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事実は小説より奇なり

天皇杯決勝。ルヴァンカップ決勝。
立て続けに大きなカップ戦のタイトルマッチが行われ、つい先日は肌寒くなってきたなと思われた日本にも、また熱気が返ってきましたね。風向きが変わったんでしょうか。
このまま夏、春って逆戻りするんじゃないかと心配になっているのは僕だけですか。
地球の自転逆回りになってる気がするのは僕だけですか。

全国では高校サッカー選手権の県予選が行われている頃でしょう。
僕は高校を卒業してもう6年たちますが、今でも母校の結果は気になります。昨日、ちょうど母校の試合があったので、遠方から結果をTwitterで見るくらいしかできませんが、母校が勝ったら夕飯焼肉にしようかなくらいには賭けました。
負けました。
焼肉食べました。
だって悔しかったんだもん。

ところで話は戻りますが、思ったより行き過ぎたのでスタートまで戻るワープ使わせていただきますが、天皇杯の決勝戦観ましたか。
めちゃくちゃドラマでした。
途中、香川照之さんの土下座が見えるくらいにはドラマでした。

ドラマってこうやってできてるんだなっていうのをひしひしと感じる試合でした。ちょっと見方間違えてる気はします。でも、鳥肌たった。涙出た。
2011年のチャリティーマッチでキングカズが点決めた時の感動は超えなかったけど。

こういう時上言っちゃう人いますよね。
あえて上言ったつもりでもそれさえも超えてくる人が本物なのかもしれませんね。

何の話ですか。

第102回サッカー天皇杯決勝戦。
サンフレッチェ広島 vs ヴァンフォーレ甲府
J1リーグで上位の広島とJ2リーグで下位に属する甲府の一戦。
みんな大好きジャイキリが期待された試合でした。
僕もどちらのチームにも縁もゆかりもあかりもかなえもはなこもさちこもいませんでしたが、自然と甲府を応援していました。
まず、この弱対強という構図。丁寧に整えられた舞台のようです。

10月16日14時4分、佐藤主審の鋭いホイッスルで舞台の幕を切って落としました。

ホイッスルが鳴り響き、三平選手のアフロにビリビリっと静電気が走ったのを僕は見逃しませんでした。

僕は後半の10分近くからTVerで試合を見始めました。
さっきついちゃった嘘は見逃してください。TVerの見逃し配信に免じて。

僕が見始めたときには既に1-0で甲府がリード。
広島の怒涛の攻撃に何とかしのいでいるというような試合の流れ。
解説者の口からは何度も「甲府のベテラン山本」というワード。

甲府、順調に守り抜けるかと多くの観客が思い始めた後半39分、広島のエース川村の強烈シュートで同点に。イケメン。
ここからさらに広島の勢いが増す。波に乗り始めた広島は、まるでギラギラに黒光りするサーファーのように見えました。
もうちょっと見逃してください。

そして始まった延長戦。満田のFK含め甲府のゴールは何度もひやりとしましたが、守護神河田の好セーブが続き、広島はなかなかその厚い壁を突き破ることができません。

延長後半7分。
ここで誰もがピッチへの登場を待ち望んだ、誰よりも解説者が待ち望んでいた、あの「ベテラン山本」が甲府ベンチから出場します。

会場のボルテージはマックス。
後は時間経過を待ちPK戦にもつれるかと思われた延長後半11分。残り時間4分。
ここで、ペナルティエリア内で山本のハンドを取られ、広島にPKのチャンスが訪れます。

特にJリーグを観ない僕でも、この展開はつらかった。
こんな悲しい結末あるかと。
当事者でもないのに、プレー再開の笛が鳴るまで時間が欲しかった。気持ちの整理が追い付かなかった。

それでも時間は止まらない。
主審の笛とともに、キッカーの満田が動きだし、PKは行われました。

河田のビッグセーブ!

ビッグ過ぎた。次の新ゴジラのゴジラ役河田でいいんじゃないかと思うくらいにはビッグだった。
新宿歌舞伎町のTOHOシネマの隣に大きな河田像のイメージが浮かぶくらいには、、。ごめんなさい。

山本さんに責任は背負わせない。と、その思いが、男気がすごく伝わってきました。同時に山本選手がそれだけ信頼されているんだということも。
ここで、絶望がきれいにひっくり返り、真っ白な希望に変わったように見えました。
あの一手は完全に角でしたね。と、オセロ初心者の僕の感想。

その後も広島は甲府ゴールを脅かすもののとらえきれず。
勝敗はPK戦へともつれました。

この時には既に、勝負の風は甲府に吹いているように感じました。
日本中が熱気に包まれる中、あの時の山梨は結構涼しかったんじゃないかな。
守護神河田のビッグセーブ、図らずもベテラン山本のハンドは結果的に甲府の背中をグッと押したのです。

