ISHIYAMA Sumire

はり師 / きゅう師 / 教員 / 研究 / 片頭痛 / 画像解析 / 嚥下

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最近の記事

頭痛診療と鍼灸をつなぐ架け橋プロジェクト

大変、お久しぶりです。 鍼灸師の石山すみれです。 今日は、現在進行しているプロジェクトについて書かせていただきます。 「頭が痛い」 この症状でこんなにも悩んでいる・生活に支障をきたしている方がいることに臨床に出て本当に驚きました。 また女性に多い疾患ということで、同世代の方・同性ならではのお悩みに少しでも寄り添うことができれば、と思い、頭痛を対象に研究を続けてきました。 研究・臨床に出ると、頭痛にはある程度鍼灸が有効であることは肌感覚としても、実際の結果としても、先行

    • 鍼治療は抜管から退院準備までの時間を短縮する:ランダム化比較試験(AcuARP)

      背景  現代の手術管理では、手術室の回転率上昇と外来手術の増加が求められている。術後早期回復に向けて、疼痛・術後の悪心嘔吐(PONV)・麻痺性イレウス・疲労や睡眠障害の発生を抑える、もしくは最小限にする必要がある。  鍼治療が術後疼痛、オピオイド消費量、オピオイド関連の副作用、術前の不安の軽減に対し有効性があることは、システマティックレビューによって明らかとなっている。PONV予防における制吐薬とPC6(内関)の刺激に差がなかったというコクランデータベースによって支持され

      • 潰瘍性大腸炎における2週間の鍼を用いた仙骨刺激療法の抗炎症効果

        背景 アメリカにおける炎症性腸疾患(IBD)の有病率は0.9%、うちクローン病(CD)が0.5%、潰瘍性大腸炎(UC)が0.4%を占める。  IBDによって損傷した腸粘膜の治癒には、交感神経と副交感神経からのシグナル伝達が関与している。またIBDの再燃時には、自律神経バランスは交感神経優位にシフトする。 仙骨刺激療法(SNS )は便失禁および尿失禁の治療法として確立しており、長期的な植え込み型 SNS リードと植え込み型パルスにより、世界中で 30 万人以上の患者が使用

        • 迷走神経刺激と頭痛の関連

          本日の内容は、いくつかのReviewを読んで、私がまとめたものの紹介になります。 ***以下まとめ*** 経皮的迷走神経刺激は以下の二つに大別される transcutaneous auricular VNS(taVNS):耳介部を刺激 transcutaneous cervical VNS(tcVNS):前頸部を刺激 以前よりあった侵襲的な(手術を必要とする)VNSは、implanted VNSやinvasive VNSなどと表記され、iVNSと略す。侵襲性のない

        頭痛診療と鍼灸をつなぐ架け橋プロジェクト

          成人の周期性片頭痛のお昼寝と発作の関連: 6週間前向きコホート研究

          背景 歴史的に見ても、臨床家は仮眠を片頭痛急性期の治療として認識してきた。しかし、仮眠と片頭痛発作の関連を研究した論文は少数で、また対象は小児に限定されていた。  本研究では、以下を目的とした。 成人の周期性片頭痛(Episodic migraine; EM)の日記記述式・アクチグラフィーによる仮眠パターンの抽出 6週間にわたり、仮眠と片頭痛の頻度・持続時間・疼痛強度との関連の検討  臨床的な印象から、昼寝の頻度が高いほど頭痛が大きくなると予想された。昼寝は睡眠障

          成人の周期性片頭痛のお昼寝と発作の関連: 6週間前向きコホート研究

          緊張型頭痛のうつ、不安、QOLに対する鍼灸治療とMedical Trainingの効果: ランダム化比較試験

          背景  緊張型頭痛(Tension-type headache; TTH)は最も一般的な神経原性疾患であり、慢性疾患や障害の原因として二番目に多い。ICHDの診断基準では、Episodic TTH(ETTH、12日以下/年)、frequent ETTH(12日以上、180日以下/年)、chronic TTH(CTTH、180日以上/年)となっている。 (そうなの!?知らなかった〜。Episodic とChronicは知っているけど、その間があるのか。)  TTHの約60

