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菅原敏
2021年3月16日 21:00
ひと気のない北国の山中に、一度だけ訪れた図書室がある。その窓からは季節が色づく周囲の山々を一望することができ、窓際に座る司書はその景色に溶け込むようにひとりで仕事をしている。ときおり手元から目を挙げて、窓からの景色を眺め、また作業に戻る。誰もこない図書室で、僅かばかりの本と静かにそこにいる。図書室はその土地に生まれたある詩人の記念館の中にあり、彼にまつわる書籍を中心に様々な詩集が並んでいる。
2021年3月16日 19:54
高校時代、親元を離れて寮に入っていた。二年生からは学校近くの寮で自由なひとり部屋となるのだが、一年次の寮は四人部屋で、学校から少し離れた自然豊かな場所に建っていた。三階建ての建物で、一階のエントランス前には職員室があり、テレビや新聞の置いてあるロビーを抜けると食堂、その奥は大浴場。二階三階にそれぞれ十二部屋ほど、すべて四人部屋になっている。各階にはシャワー室と寮生それぞれのランドリーボックスと娯