PK戦、キッカーの順番を決める両者ベンチでのミーティング。
吉田監督のテンポのいい指示で次々キッカーの名が呼ばれ、ひとり決まるごとにメンバー全員で盛り上がる甲府と、立候補制で各々が自信と勝気にあふれた広島。

PK戦が始まり、両者3人目までは順調に決めていき、訪れた
広島の4人目。同点弾を決めた川村選手。
ここにも甲府の守護神河田が立ちはだかります。赤井英和に見えました。
真面目にやってきたからです。ねっ。
来年の引っ越し頼もうかな。

試合終盤に強烈な同点弾を放ち、勝利の女神を振り向かせた川村選手のPK失敗。ドラマ。

次の甲府のキッカー石川選手は着実に決め、緊張感が高まる会場。
ここで外したら負けが決まるという場面で、広島のキッカーは満田選手。
物凄い重圧と緊張感を感じそうなこの場面で、落ち着いて決める。
試合中のリベンジを果たす。ドラマ。

そして、決めれば勝利が決まる甲府はここでベテラン山本の出番がやってくる。
流石はベテラン。右足でゴール左上にきれいなシュート。ゴール。
あそこは自信がなければ蹴れない。
あの人絶対胸毛が生えてる。あ、心臓か。

運悪くハンドを取られ、一度はチームを崖っぷちに追い込んでしまったように見えた山本選手のベテランの風格とチームの信頼感を感じさせる大きな一発で甲府は勝利を決めました。ドラマドラマ。

ジャイアントキリング成功。天皇杯初優勝。ドラマドラマドラマ。

甲府の選手が全員で喜びを身一つでは足りないくらいに表現する姿を見ながら、画面の前で鳥肌立ちっぱなしでした。
ストックが切れかけてた卵自分で産んでなんとかできるんじゃないかなとも一瞬思いました。
段階飛ばしすぎ。

試合の流れ、天秤のぐらつき加減とそれに伴った観衆の感情の揺さぶられ方。
脚本を書こうにも書けないようなドラマが詰まった試合で。

ここで僕の脚本家の夢も潰えました。
知らない間に芽生えてた夢でしたが。潰えて気づきました。

事実は小説より奇なり。これこの記事のタイトルにしようと今思いました。


そして、この後の優勝インタビュー。ここが僕には目から鱗だった。
丁度ストックが切れてたキャビア自分で産めるんじゃないかと思うくらいには鱗でした。
段階泳ぎすぎ。

鳥になるにも魚になるにも種を指定していくスタイル。
厄介な客だと思われてるだろうな。

話を戻しますが、甲府の優勝インタービューにて、
インタビュアーの方から「おめでとうございます」という言葉を受け取った監督、選手全員が、口をそろえて

「おめでとうございます」

と返したのです。選手、スタッフ、サポーターを含めたチームに対して。

この一言にすごく一体感を感じました。
しかも皆さん自然に出ていたように見えました。あの瞬間、甲府サポーターはすごく幸せだっただろうな。

そして、ここまでの大会の軌跡について聞かれた監督の

「結果的に勝ったので、全てOK」

という言葉。監督はその試合に対していったのかもしれませんが、すごく勇気をもらえる言葉のように感じました。

誰しも、失敗や辛く苦しい経験をする。
過去の失敗や辛い経験は全て、今現在向き合っている現実に、ひいては未来の幸せに繋がってるんだということ。

一連のドラマはこのエンディングのメッセージを僕らに伝えるために作られたものかと思うくらい、この言葉には説得力を感じました。

苦しかったこと楽しかったこと、悲しかったこと嬉しかったこと。
全て、未来に花開く種なんだということ。
過去の全てがのちに訪れる「幸せ」のために必要な糧だったという事実にするために、今、これから、自分がどうするかが大事。
幸せになる、という気持ちと、
過去ではなく、今を見ること。努力すること。
これだけ。それが、過去に戻れない21世紀に生きる僕らが大切にするべき考え方なのかもしれません。

事実は小説より奇なり

自分の人生がハッピーエンドを迎えられるように。
偶数をどんなに積み上げても掛け合わせても奇数にはなりませんが、奇跡に出会うためには多くの偶然が重ならなければなりません。

それらしいこと言ったけどこの先思いついてない。

まあ、自分の最期に走馬灯で人生で一番面白い長編映画を観られるように、
今を、未来をより面白く仕上げていこうではありませんか。

さあ、今日も生きよう。

と意気込みはしましたが、もう夜遅いので、それではおやすみなさい。

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