杉山世子まだゆめのつづき(旧豆乃木のシャチョー)

[フェアトレード&オーガニックコーヒーまだゆめのつづき]を運営する株式会社豆乃…

杉山世子まだゆめのつづき(旧豆乃木のシャチョー)

[フェアトレード&オーガニックコーヒーまだゆめのつづき]を運営する株式会社豆乃木を13年やってます。13年前、大学を卒業したばかりで、何も持たない私が、フェアトレードの信念を携え、メキシコの産地に飛び込んでからの日々を記します。まだ夢のつづきです。

最近の記事

#6 はじめてのコーヒー産地

#5 ではどのようにして、メキシコの産地に関わりを持ったのか、についておはなししました。大学やJICAという「コネ」がない場合には、見知らぬメキシコの、それも片田舎への訪問は、困難に感じる方が多いと思います。 まったく何もつながりのない場合の、新しい産地との出合い方については、その12年後に時計の針を進め、2022年のペルーの生産者との出合いから、2023年の産地訪問までの話の方が参考になるかと思いますので、またこちらについても改めておはなしします。 メキシコ初訪問 肝心

    • 第2章 #7 ブランドの世界観

      最初に、「目に見えない共通の価値を多くの人が共有し、認識している状態がブランドだとしたら、当社のコーヒーを、手にしたり、購入した人がどういう状態になってほしいか」という点をイメージしてみました。つまり、当社のコーヒーを買うことによって、顧客がどういうイメージを得られるのか? キーワードは「貢献」 当社のコーヒーを手にすることで得られる価値は「貢献」という感覚です。わたしにとって、「貢献」で思い出すのは、ビッグイシューというホームレスが販売している雑誌です。 ホームレスの人

      • [番外編]第1回 経営方針説明会

        「株式会社豆乃木中期経営方針 ~13年目の挑戦」 今回は番外編として、2024年4月10日に開催した社内向けの経営方針説明会の内容をそのまま記録していこうと思います。5年後、振り返ったときに、今日という日がとても大切な1日になると思うからです。それはわたしにとってというよりも、スタッフにとって、夢の実現を感じられる記憶になると思うからです。 目的 スタッフに会社の「いま」と「5年後」を知ってもらう。 できれば一緒にわくわくしたい。 きっかけ 2023年10月21日(

        • [番外編]フェアトレードが当たり前の世の中に

          まえがき 突然ですが、皆さんが今朝飲んだコーヒー、どんなコーヒーでしたか? 苦味が強い? 酸味がある? バランスがいい? ミルクはいれる? 砂糖も? 朝一杯のコーヒーとして、どんなコーヒーを飲むのがおすすめかを、コーヒー屋のわたしがズバリお伝えします。 それは、「浅煎りのコーヒー」 コーヒー豆は加熱することで風味が出ますが、どの程度、火を入れるかの焙煎度合いによって、味が変わります。 浅く火を入れるときには酸味をより感じますし、深く(長く、または強く)火を入れれ

          第2章 #5 キャッチコピーを放棄する

          わたしは言葉が好きで、言葉を扱うことを全般、自分で考えたいと思ってきました。 屋号もそのひとつで、まだゆめのつづきという名称も、誰にも委ねることなく、一貫して、自分で考えて生み出しました。 でも、今回、それを人に委ねようと思いました。 わたしが友人に宛てた、メッセージをここに「記憶」しておきます。 「株式会社豆乃木のブランド化」について、今、考えています。 今年中にフェアトレード、オーガニック認証付き商品をいくつか生み出す予定です。 その前に、もう一度、会社のコンセプ

          第2章 #4 コンセプトという難問

          ブランドを考える思考のプロセスのステップ1にわたしが定義したのが今日の内容であるコンセプト。 コンセプトを見くらべる 私の中で、ブランディングの成功は、コンセプトありき、という仮説を立てました。 そして、新しいブランドならば、成功するコンセプトは、芯を食ったものでなければいけない(つまり、シンプルでわかりやすい)という追加の仮説を立てました。 調べていく中で、NGOの中には、非常にわかりやすいコンセプトを持ち、共感を集めやすい団体があることがわかりました。 例えば、

          第2章 #3 ブランド名の考察と気づき

          目指せメジャーリーグ #2では、ブランドをつくるためのチームについて触れましたが、本日、2回目となるチームミーティングが開催されました。 わたしがこれから目指すブランド観について、外部のチームメンバーとすり合わせをしました。今回のミーティングでは、この「ブランド感」が合致したように感じました。 大きく一言で言うならば、わたしたちが目指すのはローカルスターではなく、あくまでもメジャーであること。 そのためには、一部のコアなファンにだけ、響く名前ではいけません。そうではなく、"

          #5 産地初訪問まで流れ

          今回は、コーヒーの輸入をする上で肝心な産地とのアクセスについて。そもそも最初にどうやって産地を訪問したの?という点について触れていきます。 実は一番最初にメキシコへ訪れたのは、株式会社豆乃木を創業した翌年でした。 時系列では、 2011年3月に慶應義塾大学総合政策学部を卒業 2011年10月に株式会社豆乃木を創業 2012年2月、メキシコ初訪問 となります。 在学中、山本純一先生の研究室に所属しており、その研究室では山本先生主導で、JICA(国際協力機構)より資金を調達し、

