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【エッセイ】 『下ネタふられてスベった感じにされたので 少し思い返してみる』小野寺ひかり

できごとターン

4名~5名で飲んでいて、じつはなんと言われたか覚えてないんだが、はっきりとそれは「下ネタ」だった。誘い笑いを取るような。でも笑える下ネタってケーシー高峰氏しかり、かなり高度なワザなので、あ~~、と笑いをとりたい精神を尊重してビールをちびちび飲んでたぶんヘラヘラしていた。
 そこに「そういうこといってるとさあ~、ね~、いなくなっちゃうよー」とか「あしたにはいきません、って連絡来ちゃうよ~」って第三者がいさめている。
 そして来なくなるかもしれない、と言われているのが年配の男性陣にまぎれてヘラヘラしている「私」だった。
 私は30代女性である。そこそこ荒れ狂う波を乗り越えて、世間じゃいっちょまえのサーファー気取りである。のびしろしかない~、とクリーピーナッツの楽曲をノリノリで歌える今である。


 そんな性格や仕事ぶりもあってか、コロナになってからとくフリーランス然として、敬語や態度がかなりまあ、緩やかな傾向にはある。20代30代の境目って言い訳にして、顔見知りの間柄程度に、砕けた感じで話しているときがある。会社員に戻れないどころか、人としてまずいところもあるのでは~、とは思っているが、改善の余地が見つからぬ。そして、年齢に関係のない「対等」な関係がすきなので、そっちがビール注ぐならこちらも注ごう、それがお互いさまだろうとそれはしたたかに考えていたりもする。
 んで、帰り道にそれなりに、私もまだまだ乗れない波が存在するぜ~、と思いつつ、トータル超たのしいー、っていう気分で飲み会はおひらきとなる。
以下、考察。その場にいた一人ひとりがどう、ということはないのを付記しておく。

考察ターン


 人の脳みそは不思議なもので数日おいて、およっ?とモヤモヤを思い出す。どこかといえば冒頭の「下ネタ」くだりだった。深夜番組の『ゴッドタン』のノリを毎週みているので、そんなに拒否感があるわけでもないはずなんだけど。夫に“壁打ち”の会話をして、「すべらされたっぽい」ところに微妙にモヤついていることがわかってきた。

 器の小ささの問題かもしれないのだけど、たとえて言うなら、小さい子を連れた保護者が「ほら、触っちゃだめでしょ、怒られちゃうよ!」と、「だめ!触らない!」ではない第三者を介入して注意して行われるアピール注意構文そのものではないか。
 この遠回しの「注意構文」を出されると、突如場に介入された自分は「そうだね~、触んないでね~」と、怒ることもできず苦笑しかできないものだ。
 つまり、それがルールだろうが、マナーだろうが、セクハラだろうとパワハラだろうと、やんわりと怒りを制御され、この「遠回しアピール注意構文」はかなり厄介な性質を内包している。あげく無視もしにくく、「いい人」を演じざるを得ない気がするのだが、どうだろう。そこで面白い一言などは素人には限りなく難しい。どう転んでも感覚的には、勝手に舞台に上がらされてすべらされたっぽい、雰囲気を味わうことになる。これは扱いを検討すべきマウンティング一派の「テクニック」なのではと気がついた。

転じて


 下ネタ発言そのものよりも、それをいさめた方へこうどうなんじゃろっていうのも、自分の器の小ささを感じる部分でもある。むしろそういう場にはヘラヘラしときゃえーやろ、ってぞんざいな対処法しか知らなかったのが原因かもしれないけども、べつに注意ってのもなあ、っとすでに当該「下ネタ」を忘れている時点で議論のしようがないのも恐縮である。

結論は出ず?

 どう返すべきだったのか、が本来主題になるべきなのだが、思考がそこまでたどり着いてはいない。大変恐縮ではあるが、夏休み(延長戦?)の宿題にさせてもらえたらさいわいある。いずれ答えが出るんだろうか。居酒屋を制圧できるような、大きな声がでるようになれば、何か変わるんだろうか。
もし紳士淑女諸君からのコメントなどもらえればさらにありがたい。

とりあえず歌っておくか


次なに読む?

【掌編】小野寺ひかり『桃と花火』

https://note.com/sugomori20206/n/n711b2f76c766

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