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何度だって運命を変えてやれ。アラサー大阪人が挑むアメリカのレイオフ市場

「世界で挑戦する」という夢を夢で終わらせないために私は新たな決断をしました。

資金もコネクションもスキルさえ何もない状態からパンデミック真っ只中で起業し、挑戦しては失敗し、また挑戦するといったことを繰り返しているうちにすでに2年半が経っていました。

いつも私の中には「このままでいいのだろうか」という気持ちや迷いが渦巻いていて、刻一刻と時間だけが過ぎていくことに対して毎日焦燥感を抱いていました。

しかし今の私の中には迷いがありません。それは世界に挑戦する方向に舵を切り始め、腹を括ったからです。

私が初めてぼんやりと世界に挑戦したいと思ったのは2012年のバングラデシュ滞在中でした。なんとそれから11年かかりました。もっと早く挑戦していたらと思うものの、過去を取り戻すことはできません。

もしかすると過去の私のように、自分の本心に蓋をしてしまっている方もいるかもしれません。私はずっとそんな人の背中を押したいと思って行動し続けています。


今までの話

私は2012年に初めてバングラデシュを訪れそこで国の活気に魅せられ、日本以外の国で仕事をするという選択肢もあるのだと知りました。
しかし、大学を卒業後にすぐ起業をする勇気はなく、ひとまず会社員として基本的なスキルを身につけようと思い、日系の経営コンサルティングファームに入社、超絶優秀な先輩たちに揉まれながら2年半を過ごしました。

前職同じ部署だった尊敬する上司や卒業された先輩たちと。お世話になった上司の送別会に関東在住のメンバーが集結。

そして退職後にバングラではなくなぜか中国へと渡り、パンデミック前に帰国。資金もスキルもネットワークも全くないため消去法でフリーランスとして独立し、2020年に法人成しました。

過去の自身についてはこちらのnoteにより詳細を書いていますので、よければそちらも読んでみてください。

当時の私はXRの将来性や可能性に魅せられ、XR(VR/AR/MRの総称)技術を活用した業務改善支援や開発をメイン事業としてはじめ、のちに3つのXR関連サービスを相次いでリリースしました。

元々、会社員時代からBtoCというよりはBtoB、そして興味があったのがITや業務改善、効率化などの領域だったのと、当時、私が見る限りではXR領域はまだまだエンタメやゲーム領域の会社が多かったことから、BtoB向けにXR技術を活用した業務改善支援を提供しようと思いました。

そこでXR×DXの文脈で「Beauty AR」や「バーチャルECストア」というサービスを相次いでリリースしました。
詳しくは以前のnoteに書いていますが、これらのサービスは投資家の目を引けど、本当にお役に立ちたい事業者様のクリティカルな課題解決にはなりませんでした。
そこで再度、みんなが何に困っているか、自分の強みを活かしてどうしたらお役に立てるかを考えた時にたどり着いたのが「Match XRs」でした。

周りの同業者さんや仕事を探している友人がXR業界の人が足りない、XRの仕事をしたいけどどうやったらいいかわからないと言っていたので、私がそのパイプ役になろうと思い、XR業界に特化した採用・就職のプラットフォームを開発しました。

私の中の違和感

しかしそれでも私の中ではずっと違和感がありました。

Match XRsをリリースしたのは約1年半前になります。私はまだ1円も広告にお金をかけたことはありません。
チームも非正規雇用のメンバー以外は採用せず、再現性のある業務は全て自動化して対応するようにし、個人の裁量に頼らないで済む方法を模索していました。

それは、日本にローカライズしてしまうことに恐れがあったからです。初期の社員が数名以上日本人で構成されてしまうと、おそらくかなり頑張らないと公用語は日本語になってしまいます。
そのまま事業が大きくなり全てが日本属性になった場合、本気でグローバルに舵を切ろうと思っても立ち上がりのフットワークが重くなることが容易に想像できます。

