小湊すい

優しくなりたい/ゆる日記 https://sizu.me/sui_k

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短歌と自己紹介

 はじめまして。小湊すいと申します。特にお伝えできることはありませんが、読んでもらえば分かると思います、きっと。どうぞよろしくお願いします。 「いまを生きている」 水面に ぷかぷか浮かぶ その影は 魚になれず 人にもなれない 淡々と 進む生活 つつがなく 儘ならないと 泣いたとしても 隣人を 愛せと神は 言うけれど 愛されたいと 願うのは罪? あたたかな 海とひとつに なりたくて 水の世界に 幸あれと願う 泣いている ちいさなわたし 頬を撫で ぜんぶ抱えて 歩き始

    • 日常的な呪い

       言葉は呪いだ。大抵言われた方だけが苦しむ。食事をする時、買い物をする時、ふと浮かぶ。あまりに些細で、他人からは笑い飛ばされそうな。気づかなければきっと幸せなのに、思い出してしまう小さな呪い。  幼い頃、雪見だいふくが食べたかった。ふたつしか入っていない、白いふんわりした皮に包まれたアイス。何度もねだったけれど、「美味しくない」と返事は決まっていた。それでもあんまり騒ぐものだから、スーパーで買い与えられたそれは、たしかに、好みではなかった。「だから言ったやろ?」母親は呆れた

      • 140字日記はじめました #1

         書くことも思いつかず、気がついたら日々が過ぎ去っていたので、Xのポストに収まる文字数の、140字で日記を書く、ということを始めました。どれだけ続くかは分からないけれど、とりあえず1週間続いたのでまとめ。ひとつずつはXに投稿しています。 6/24(月) 毎日140字で良いから何か書きたいなと思う。ほんとは手書きが良いけれど、そこまで元気が出ないので。仕事復帰してもうすぐ1ヶ月。皆勤賞です、えらい。出勤するだけで良いんだ〜と思いつつ、仕事始めるとつい動いちゃう。身体は追いつか

        • こだわりと空気読み

           洋服でも持ち物でも、無難なものを選ぶのは性格だと思っていた。飾りのないブラウスに、黒一色の細身のパンツ、無地のワンピース。わたしのクローゼットに掛かっているのは、そういうシンプルなもの。  就職してからは、職場でオフィスカジュアルが求められた。スーツでも制服でもなく、落ち着いた綺麗系の服装。たくさん持っているから、選ぶのには困らなかった。けれども、仕事とプライベートが混ざっていくような感覚に陥る。  この趣味は一体いつからだ。振り返ると、小さい頃はドレスが着たかったし、

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          脳に依存する

           夜眠る前、手のひらに薬を並べる。抗うつ剤と睡眠薬。少しずつ増えて、結構な数になってきた。飲み込むと、じんわり手足が重くなる。20分もすれば動けなくなり、そのまま眠る。夢も見ない。  落ち着いて暮らせることが、いちばんだと思う。薬を飲むと、ぼんやりと脳が鎮静される。極端に思考が落ちず、ハイになって喋りすぎない。感情の起伏が平坦になり、少し物足りなくも感じるけれど、希死念慮が遠ざかったのは良い。薬ひとつで、こんなにも変わる。  当然ながら、副作用も存在する。身体の怠さとか、

          脳に依存する

          書けない

           最近あまり文章が浮かばない。思い付きに頼っている部分が多いから、発想が尽きたら書けなくなると、気付いてはいた。おだやか、なのだと思う。でもちょっと、寂しいような。薄らと恐怖すら感じる。  追い詰められた時に書く文章は、おおよそ仄暗い。けれどそのくらいの方が、いちばん"書ける"ような気がする。悩み苦しむ時、人は何かに逃れようとするし、吐露するという意味では、文章は良いツールだ。誰かにあまり迷惑をかけずに済む。  焦りや不安ばかり書いてきた。宇宙に思考を投げるつもりで、それ

          日々は辛いか/米津玄師「毎日」を聴いて

           明日なんて来るなと願っても、日々は一定に続いていく。「僕なりに頑張ってきたのに」と虚しさを吐露するような歌詞から、「まだ愛せるだろうか」と歌った途端、日常に引き摺り込まれるMVは、ポップな曲調に反して、残酷にすら思える。  コーヒーのCMソングである本曲は、米津玄師本人が作曲に行き詰まった際に、そのまま出来上がった曲なのだという。毎日飲むコーヒーのように寄り添うけれど、それにしてはクソッタレな日常。いつも少し虚しくて、やりきれない日々。  毎日頑張っているけれど上手くい

          日々は辛いか/米津玄師「毎日」を聴いて

          元には戻れないけれど

           会社と復職の相談をした。元の職種に戻るつもりで居たら、他の部署を提案された。結局今までと同じところにしたけれど、時間も思っていたより短めからスタートできそうで、拍子抜けだった。わたしだけが焦っているようだった。  3ヶ月休職したことで、少しずつ生活を取り戻すことができた。最初は横になるだけ、天井を眺めるところから、身体を起こして家事ができる、散らかし放題の部屋を片付ける、行きたかった場所に行ってみる。だいぶ進歩した。もう、元気なのだろうか。  元気です!と言うことに、な

