【対話による回復】オープンダイアローグって?
先日、精神科医の森川すいめいさんの「オープンダイアローグ」講座へ行きました。
受講してから想いが溢れすぎているので(笑)この精神療法について少しでも知ってもらえるように、講義メモをnoteにまとめます。
素人のわたしの解釈が間違っていたり、誤った情報を載せてしまっていたりするかもしれないので、「いち受講生のレポート」として読んでいただけるとうれしいです!
(これまで時系列で書いていたマガジンの内容からは外れますが、多くの方のお役に立つと思うのでぜひ〜!)
オープンダイアローグとは?
1980年代にフィンランドの精神科ではじまった、対話による治療法です。
現在の日本の精神科医療は入院が中心で、仮に世界に5つのベッドがあるとすると、そのうちの1つは日本のものになってしまうのだそう。
当時のフィンランドも、同じく自殺者数やベッドの数がとても多くて問題になっていたのだとか。寒い地域だとなおさらですよね。
症状が出ると病院へ行き、そのまま入院という流れが当たり前になっていて、30〜40年間をベッドの上で過ごす方々も居たそうです。
そこではじまったのが、薬を使わずに対話によって回復させるというオープンダイアローグ。
1回90分程度の対話を、2人以上の専門家と患者本人、そして本人の困りごとに関わる人たちによって進めていきます。
それを何度か続けると、ゆっくりではありますが8割の人が薬を必要としないほどに回復し、学業やフルタイムの仕事に復帰できたそうです。
日本の診察スタイルとの違い
オープンダイアローグを取り入れているフィンランドの病院は、すべての部屋が診察室というよりも対話室のようになっているのだとか。
日本の病院といえば、無機質なデスクの前にドクターが座っていて、患者とはあまり目を合わせずにパソコンに情報を打ち込んでいく……という光景か思い浮かびますよね。
フィンランドはそうではなくて、丸テーブルの周りにみんなで腰かけて(椅子がマリメッコだったり、部屋の内装もすごく可愛かったです)
それぞれの人の話をテーブルの上に置いていくような形でお話を進めるそうです。
対等な関係性を保てるように、森川さんはご自身のクリニックでは「先生」と呼ばれないことを徹底しているとおっしゃっていました。
そして、対話の場は情報収集の場ではないので、患者のメモを取ることなどは一切しないそうです。
そもそも対話とは何なのか?
日本では患者本人の意見はそれほど重要ではなく、医師をはじめとする専門家によって「正解」が決まってしまいますよね。
症状によって診断が下され、それに合った薬を処方されるのが一般的です。
……でも、表に出ている症状がすべてではないとしたら? 患者本人も自覚できていないような、言語化できないような思いがあるとしたら?
そんなときに効果を発揮するのが、オープンダイアローグ(=対話)なのかもしれません。
対話の場では誰が偉いとか、正しいとかはなくて、それぞれの意見の違いそのものを大切にするそうです。
「聞く人」と「話す人」にきちんとわけて、前者は何かを答えてあげようとせずに、ただ「そうなんだ」と聞いて受け止める。
後者は他人の反応を伺ったり、認めてもらおうとしたりせずに、ただ話したいことを話す。
「話す人」だけがペンを持ち、話し切ったらテーブルの上に置く、という工夫がいいなあとおもいました。マイクを持っている人以外は、みんなちゃんとリスナーになる。
ゆっくりだけど、心に効く
そして重要なのは「本人の居ないところで、本人の話をしない」というルールです。
これによって“置いてきぼり”になって心がこじれることが少なくなるんじゃないかなとおもいました。
どんなに時間がかかっても、ゆっくりペースでもいいから、本人にまつわるあれこれを勝手にまわりが決めないこと。
わたしは実践ワークの時間を通して、「寄り添ってもらう」「ただ聞いてもらう」ということが人間にとってどれほどの癒しになるのかを実感できました。
「経験専門家」と呼ばれる人たち
講座の参加者の方は、医療や支援の現場にいて「オープンダイアローグを取り入れたい」と考えていらっしゃる方や
ご家族が精神疾患を抱えていて、「何とか自分が支えになってあげたい」という思いをお持ちの方が多かったです。
わたしは最近、過去の自分の気持ちを浄化させるためにnoteを書いていましたが
改めて、ご自身やご家族の精神の困難に立ち向かわれている方々のヒントになれるように、経験を書き残していきたいという思いが強くなりました。
森川さんにそのことをお話すると、優しい声と表情で
「フィンランドには経験専門家と呼ばれる人たちがいて、過去にうつを経験した人が、いま苦しんでいる人たちに教えてあげる仕組みが整っているんですよ。
経験した人の言葉がいちばん参考になりますからね。とっても素敵なことをされているんですね」
と背中を押してくださいました(本当に素敵な先生……!)
まだまだ書きたいことはたくさんありますが、長くなってしまったのでこのへんで。
第2回目の講座が8月にあるので、いまからたのしみです!
たいへん励みになります!心のなかでスキップをしつつ、チョコとアイスを美味しくいただきます!