ちなみに、私はXR×HRのこの採用・就職マッチング領域においては、サービスの開発を自らが行い、イベントを企画して、三現主義で実際に企業さんやクリエイターさんのデモを試し、現場に足を運んでいるような同業者は少なくとも国内では私しかいないという自負があります。(開発を除くと何名かいるかもしれませんが)

Egg Forwardさんのオフィスをお借りしみんなでXR体験会
Snapさんの提供するLendsStudioを使ったARフィルターの勉強会を開催
イベント系にも度々足を運んでいました(Nrealさんのイベント)

また最近では海外に強いイメージがあると相次いでおっしゃっていただくことが増えてきて、確かにXR業界の国内外を含めた包括的なキャリアの相談や採用のサポートをさせていただけるのもうちの強みだと思っています。

ご利用者さんから「XR関連のエンジニアを見つけたい人には、このサービスをチェックすることを強くお勧めします!」と嬉しいコメントをいただきました

また、例えばキャリア相談を申し込まれる方は必ずしも転職だけを考えているわけではないケースもあるため、中長期的な視点で独立や海外進出も踏まえた包括的で本質的な対応を心がけています。

今では国内外を問わず、XR関係者の皆さんからイベントや集まりなどにもお声がけいただいたり、ご依頼していないのに近況をご報告いただいたり、デモをお見せいただく機会も増えてきて、そのときは本当に嬉しい気持ちでいっぱいになります。
それくらい私はXRの業界も人も本当に大好きです。

去年の今頃に初めての渡米から帰国し、早速Match XRsの英語対応を始めました。ポツポツと海外からの問い合わせや登録者さんが増えてきましたが、やはりまだベースは圧倒的に日本の色が強いと感じていました。
VRの人口が一番多いのはUS(アメリカ)のため、世界を舞台に事業を伸ばしていくにはまずはUSで使われるサービスにならなくてはと思いました。

Deel社はじめいくつかの企業様とのアライアンス提携やリリースが終わって、すぐに意を決して人生2度目のサンフランシスコに飛び立ちます。
私はそこで現地の起業家と一緒に行動したり、イベントに参加して、ユーザーさんと利用企業さんを増やそうとしました。
しかし反応は梨のつぶて。
また、私は現地で圧倒的王者、「LinkedIn」の存在感を肌身をもって痛感します。

川島さんのご厚意でNiantic 本社(US)にお邪魔しました
友人の中原さんに誘っていただき現地のXRイベントに参加

ビジネスシーンではLinkedInはマストアイテム。
少しでもビジネス上で何かありそうだと思ったらみんな名刺の代わりにLinkedInのアカウントを交換します。
またそのほかにも日本と同じく、Monster, Grassdoor, Hiredといった数えきれないほどのリクルーティングサービスがありそれらのプラットフォームはしのぎを削っています。

私は会う人全てにMatch XRsをプレゼンしました。面白いといってくれる人もいましたが、登録してくれた方は本当にごくわずかでした。

ターニングポイント

ちょうどUSでの仮説検証などが一通り落ち着いたタイミングで、リモートチーム向けのオフサイト企画・管理ツールRetreatのCEOであるShunさんから、「よかったら相談に乗るよ」とご連絡いただきました。


この時ご相談に乗っていただいたあとに、「よかったら定期的に事業相談に乗ろうか」とお声がけいただき、二つ返事でお願いすることに。
そこから、うちともう一社Nostal Homesというクロスボーダーの物件売買事業を展開するTakaさん、Ryoさんと2社3名のメンティー、Shunさん、モバイルで使えるdappsを開発しているLightの柿木さんをメンターとしてFellowshipという形で中長期的にメンタリングしていただくことになりました。
土日も年末年始も毎日欠かさず日報を送り、週次で進捗を共有、ご相談したいことがあれば別途メンタリングをしていただきました。

