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”これが僕の歩く道” ~世界一周旅日記~ チベット編 【第三章:第6話】雲と地平線の間

※前回までのあらすじ
外国人の入域が許可されていないチベット非解放地区。
そこを突破してチベットの中心地、ラサに辿り着こうと、
スミアキ、rio、デイブの3人は、
警察の目を逃れながら、
ヒッチハイクでラサを目指す。


これまでの旅日記はこちらをご覧ください↓



12/16(これが僕の歩く道)


朝5:00に起きた。

6:00
寒い。

マイナス10度くらいはあるんじゃないだろうか。


震えながらバスステーョンでバスを探す。
ない!!どこを探してもバスが見あたらないぞ!!


っていうか、バスステーョンに人っこ一人いない。
ちょうど通りがかりのタクシーを見つけた。

タクシーを止めて運転手に聞いてみる。


運転手がいうには、
7:00にラサ行きのバスが出るらしい。

まあ、1時間くらいなら待てないことはない。


ヒッチハイクをしよう。
という意見も出たが、
もうラサも近いことだし、
ここでなら、うまく言い訳すれば、
バスチケットも買えるだろうから、
(ここ、パーイーももちろん非開放地区である。)
バスの方が確実だろうということになった。


7:00
バスは依然として見あたらない。

8:00
やっとラサ行きのバスがバスステーションに入ってきた。

これだ。


運転手にチケットの交渉をする。

「2日前までラサにいたんだが、
非開放地区とは知らずに、
ラサからポメまで行ってしまい、
ポメで警察に怒られ、
ラサに即刻帰れ。ということなので、
今、ラサに帰っている途中なんだ。
バスに乗せてくれないだろうか?」

うまく嘘をついてみた。


運転手はそういうことなら分かった。
という身振りをして承知してくれた。

バスの座席は警察の目を、少しでもごまかすため、
皆バラバラの席に座ろうということになった。


9:00
ラサへ向けてバスが出発した。


長かった。これまでの道のり。
この日を、どれだけ待ちわびたことか。
寒さで足がかじかんで、感覚がないが、
そんなものは、もう、気にならない。


行け!!聖地ラサへ向けて!!


バスはラサへ向けて勢いよく進んでいく。
道路には五体投地でラサを目指す人の数も増え、
心なしか、大きな建物も増えてきた。



午後3:00
検問。


バスが停止した。
警官がバスの中まで入ってくる。


前の方に座っているrioさんは、チベット民族の衣装(チュパ)をまとい、
顔もニット帽で隠しているので大丈夫。


デイブは後ろの方に座っている。
デイブの方を見ると、
フードを頭からすっぽりかぶって下を向いて寝たふりをしている。


僕も、フードを頭からすっぽりかぶって、警官の事など気にとめない様子
で窓から外を眺める。


5分程して、何事もなく、警官はバスから出ていった。
3人、ホッと胸を撫で下ろす。



午後4:00
あと少しでラサに着く。


その時


今まで、バスの車内の音楽は、
チベット音楽ばっかりで、
”タシデーレーショッ!”
て歌っている曲ばかりだったのに、
突然、日本語の歌が聞こえだした。
※”タシデレ”はチベット語で”こんにちは”の意味。


(はてな?聞いたことがある。)


(この歌は・・・キロロだ!)


チベットで、
しかもチベット人たちが乗るバスの中で、
キロロを聞くとは。


「ほーら、
足元を見てごらん、
これがあなたの歩む道

ほーら、
前を見てごらん、
あれがあなたの未来」


歌を聴きながら前を見つめる。


左手に茶色い山、
右手には大きな青々とした川、
中央には、
この地域では唯一、
ただ一本だけしか存在しない道。
ラサへと一直線に続く一本の道。

バスはその道路を、
ラサへ向かって突っ走っている。


そうか、
これが僕の歩く道なのか。


それから………


バスにゆられること2時間。



午後6:00
バスはとうとうラサに着いた。


まる7日間シャワーも浴びれていない。
やっと体を洗える。


持ち物は、もはや、手提げ鞄とCDウォークマン、
オーストラリアドル、
あとは少しの小物と、現在着ている衣服のみ。


でも、これでやっとラサへの長い旅も終わる。


僕、rioさん、デイブの3人はバスの乗車口の階段
をゆっくり踏みしめるように降りていく。


そして、ジャンプするようにして、バスからラサの
地面に降り立った。


街だ!
まわりには、
活気の溢れる声が飛び交っている。

通りを行き交う僧侶が見える。
線香の匂いが立ちこめている。
物乞いの姿も見える。

目が3つある、おどろおどろしい仏像も見える。

画像1

3つ目の仏像

辺境の都。
チベット仏教の聖地。

ポタラ宮

ポタラ宮

これが・・・ラサか。

「やったな。」
「やったよ。」
「これからは、警察の目の前も平気で歩ける。」
「いつでも、飯が食える。」
「シャワーも浴びれる。」
「ビールも飲める。」
「オレ達は自由だ。」


僕とrioさんとデイブはにやにやしながら、
それぞれが、右手でにぎりこぶしをつくった。

そして、かけ声と同時に3つのにぎりこぶしを、
ガツンとつき合わせた。


<次号の旅日記は7月23日です!>

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