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SNS転生
小学生から色々なSNSを渡り歩いていた。もちろん、インターネットは危険だという大人たちの言葉もあったが、ハマってしまったものは仕方がない。仮想空間のコミュニティゲームに始まり、某掲示板に入り浸って、そのうちTwitterへ移行した。Twitterは複数アカウントを持ち、趣味ごとに分けていた。
それぞれ仲の良い子ができたり、お姉様方とお話したり、とても楽しく過ごした。SNSデビューが早かったため、どこでも年下で、きっとかなり痛々しかったと思う。それでも優しくしてくれて嬉しかった。
実際に会ったこともたくさんある。幸い誰にも騙されず、ただ楽しく遊んだ。ライブに行ったりカラオケで歌ったり、飼い犬を触らせてもらったこともある。リアルの友だちとは全く違う、好きなことだけを話せる関係は、とても居心地が良かった。そう、思っていた。
ひとつ、すっかり忘れていた。インターネットの住民たちも人間で、学校の教室に詰められた人々とあまり変わりがないことに。話が合わなかったり、グループに属せなくなったり、悪意に触れることも、無かったとは言えない。
アカウントをたくさん作り、どれでも良い顔をしていたわたしは分からなくなった。あれもこれも好き、楽しい、ほんとうに?うまく取り繕えなくなっては、アカウントを消した。けれども、会話が恋しくなり、また別のそれを登録する。自分で自分を殺し、別の誰かを装う。場所や名前を変えて、何度も生まれ直した。
綺麗な一面だけを見せたい。SNSなら可能性なのだけれど、深く接すると当然ボロが出る。己を切り売りしても、残った本体に詰まった嫌な部分が見える。絶望しては殺し、生まれ変わることを繰り返す。けれど結局、自分であることは変えられなかった。
最近やっと気づいた。元からそんなに綺麗なものでもなかったと。妬みも嫉みも抱いている、なんにも上手くいかない日もある。見せないだけで、誰も彼もきっと。負の感情まで全て出す必要はないし、染みついた"良い子の顔"は中々外せないけれど、バラバラになった自分のことは拾ってやりたくなった。
自分以外の何者にもなれないのであれば、たったひとりのわたしを、大事にしてあげたい。だからもう、転生しない。
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