このように2社とも休日関係なく日報を毎日共有。

最初はMatch XRsについてご相談しており、日本へのローカライズについての懸念を漏らすと「USの人にヒアリングしたほうがいい」とアドバイスいただきます。
この頃の私はリーディングはだいぶ慣れてきてはいたものの、スピーキングはまだまだ自信がなく、口頭でのやり取りを避けていました。
でも「それもやるしかないんだ」とお教えいただき、勇気を出してDMを送ったりコミュニティに参加するなど、アクションを起こし始めました。

また少しずつですが以下のように欧米や欧州、アジアなど国を問わず世界中のXR事業者の方や友人伝いでのご紹介もいただけるようになってきてはいました。

香港の友人からUSのXRスタートアップファウンダーのご紹介
ARゲームエンジニアの相談
海外のXRコミュニティの運営者から突然のDM

そして多い時には1日に400通のDMを送り、MetaやTiktokなどのXR企業からレイオフされた方々と毎日面談をしていました。

11月末のスケジュール
XR企業に所属していた就活中の求職者さんにヒアリング兼お仕事のご相談

そのときに皆さんが抱えていた課題は「XR業界に全くこだわらないのでいますぐ仕事を紹介してくれ(給与オファーも下げる)」というものでした。

つまりこの人たちにとっては業界に特化しているかどうかより、仕事ができるか、ビザを発給してくれるのかの方が断然優先順位が上でした。

また、GAFAはじめBigTechがレイオフし始めたニュースが日本でも取り沙汰されるようになってきたのもこの前後でした。


via trueup.io / 2022年はテック企業だけで1,000社以上が実際は16万人の従業員をレイオフ

求職者が溢れているこのタイミングで世界を舞台に就職や採用のサービスを行うのは難しいのではというのと、XR業界特化であるというアプローチは日本では一定の需要があれど、グローバルな視点で見たときには「なぜLinkedInではなく、Match XRsを使うのか」が業界に特化しているだけでは弱いどころか、ユーザーの抱える課題に(現状は)刺さっていないと感じました。

そしてShunさんに事業相談に乗ってもらううちに、新しい事業を開始することを考え始めました。

私がやりたいことは日本で成功することなのか、世界で挑戦することなのか…もっと広い視野で自分の事業や人生を俯瞰する機会が増えていきました。

昔から言い続けている私が人生を賭けてやりたいことは2つあります。

  1. 世界で挑戦する

  2. 自分のマンパワーを世の中に還元する(≒社会貢献する)

USに実際に足を運び毎日何名ものエンジニアやデザイナーと話し、今の事業で世界を目指せるかと考えた時に、自信をもってYESと言えない自分がいました。

そして、Match XRsをやりながら、まずは0ベースから日本だけではなく日本を含む世界全体で課題がありそうなものはなんだろう、と再度事業アイデアを考え始めました。

  • エージェントのためのデータ管理ツール

  • 代替のHRパッケージ

  • 補助金を自動申請できるサービス などなど

時流としてはWeb3がかなり盛り上がっているときでしたが、私にはあまりビジネスとしてのマネタイズイメージなどが湧きづらく、元々自分に知見があり、かつ自分が会社員時代から解像度が高いBtoBであまりキラキラしていない、比較的地に足がついたような領域にフォーカスして考えていました。

ちなみに、初めてWeb3という言葉を知ったのは2021年の年末で、初めてSF(サンフランシスコの略)に行った時にそこでシェアハウスに一緒に住んでいるファウンダーの皆さんに教えていただきました。
その後、半年遅れぐらいで日本でも急速に盛り上がってきていたので、やはりUSでウェーブが生まれて、時差で日本にトレンドが流れてくるんだと感じたのを覚えています。

ウォーレンバフェットの言葉を借りるなら「自分が理解していない投資を始めたり、先週ほかの人が儲けたからといってやり始めたりしても、上手くいくことはない。 最低なのは、株が上がっているという理由で買うことだ。」ということで、今まで通り自分が理解もしくは実際に困っている人から話を聞いてどんなことが課題かがわかっているものをやろうと思いました。

レイオフを手伝うサービス!?

