされるのか
100年前の彼女の挑戦と冒険
100年後の今でも、私たちはその香りに魅了される

1_彼女の希求100年前の ある挿話_1_彼女の希求|調香師 山人ラボ sunyataperfume (note.com)

2_化学者のジャスミン100年前の ある挿話_2_化学者のJasmine|調香師 山人ラボ sunyataperfume (note.com)

3_特別な香り1

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100年前の ある挿話_3_特別な香り

100年前の ある挿話_3_特別な香り

100年を経たCHANEL No5
新たな考察

なぜ、香りに心動かされるのか
100年前の彼女の挑戦と冒険
100年後の今でも、私たちはその香りに魅了される

1_彼女の希求100年前の ある挿話_1_彼女の希求|調香師 山人ラボ sunyataperfume (note.com)

2_化学者のジャスミン100年前の ある挿話_2_化学者のJasmine|調香師 山人ラボ sunyatape

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100年前の ある挿話_2_化学者のJasmine

100年前の ある挿話_2_化学者のJasmine

なぜ、香りが精神に作用しうるのか。
謎解きのための、100年前の彼女の冒険。
100年後の今も、私たちはその香りに魅了されている。

1_彼女の希求100年前の ある挿話_1_彼女の希求|調香師 山人ラボ sunyataperfume (note.com)

2_化学者のジャスミン
第一次世界大戦の恐怖が過ぎ去った、パリ。

新しいものと古いものは、乱雑に混じり合っていた。
混沌の中、歓喜も、悲壮

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100年前の ある挿話_1_彼女の希求

100年前の ある挿話_1_彼女の希求

序ある香水は、何故、身体の芯を震わせ、心に響きわるのか.
そうではない、香りとの違いは、何なのか.

当ラボのミッションは、精神に響く”香り”の存在を理解することで、そのために様々な角度から香りを捉える試みを続けている。
香りを理解するためには、物質としての香水のみならず、それを捉える人の仕組み、さらには香りの文化としての一面をも知る必要がある(Fig.1)。

目で見ることができない、現在主力の

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Short story_ある夏の蒼茫

Short story_ある夏の蒼茫

香りの持つイメージを、小さな物語に表す試み
この物語から、あなたはどんな香りがしましたか?

UNWINDER ESSENTIAL OIL_ JANESCE
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庭のレモンの木の前に立ち、目を凝らす。
葉脈だけを残した梢の先。
その先で、緑色の葉を縁から延々と齧り続けるのは、アゲハ蝶の幼虫だ。
ひとつに気が付くと、緑の葉の茂みの、そこにも、ここにも

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東京残香_青山一丁目

東京残香_青山一丁目

***失われていく街の香りを、物語の印象として記す試み****

東京残香 青山一丁目
ラルチザンパフューム L’ARTISAN PARFUMER

TIMBUKTU EDT composed by Bertrand Duchaufour 2004

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あれ、通り過ぎてしまった?
道を間違ったのかも?
思わず歩いて来た道を振り返る。

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東京残香_渋谷

東京残香_渋谷

LUCIANO SOPRANI SOLO

(ルチアーノソプラルチアーノソプラーニSolo)

東京残香******************************

掻き消され失われていく、土地の香りを短編物語に残す試み。

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ビル陰を割って、アスファルトに細く伸びる朝陽。
光と影のモザイクの上を誰もが早足に踏み越えていく。

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Short story_摘み取られた果実

Short story_摘み取られた果実

Figue 香料原料 植物

物語から想起される香り 香りから生まれる物語

あなたはこの物語からどんな香りを感じますか

*********************

今となっては、

私自身が実際にその風景の中にいたのかすら、朧気だ。
防音材の貼られた視聴覚室の黴臭さ。
風に揺れていた遮光カーテン。
色褪せた午後の陽射しを肩に受けながら、ピアノを弾いていたあいつ。
一度も整うことの無かった頭髪

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Short story_水鏡

Short story_水鏡

水鏡  MARIAGES FRÈRES flavor tea_Lotus

***

イメージを想起させる香りがある。香りを想起させる物語がある。
感覚的実体をもたない、個人のイメージに、香りという実体を与える試み。
あなたはこの物語からどんな香りを感じますか?

****

女は怖い。

いまやこの寺の名物、池に咲く満開の蓮の花の周りで、端末のカメラをかざしながら恥も忘れてヒステリックに騒いでい

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Short story_ Mykonos

Short story_ Mykonos

penhaligon's MALABAH

新たな感情やイメージに繋がる複雑な香水は、物語を沸き立たせる。
香りから沸き立つイメージよりも先に、香料原料や成分名、何の香りであるか、が思い浮かぶようなフレグランスでは調香の意味がない。
希少で上質な天然香料を敢えて混ぜ合わせる調香では、失敗すると「何も香らなくなる」。このとき、香りどうしが打ち消し合い、香り立ちはゼロになる。一方、香り立ちの強さや扱

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Short story_マチュアなひと

Short story_マチュアなひと

Antianti vintage perfume White Gardenia, 2018, composed by MACOTT

実験*****香りからイメージへ、イメージから生まれる香り****

久しく忘れていた「伏魔殿」という言葉を思い出した。

富士山を望む美しい植栽のある敷地の庭、ペールグレーの躯体にガラス張りのシックな建物。
このフォトジェニックな佇まいは、美術館かギャラリーのよう

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Short story_芳醇

Short story_芳醇

*実験*****香りからイメージへ、イメージから現れる香り*****

perfume「2019秋天」_ Composed by Tokyo Sanjin

夏も終わりの夕方。目黒通りに傾く日差しは強い。

路線バスはのんびりとバス停に止まった。
そのサイドミラーの端に映ったのは、駆けつけてバスに乗り込んだ女性とその手の先に握られた小さな子供の手。
セーラーカラーの制服に身を包んだ園児の小さな手が

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