【小説】誠樹ナオ「消えた保護犬ずんだを探せ」文学フリマ特別号
レスキューされた元野良犬「ずんだ」が「当麻動物病院」の保護ルームからいなくなって、四日が過ぎた。
「蓮見(はすみ)、探すの今日も付き合ってくれるか」
「もちろん、いいよ」
いなくなったのに気づいて、私と当麻樹(とうまいつき)はずんだの目撃情報をずーっと集めていた。当麻は団地内にある動物病院の息子で、高校の同級生でもある。保護団体と連携して保護犬のケアやレスキューに力を入れていて、うちは二年前にアールという雑種を家族に迎えた。それから成り行きで当麻の保護活動に付き合わされる日々