そして、たどり着いたのがレイオフの領域でした。

以前、SNS上でレイオフされた方が会社から受けたサポートについての投稿していました。

  • 数ヶ月分の退職金

  • 福利厚生のサポート

  • 再就職の支援など

会社側でかなり手厚く支援をしてくれるんだなあ、と当時はぼんやり思っていました。

しかし、よくよく考えると人事の人はレイオフの期間これら全ての業務に携わっていてとても大変なのではないだろうかとも思いました。

その時にXR企業からレイオフされた人たちの課題を同時に思い出しました。会社で再就職の支援などを行なっているのにMetaのシニアクラスの人でもなぜすぐに次の就職が見つからないのだろうと。

そこで私は過去にレイオフがあったUS企業の人事トップにアポをとり、ヒアリングをしていきました。

2月のスケジュール

そうすると、現場は膨大な業務を抱えていることがわかりました。

そこで、私は年内はMatch XRsに集中することを決め取り組み、年明けから新規事業のコミットも増やしていこうというふうに決めました。

元YCのパートナー、ダニエル・グロス氏が立ち上げたアクセラレータにてMatch XRsが世界ランク16位にイン(2022年12月31日時点のランキング)

レイオフの事業は年明けからステルスで少しずつ仮説検証を進めていました。

過去複数のサービスをローンチした経験は学んだ反省点から、以下の点に注意するよう心がけていました。

  • 世界水準の課題か

  • 課題が検証できる前に開発しない

企業はパンデミック期の金利低下で過剰に人を採用したものの、市場が回復してくると同時に金利が上がってきたため、財務調整などをする必要が発生しました。
しかし、人事は通常の業務に加え、レイオフ実行のプラン作成や退職パッケージの準備、さらにはレイオフされた人たちの再就職の支援まで行わなくてはいけません。
もちろん外部に委託することもできるのですがその場合は例えば法務の部分などを依頼すると一人当たり$3,000〜6,000と高額な委託費(機会損失も踏まえると$8,000〜/人)がかかるため、大企業以外は社内で対応しているところがほとんどでした。
しかもUSは日本とは異なり州ごとで法律が異なり、グローバルなチームも多く当然国ごとに法律が異なります。それらがさらに人事の業務をややこしくしていました。

また実はレイオフというのは今回だけではなく、日本以外の国では四半期や決算時期ごと、多い会社だと毎月5-10%ほどの人員調整が定期的に行われています。

パンデミック前から毎年1.5-2.5Mの人員調整が行われている(農業従事者を除いた数字)

これでは企業として本来、会社や業界を成長させていくための今後の戦略設計や採用、そしてレイオフされた方々のサポートなどに十分な時間を割くことができません。

数百人規模の企業で人事トップだった方は2ヶ月間退職者サポートしかできないほど忙しかったと言っていました。なかには期間中に何十キロも痩せてしまう方や最後に自分で自分の首を切ってしまう人もいる。

とあるCHROは過去にM&Aでレイオフせざるを得なかった時の話をしてくれました。その会社は500名の事業部を丸ごとM&Aする必要があったものの、買い手が500名全員を欲しがったわけではなかったので、120人規模の従業員をレイオフすることになったそうです。
「その後、人事部員全員でワインを飲みに行ったのですが、みんな泣いていましたね。本当に申し訳ない気持ちでした。」と言っていました。

日本から見るとUSなどではレイオフが常態化しているため、とてもドライなイメージがありますが、やはり人事も人。
心を痛め、現場は煩雑な業務と過剰なストレスで疲弊してしまっていたのです。

そこを私たちは請け負うことにしました。
つまり、レイオフ時における各社ごとのレイオフプランやスケジュール作成、各州や国ごとに応じた退職パッケージや契約書の作成、さらにはMatch XRsで培った知見を活かして、今度はXR業界だけにとどまらずにレイオフされた従業員のみなさんの再就職支援までを一気通貫でお手伝いします。