          緊張型頭痛のうつ、不安、QOLに対する鍼灸治療とMedical Trainingの効果: ランダム化比較試験

          片頭痛予防においてfMRIから見た鍼治療の潜在的機序のエビデンス

          背景  多くの国で、鍼灸治療は広く受け入れられており、片頭痛の治療に最もよく使われる代替・補完医療(TCM)療法の1つである。    2016年の鍼治療のコクランレビューでは、片頭痛予防としての鍼治療は偽鍼よりも有効で、予防薬と同等の効果があるが、効果量が少ないとの記載である。特記すべきは、2009年のコクランレビューでは鍼が偽鍼より有効という明確なエビデンスはないという記載だったのが、いくつかの新しい研究結果により改定されている点である。しかしまだ偽鍼やTradicito

          片頭痛予防においてfMRIから見た鍼治療の潜在的機序のエビデンス

          TouchによるDefault mode networkの不活性化

          背景  ヒトとヒトの相互関係の中心的な影響である”感情的タッチ(affective touch)”は社会的に重要である(例えば、友人とのハグや恋人からの愛情、母親からのいい子いいこなど)。感情的タッチは、情動的な側面を持ち、言葉などがなくてもタッチを介して、感情を変化させることができる。  末梢神経系では、ゆっくりとしたストローク刺激は、C線維(触覚求心性)をターゲットとする;1~10cm/s程度のゆっくりとした刺激に選択的に反応する。  C触覚線維は温度にも敏感で、皮膚

          TouchによるDefault mode networkの不活性化

          月経関連片頭痛の予防に対する鍼治療:多施設ランダム化比較試験

          背景  女性片頭痛患者の約20%は月経時片頭痛であり、その大半は前兆のない片頭痛である。月経時片頭痛は以下の2つに分類される;pure menstrual migraine(純粋月経時片頭痛)とmenstruation-related migraine(月経関連片頭痛;以下MRM)だが、大半はMRMに属する。  MRMの医学的管理は困難(Challenging)である。月経周期に関連して起こる片頭痛発作はその他の時期に起こる発作よりもより痛みが強く、持続する傾向があり、日

          月経関連片頭痛の予防に対する鍼治療:多施設ランダム化比較試験

          妊娠中の片頭痛予防に対する鍼治療の安全性

          背景  妊娠中はエストロゲンや内因性オピオイド濃度が高く、ホルモンの変動が少ないことから、片頭痛発作は一般的には起こりづらい状態である。片頭痛をもつ女性の60~80%は妊娠後期にかけて改善するが、8~10%では悪化もしくは片頭痛発作が残るため、治療を要する。片頭痛の急性期薬や予防薬の多くは妊娠中は禁忌であり、また妊娠中の片頭痛患者における安全性に関するデータは乏しい。  鍼治療は片頭痛の予防的治療として科学的なエビデンスがあり、また急性期発作に対する鍼治療の有効性もその他の

          妊娠中の片頭痛予防に対する鍼治療の安全性

          前兆のない片頭痛に対する灸治療の有効性と安全性:ランダム化比較試験

          背景  前兆のない片頭痛(Migraine without aura: MWoA)は最も一般的なタイプの片頭痛であり、アメリカでの有病率は約28.4%、中国では4.2~14.6%と報告されている。片頭痛は生活の質に甚大な影響を与えるが、疼痛コントロールに鍼灸治療が用いられてきた。  Penetrating moxibustion(透熱灸のようなもの?)は古代中国での治療をベースに新しく開発されたお灸の技術である。これは経穴に対し、43~45℃にコントロールした刺激を与えてい

          前兆のない片頭痛に対する灸治療の有効性と安全性:ランダム化比較試験

          片頭痛患者に対する鍼治療が脳卒中のリスクを軽減させる

          背景  近年、片頭痛患者において脳卒中のリスクが増加する、という報告が散見される。前兆のある片頭痛(Migraine with aura;MWA)は虚血性脳疾患のリスク因子であるが、特に45歳以下のMWAでその傾向が強い。最近では、MWAだけでなく、前兆のない片頭痛(Migraine without aura;MWoA)も含めた片頭痛群でも、片頭痛ではない人と比べて脳血管障害のリスク増加との関連が示唆されている(調整済みハザード比:1.49, 1.63)。しかし、片頭痛の予

          片頭痛患者に対する鍼治療が脳卒中のリスクを軽減させる

          未来に向けての論文紹介

          こんにちは。 自分への備忘録 / 未来に向けての研究のため / 誰かの知識のため 適切に論文を読む技術向上のため などなど ということで、いつまで続くかわかりませんが、 論文紹介noteを作成します。 主に研究テーマである片頭痛が多いと思いますが、 今年も講演の機会をいただいているので、その際に見返せるように やっていきたいと思います。です。

          未来に向けての論文紹介