          第2章 #2 熱狂を呼ぶブランドとは

          #1では「今日からブランド、はじめます」というタイトルで、要約すると、わたしの会社は、ブランド化をめざします、という宣言をしました。 この宣言は、小学校4年生のときに、学級委員に立候補したときくらいに恥ずかしい気持ちがします。なれなかったらどうしよう、があるからです。(ちなみに、学級委員にはなれませんでした。) でもわたしは、起業して13年経ちますが、今こそ、名乗りをあげよう、と思っているのです。今さらですが、本気でそう思うからです。 実は、今月から社外の専門家にも、当社

          [番外編]転換期は突然に

          2023年11月にはじめて正社員を雇用した。 最初から正社員を条件に雇った人ははじめてで、条件面や諸々の整備をする必要があった。 彼女には、当初、現場の出荷作業を含め、マルチに関わってもらう予定だった。しかし、財務面での経験があることがわかり、財務を中心に担ってもらうことにした。 わたしは以前から自分がお願いしていた税理士事務所に違和感があり、心から信頼できない状況が続いていた。当時の担当者とは、まったくと言っていいほど、コミュニケーションが取れなかった。前担当についても

          第2章 #1 今日からブランドはじめます

          2025年までに『フェアトレードのはじめ方』という本を執筆したいと思っている。同時に、『ブランドのはじめ方』という本も今後書くことができるように、わたしたちの取り組みの軌跡をnoteにまとめていこう。 というわけで、今日から、わたしたちは「ブランド」をはじめます。 厳密にいうと、この歩みを予言する投稿をしている。内容はこうだ。 2023年12月29日 【2023年を振り返る】 今年を振り返る、印象的な出来事を いくつか思い出してゆく。 メキシコの訪問はもちろんのこと、

          第2章 #1 今日からブランドはじめます

          [番外編] 今後の事業のあり方

          2024年から2025年の取り組み目標の中で、いよいよ自分の取り組みを書籍でまとめたいという気持ちが出てきました。 タイトルは「フェアトレードのはじめ方」。 大学卒業したばかり、社会人経験もほぼなかった私でもできた、フェアトレードのはじめ方を、自分のライフヒストリーと合わせて紹介する本になると思います。 思えばnoteをはじめたのも、いつか出版につながるかも、という下心からでした。でも正直1年前のわたしでは、自分の経験や実績に自信がなく、書籍化は夢のまた夢、としてとらえてい

          [番外編]なぜ「このしごと」をやっているのか?

          「なぜやっているのか?」 フェアトレード・オーガニック(農薬不使用)コーヒーの事業に携わったのは、30歳を過ぎたころ。 アフリカ3カ国で青年海外協力隊としての活動を経験したことが、今の事業の原点になっています。 ジンバブエ、ケニア、マラウイとすごした3カ国では、経済的理由で、物ごとをあきらめなければならない状態にある人びとの多さに絶望しました。 女の子だから、兄弟が多いからと進学をあきらめる子どもたち。 中学校に通えなかったからと、30をすぎて制服を着て中学校にかよ

          [番外編]なぜ「このしごと」をやっているのか?

          #4 創業1年目のビッグチャンス

          チャンスは突然に 株式会社豆乃木を創業したての頃だったと思う。 学生時代に、バイトで起業講座の事務をやっていたことをきっかけに、その講座を担当する講師の計らいで、「芋煮会」というイベントに誘われた。 その「芋煮会」は、山形のアルケッチャーノの奥田シェフを中心とした異業種交流の場だったと記憶している。 私はできたばかりの名刺を手に、何人かの方と挨拶を交わした。 今は、異業種交流会などとはまったく無縁だが、その頃は、さまざまな場所に呼んでもらい、ふわふわと出かけたものだった。

          [番外編]新入荷商品、販売当日の結果報告と反省点

          番外編ということで、直近の出来事を備忘録として記しておきます。自社、他社ともに、何らかの参考になればと思います。 その前に確認ですが、わたしたちの会社の軸となっているコンセプトには、 フェアトレードコーヒー オーガニック(または自然栽培の)コーヒー Te to Te 手から手へと最短距離でお渡し というものがあります。 その中でいくつかのコーヒーをメキシコやペルーから輸入しているのですが、今回、当社の主要産地であるメキシコから、カフェインレスコーヒーの販売が開始され

          [番外編]新入荷商品、販売当日の結果報告と反省点

          #3 超スロースタートの創業

          起業当時の状況を整理しようと思う。 まず2011年3月に大学を卒業したわたしだったが、卒業してすぐ無職になったわけでもなく、学生時代からの所属先2ヶ所から、給料をもらっている状態だった。 ひとつは以前から関わっていたNPO。そして、もう一つは大学の研究室から。 正直、いくらくらい給料をもらっていたかは覚えていないのだけど、併せれば新卒の初任給くらいにはなったはずだ。 一番最初にコーヒー販売した日 卒業後の4月に、地元浜松でおこなわれたアースデイはままつというイベントに出店