同時に、日本法人だけでこの事業を行うのが難しいと判断し、新たにUS法人を設立することに決めました。

名前は「Newond」です。(旧:Rebootr)
"Ond"は"Origin and Destination"の略で、Newondという名前には「新たな出発地と目的地」という意味が込められています。

正直なところ今のUSは景気が低迷しており、例年に比べて今年は新しいスタートアップも生まれにくいと思います。しかし、私が日本で起業したのもパンデミック時、リモートの中でもあらゆる方法を試し、工夫して営業活動や開発を行っていました。

もはや「やったことがない」は私にとってスタンダードです。
デザインやサービス開発はもちろん、法務やXR、HR業界の知見やスキルも実務をやっていくなかで後から独力で身につけました。おかげで今では何度でも0→1でサービスを立ち上げられる自信がつきました。

過去の積み上げでしか未来を決めれないのであれば、これだけ早い環境の変化にどうやってついていき、さらには自分で時流を作っていけるのでしょうか。
美しい桜が咲くには寒い冬が必要です。

不景気の波を何度も乗り越えたAirbnbがそうであったように、環境が悪いときにそれを乗り越えられた企業や人はその後どんどん強くなれると信じています。

現在はすでに複数の企業でHR業務を行なっていたプロフェッショナルやHR企業の経営者が参画してくれています。

実際に7社の企業で人事トップをしていた方や1,000名以上のレイオフに携わった方などもいらっしゃり、「ちょうど同じことに課題感を抱えていたんだ。だから、あなたが連絡をくれたときに興味を持った。」とおっしゃっていました。

私がよく聞いているバーニングキャストでもAutifyの近澤さんは「Notionなど(BtoC)の拡大戦略を考えるとBtoBはやることが明確だ。これなら勝てると思った。」とおっしゃっていて、私も元々BtoB領域に従事していた経験から同じことを思いました。

アメリカで本格的に事業を開始する

現在、私は日本を離れアメリカにおります。

年明けから少しずつ動き始めたこちらの事業ですが、US渡米前後から以下のような動きがありました。

4月にNewondでエントリーしなおしてからもPioneerで最高2位を記録(Match XRsでは最高16位)
5月にUS法人設立
6月に開催される、フォーチュン500社、先進的スタートアップ企業、世界的なスピーカーが参加する「北米で最も急成長している技術カンファレンス」と呼ばれる"Collision"への出展が決定
8月から始まるシリコンバレー発の女性起業家向けプログラム"PROSPERA WOMEN"に参加予定

また、今まで日本法人の方はずっと100%自己資本で事業を行なっていましたが、今回は自分自身でも桁違いに大きな事業になる手応えを感じているため、先にUSで事業をされている先輩方からもアドバイスをいただいてエクイティファイナンスを始めました。(US法人の方)

すでにエンジェルとして、日本法人の創業当初やMatch XRsのときからお世話になっている経営者さん方や、名だたる経営者の方々がNewondや新たな私たちの未来に期待してくださり、出資のコミットメントをくださっています。

この時点では旧サービス名のRebootrになっていますが、2位まで来れました。ちなみに1年前は万年圏外だったので、自分でもTopランカーになれるとは思っておらず本当に嬉しかったです。
出展のため6月末は人生初のトロントへ。自社の展示会も今回が初めてなのでとてもワクワクしています。

正直な話をすると、私はこの事業をやろうと決めたものの不安もありました。まずはランニングコストの高さ、二つ目がサービスのイメージについてです。

USのランニングコストは日本と比べ物になりません。
Cosme Hunt CEOのクロエさんが以下の投稿をされていて、おっしゃるとおりだと思いました。本当に息をするだけでお金がかかります。