          元には戻れないけれど

          幸あれと あつ森日記 #5

           2週間ぶりにあつ森を開いた。こんなに期間を空けたのは初めてだった。住民たちに声を掛けて回れば、みんなが久しぶりだねと言ってくれる。心配したよ、会えて嬉しいよ、と。大好きなみんなは、いつだって暖かくて優しい。  適応障害で休職したと同時に、あつ森を購入した。何かやることがないと気が狂いそうで、けれど身体が起こせなくて、SNSも見たくない。思い出したのが、子供の頃よく遊んだ"どうぶつの森"だった。本当はDS版が恋しかったのだけれど、手元には無かったので、流行にはかなり遅れてあ

          幸あれと あつ森日記 #5

          「どんくさい」と言われ続けて

           ADHDだった。注意欠陥・多動性障害。すっかり大人になって、やっと名前がついた。CAARSという心理検査を受けたら、1項目以外のすべてが基準値を超えていて思わず笑ってしまった。それから少し、泣きたくなった。  うっかり、そそっかしい、どんくさい、たくさん言われた。そのたび、誤魔化すようにヘラヘラ笑った。例えば忘れ物。メモを取れば、前日に準備をすればと、どれだけ言われたか。けれども、取ったメモは失くすし、準備したものを玄関に置いていく。どうしても頭から抜けてしまい、学生時代

          「どんくさい」と言われ続けて

          わるいひとじゃないの

           よく夢を見る。今回は母親だけの登場。わたしが一人暮らしをしている部屋に、突然やって来て冷蔵庫を開けた。食べかけのアイスクリームが入っていて、「食べかけやん!」と言いながら外に出す。当たり前に溶け始め、甘い液体が床にぽたぽた落ちる。  わたしは「アイス溶けるやん!!」と怒りながら、床を拭いていた。余計なことをしないでと訴えても、母親はいつも通り飄々としていた。自分の行いが"余計"だとは思ったことがない、なんて言ったら意地悪だろうか。  その後なぜかトースターでパンを焼き始

          わるいひとじゃないの

          生きてさえいれば

           年始に張り切ってwishリストを作った。wishリストとは、やりたいことや目標を書き、1年で叶えていくというものだ。手帳に付属していたページを使って、1から50を埋めた。新書を読む、珈琲の美味しい喫茶店を探す、週1回は自炊する、こんな感じ。ちょっと良い香水を買う、新しいパン屋さんを見つける、なんてことも挙げた。  50個目は"死なない"と書いた。何も達成できないとしても、とりあえず生きていれば良いかと思って。気がついたら体調を崩して、仕事を休職していた。ほんとうに死んでな

          生きてさえいれば

          少し先の話 あつ森日記#4

           休職3ヶ月目。起き上がって家事ができる日が増えたし、こうして文章も書けている。最初の頃より明らかに元気でホッとする反面、復職がチラつく。嫌だな〜と現実逃避しながら、今日も島で暮らしている。  家の収納が足りず、しぶしぶ部屋を増築すると最大数になった。2階から地下まであるけれど、住むのはひとりである。せっかくなので、2階はカフェスペース、地下はバーのような雰囲気にしてみた。ただ家具が全然揃わないため、どちらも作成途中の中途半端という感じ。ちなみにローンはまだ支払っていない。

          少し先の話 あつ森日記#4

          SNS転生

           小学生から色々なSNSを渡り歩いていた。もちろん、インターネットは危険だという大人たちの言葉もあったが、ハマってしまったものは仕方がない。仮想空間のコミュニティゲームに始まり、某掲示板に入り浸って、そのうちTwitterへ移行した。Twitterは複数アカウントを持ち、趣味ごとに分けていた。  それぞれ仲の良い子ができたり、お姉様方とお話したり、とても楽しく過ごした。SNSデビューが早かったため、どこでも年下で、きっとかなり痛々しかったと思う。それでも優しくしてくれて嬉し

          宇宙の彼方に/M.S.S Project「嘆きの華」を聴いて

           初めてのライブ参加は2018年3月のこと。横浜アリーナは広くて舞台はちょっと遠くて、けれどピカピカのサイリウムがたくさん見えた。こんなにも仲間がいる、ひとりじゃない。限られた時間をめいっぱい楽しんでいたら、アンコールで気球が飛んだ。楽器を演奏しながら、ペンライトを振りながら、彼らを乗せた気球が会場を一周する。キラキラの4人が前を飛ぶあの光景を、わたしは一生忘れない。  それからは夏も冬もライブに通った。地方の友だちの元に遠征したり、反対に来てもらったり、真ん中の東京で集合

          宇宙の彼方に/M.S.S Project「嘆きの華」を聴いて

          【観劇記録】ミュージカル『クロスロード』/母の祈りと息子の答え

           シアタークリエで上演中の、ミュージカル『クロスロード』を観劇。初演からセットが変わり、楽曲も増え、物語の進行がより明確になっていた。そのおかげか、どのシーンも心に刺さり、涙が溢れて止まらなかった。  中川晃教さんの演じる音楽の悪魔"アムドゥスキアス"の絶対的な圧、誰にも出せないハイトーン、それでいてお茶目さや慢心を見せる、そんな悪魔の所業にも触れたいのだけれど、今回はヴァイオリンの天才と呼ばれた主人公"ニコロ・パガニーニ"と、母親"テレーザ"の話をしたい。  ニコロは身

          【観劇記録】ミュージカル『クロスロード』/母の祈りと息子の答え