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制作の呟き

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作品づくりについて考えていること。
運営しているクリエイター

#絵画

生活の中に在りたい

生活の中に在りたい

ある日の休日。

朝、目が覚めて

コーヒーを淹れて、お気に入りのマグカップで飲む。

昼下がり、部屋で好きな音楽をかける。

夜、本棚から一冊の本を取り出し、ベッドの中で読む。

気がついたら眠っていた。

そんな風に

「生活の中に共に在る」ものをつくれたら、と思ってやみません。

前回、「一点モノ」をつくることへの葛藤について書きました。

どうしても「多くの人にとって身近なもの」にはなりに

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自分にとって心地よい描き方を探る

自分にとって心地よい描き方を探る

先日の記事で、大学の課題制作で描く絵が決まらないと散々嘆いた。

そして、今までの課題制作ではやってこなかったことを、やってみることにした。

日本画のオーソドックスな制作プロセスは、

①スケッチや写真で取材
②アイデアスケッチ
③実物大の下図
④パネルに転写
⑤骨描き(輪郭を描く)
⑥彩色

なのだけど、今回はこのうち、

③実物大の下図(大下図)
④転写
⑤骨描き

を、すっ飛ばしてみること

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自分に無いから、憧れる

自分に無いから、憧れる

ないものねだり。

今日は「作風」について書いてみる。

憧れる作品、こういうの好きだなーと思う作品は、大体自分が描いてる絵とは全然違う。

自分にとって考えやすい絵、描きやすい絵柄が、自分が「好き」なものと一致しているとは限らない。

他の人はどうなのか分からないが。
ちょっと聞いてみたい。

でも私の場合は、一致しないことの方が多いし、むしろ真逆だったりする。

ええっ、そんな事あるの。

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日本画は水との格闘

日本画は水との格闘

制作机が汚すぎるという点は、どうか見逃してやってください。

机はそこそこの広さがあるはずなのですが、
実際の作業スペースはランチョンマットよりも狭いという悲しき現状。

さて今夜は、「制作の呟き」をお届けいたします。

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今、待ち時間だ。

「水」が乾くのを待っている。

水は、コントロールが非常に難しい。

何より、
日本画に使われる岩絵具や水干絵具

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描いてきた人物で自己分析してみる

描いてきた人物で自己分析してみる

絵の中に人物が登場することがよくあります。私は絵を一つの物語として捉えていて、その主人公として登場してきます。

モデルがいて、写生をベースに人物を描くことも大学ではありますが、小作品は基本的に空想で描いています。

今夜は、空想で描いた人物に絞り、そこに登場してくる人物は自分にとってどんな意味があるのか、ふと興味を持ったので、自己分析として、今まで登場してきた主人公の変化を振り返ってみます。

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「一点モノ」という葛藤

「一点モノ」という葛藤

音楽・文学・漫画・アニメなどと比べて「美術」が広く普及しないのは何故でしょう。

私は、美術作品の持つ「一点モノ」という性質が関係していると考えます。

「物体」なのです。

パフォーマンス、デジタルアートなど、そうでない美術作品ももちろんありますが。
ここでは「物体」のあるアート、絵画や立体作品についてのことを。

例えば音楽には、物体がありません。形がありません。いくらでも、複製して増やすこと

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美大という場所

美大という場所

「絵を描くことは苦しいんだよ。絵を描いてて楽しいなんて思ったことは一度もない」

大学での制作中、週に2日ほど担任の教授が回ってきてアドバイスをくれたり質問をしたりする。

月一で課題が出る。制作期間の最初の方はみんな取材や準備に行っていて、アトリエに人がほとんどいなかったりする。

その日は自分一人しかアトリエにいなかった。

でも教授はアトリエに回って来てくれた。

「あぁ、こないだの話の続き

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