余談ですが、2019年バングラで化粧品のECをやろうとしていたのでクロエさんの記事を読み漁ってました。4年越しに偶然SFでお会いできめちゃくちゃ感動しました。

私はサンフランシスコにいる際、少しでもランニングコストを抑えるべく治安が年々悪化してきているDowntownに宿泊していますが、少し路地が違うだけで多くのホームレスの人たちがいたり、注射器が落ちていたり、万引きも950ドル(≒13万円)以下は現行犯で捕まらないので新しくできるお店が数ヶ月で潰れることもしばしば。夜中に奇声が聞こえるなどは日常茶飯事です。

滞在先のすぐそばの路地 via The Guardian

SFに始めて来た最初の頃は、海外や一人旅の経験が複数回ある自分でも、治安が良いエリアの昼間でさえ外を歩くのが怖かった記憶があります。

リアルタイムの911にアクセスできる「Citizen」というアプリまであります。点が、暴動や事件があった場所。赤>オレンジ>グレーの順に危険度が高くなります。滞在先の数mが赤くなってたこともありました。

とはいえ、SFでの過ごし方はかなり気をつけているので、まだ催涙弾のようなものを投げられたり、ホームレスの人に話しかけられたりする以外は致命的な出来事に遭ったことはありません。(ホームレスの人と話したこともありますし、目があったら挨拶してくれる人もいるので、みんながみんな悪い人たちじゃないとは思うんですが、明らかに治安は良くないです。)
逆にいうと、SFで挑戦している人は危険と隣り合わせのリスクをとってでも事業を選んでいるんだなとも思ったり。

またサービスへのイメージについては、世間に誤った解釈をされてしまわないか、反感を持たれないかなどいろんなリスクへの不安もありました。実際に以前、CyberAgentさんのMonthly Pitchに出させていただき、その内容がBridgeで一定期間ピックアップされたときも、SNS上では賛否が分かれていました。



またUSに来てから仲良くなった何名かの友人らから過去にレイオフされた話などを聞くと、この人たちは私のサービスを本当はどう思っているのかとも思いました。

しかしだからこそ、誰もやりたがらない。チャンスだと思いました。

人が嫌がってしないビジネスをやれ!

孫正義

私の目指す世界線は昔からずっと一貫しています。

それは、「自分の国籍や性別、年齢にとらわれずに何度でも自分の人生に挑戦できる社会を創る」です。

私は小さい頃、決して裕福とは言えない家庭で育ちました。また、母は幼少期からすごく苦労人だったので、とても優秀な人であるにも関わらず、いろんなしがらみの中で自らの夢や時間を犠牲にしている姿を見てきました。
そして自分自身も中国に渡った時に、自尊心を失ったことで同じような境遇の方の力になりたいと強く思いました。
母は勉強を欠かさず、10代の頃からずっと仕事で成果を出し続け、50代になった今なお新しいキャリアやポジションに挑戦し続けています。
また父も、母や私とはキャリアの歩み方が全く異なるものの、平社員から最終的には組織のトップにまで上り詰めました。
コツコツ真面目に働く父や仕事だけでなく遊びもいつも全力の母を見ていて、私も大人になってから勉強しても遅くないと思い、やりたいことを諦めなくなりました。

私は、家がお金持ちだったわけでも、何かの才能があったわけでも、世界的に有名な大学を卒業したわけでもありません。しかも地方の出身です。(生まれは大阪の堺市というところですが中学からは和泉市という地域で育ちました。)
本当に、何の取り柄もない平凡な人間でした。
ただ、本当に自分がやりたいことは何かということに向き合い続けていたら、いろんな方が応援してくれるようになり、掴んだチャンスに複利つけて、自らも学びや挑戦をやめないことで芋づる式にここまでくることができました。

なので自分の境遇や環境で夢を諦めている人がいれば、行動すれば変わると伝えたい。

そのために、私はこのレイオフのシステムそのものに革命を起こしたいと思っています。

過去には感染症、戦争、金融機関の破綻などがあり、もはや明日は何が起きるか誰も予測することが不可能です。
そのような世界では、雇用だけでなく働き方もより多様になってくるでしょう。そうなってきた時に、レイオフをネガティブなものとして捉えるのではなく、本当にやりたい夢に挑戦するできた過去の自分のように、「機会」として捉え、行動できる人を増やしたい。

