オリジナル連載小説 【 THE・新聞配達員 】 その97
97. 一か八か
京都の住所はややこしい。
でも『西入ル』は西に曲がれということだから
逆に分かりやすいとも言える。
ナビゲーション機能つきだ。
もちろん西がどっちか分かればの話。
まず太陽の位置を見なければならない。
夜ならば北極星の位置を。
方位磁石を持ってくれば良かったのかも知れない。
この辺りだけど下宿らしい建物が多く、
目星をつけるには数が多すぎた。
「ん?『川口』の表札!これか?あの電話に出た川口氏がいるのか?なぜ電話を保留に出来ないのか聞いてみたいぞ。