人事の人が本当にやるべき同僚と向き合う時間を捻出できるようになり、ひいてはそもそもの人事戦略や採用、マネジメントに集中できる環境を作りたい、そして働く人たちがより良い人生を描いてもらえるようにしていきたい。

結局、全ては個人に紐づくと思っています。

そして私は自分が力になりたい人たちのために、まずは自分自身が何者かになる必要があると思っています。

同じアジアでも中国や韓国籍のファインダーはたくさんいますが、USは本当に日本人の起業家が少なく、さらに女性の創業者となると数えるほどしかおりません。(ちゃんと事業をやっている人は知ってるだけで3, 4名くらい)

また私が尊敬している、USで事業をされている同性の経営者さんに「こっち(US)では女性だからといって下駄を履かせてもらえたり、無料でもいいサービスじゃないとそもそも使ってすらもらえない。BtoBなら売上、BtoCならユーザー数が全て。」といわれ、本当にその通りだと思いました。

実力だけを見られるという点ではとてもフェアなフィールドだと思いました。

私は実際、「女性」起業家と区別されるのがあまり好きではありませんでした。しかし、大袈裟かもしれませんがマイノリティの立場の人たちは、皆何らかの使命を背負っていると思います。
例えば私であれば、ただでさえ日本人が少ないUSでさらに少ない女性として挑戦する。私が成功すれば、それをみたマジョリティはもちろんマイノリティの方々を勇気づけることができ、自国から次世代を担う新しい挑戦者が生まれてくるかもしれません。

メンターと話をしていて、これは私だからこそできることだと思いました。
それならこんなにやりがいがあってチャレンジングなことはないなと、改めて、自分を鼓舞するプラスのパワーに変えることができています。

さいごに

Team Fellowship(念のため、右上が私)
皆さんいらっしゃらなければ、きっと私はUSにまだいませんでした。

Nostal HomesのTakaさんとRyoさんとは共に数ヶ月間、Fellowshipの同志として切磋琢磨することができました。お二人のコンビネーションや事業への進め方にたくさんの学びをいただきました。

また実は初めてのUSでTechHouseにお邪魔した時に、自分が原因で口論になったことがあるLightの柿木さんは、そんな過去があっても再度自分を受け入れ、事業の相談もいつも親身に乗ってくださいました。

また、投資家の皆様、顧問税理士さん、顧問弁護士さん、そしてUSスタートアップの皆さんには日頃からとてもお世話になっています。

最後に我がメンターであるShunさんにはお礼を言っても言い切れず、必ず結果でお返ししたいと思っています。
ご本人もスタートアップファウンダーゆえ、毎日超多忙であるにも関わらずいつも圧倒的GIVEの精神で応援してくださいました。

実は何度も挫けそうなことになったこともありました。USに行くこともいろんな理由をつけてずっと先延ばしにしていました。

しかしShunさん自身が、私が現在課題として感じていることを過去に全て乗り越えられて今事業を急成長させている。いつもかけていただく言葉は本質的なものばかりでした。言い訳できないとも思いました。

先日もShunさんとお話ししていたとき、1年半前にはじめて会ったときから私の経過を見守ってくださっていて「最初の頃から本当に変わったね」とおっしゃってくださいました。

事実として、Newondに辿り着き、会社をUSで作って、どんどん次のステップに進んでいる、これは間違いなくShunメンターやチーム Fellowshipの同志の皆さん、日頃から応援してくださっている方々のおかげです。

人々の困っていることを解決して、その人たちの人生がより良いものになるようお手伝いしたい。その結果として事業が大きくなり、今までお世話になった人や地域に恩返し、後世に恩送りしたい。

まずは5年後、10年後この答え合わせをします。

(サムネイル写真:BRIDGE


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