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生徒主導で自由な発想を深ぼる!探究のグループワークの声かけ2ステップ<意見出し編>

探究学習では、グループワークを通じて生徒同士で議論する機会も多いと思います。教科とは違う時間だからこそ、自由にたくさんの発想が出て、生徒同士で意見を出し合いながら、より良いアイディアが出る!そんな教室の中が見てみたいですよね? しかし、実際は、生徒から意見が出てこなかったり、多数決で意見をひとつに絞っていたりする様子に悩んでいる先生も多いのではないでしょうか?

今回は、2つの記事にわたって、私たちリディラバが年間8,000人以上の生徒さんとワークショップをする中で心掛けている「誘導しない!生徒主導で意見をまとめる2ステップ」についてご紹介していきたいと思います。


意見をまとめるために必要な2つのステップ

「意見をまとめる」ためには、「意見出し」「意見の選択」の2つのステップがあります。
先生の「意見をまとめてみましょう!」という声がけだけで上手く進まない場合は、2つの時間を区切り、モードを切り替える声かけをしてみてください!
今回の<意見出し編>の記事では、まず生徒からたくさんの発想を引き出す4つの方法をご紹介します。

意見出し①「正解」ではなく「根拠」を探させる

生徒たちが日頃奮闘しているテストには、「正解」があります。「正解」を探そうとすると、どうしても意見が出にくくなります。まずは、この正解を探そうとするモードから、意見を出すモードに切り替える必要があります。

リディラバではモードを切り替えるために、グループワークの冒頭で「2030年に流行っていると思うものはどれ?理由も考えてみよう!」というアイスブレイクをすることがあります。
このアイスブレイクのポイントは、未来のことなので、正解はわからない点です。その代わり、なぜその道具だと思ったのか根拠を話してもらいます。このワークをすることで、正解を探すのではなく、根拠を持つ大切さを体感することができます。

意見出し②「条件」ではなく「例」を出す

意見出しの後の流れを考えて、条件をたくさん提示していませんか?
生徒たちの考える条件が増えると、思考が制限されてしまい意見が出にくくなります。ある程度方向性を示しておきたい時は、条件ではなく例を挙げてみてください。

例えば、「2030年どんな社会にしたいですか?」という問いがあります。ここで、「主語を必ず入れましょう」「実現可能な意見を出してみましょう」など条件をつけると、難易度があがります。
一方、「一度失敗した人がやり直せる社会」という例を挙げると、考え始めるきっかけができます。
とは言っても、主語や実現可能性を考えることは必要です。条件を示す場合は、意見を出すステップではなく、意見の選択のステップで行いましょう。

例を共有するタイミングは、議論の開始前でもいいですし、議論が始まってから特定の生徒の意見をクラス全体に共有するという形も、生徒同士の刺激になるので有効です。

意見出し③生徒に意見出しの目的・方法が伝わっているか?

慣れるまでは、意見出しの時間の目的が、たくさん意見を出すことであるいうことをしっかり生徒に伝えましょう!意見の量を重視することで、その後の「意見の選択」のヒントを増やしていきます。グランドルールを提示して、出た意見を否定しない雰囲気をつくるのも有効です。

そして、意見出しの方法も忘れずに提示してあげましょう!
活動単位(個人ワークなのか)、使用する道具(付箋に書き出すのか)、書き方(キーワードだけ書くのか)など、生徒のレベルと目的に応じて指示を出します。

意見出し④「意見」と、背景にある「根拠」をセットで共有する

自分の意見を書き出したら、最後はグループ内で意見を共有します。
その際、意見がまとまっているように見えて実はまとまっていないケースが多々あります。それは、表に出てくるキーワードや意見の背景にあるそれぞれの「根拠」に気づけていないというのが理由です。そして、次の<意見を選択する段階>で最も大切なのは、この背景にある「根拠」です。

例えば、「補助犬」をテーマとして、2030年の理想の社会を考える場面で、
AさんもBさんも「補助犬が当たり前の社会」を掲げました。
ここで、根拠を聞いてみます。

Aさんは、「補助犬を希望する人の数よりも補助犬の数が少ないことで困り事を抱える人がいるという話を聞いたから」
Bさんは、「入店拒否の問題などを知って、社会の中で補助犬が受け入れられていないと感じたから」
と言いました。

Aさんは補助犬の数、Bさんは社会の受け入れ環境について、2人は異なる課題意識を持っていることが分かります。

もし、この根拠を確認しないまま話し合いを進めてしまうと、Aさんは補助犬の数を増やすための方法を考え、Bさんは社会が補助犬への偏見を減らしていくための方法を考えることになります。

「気づいたら、目指していた方向が違った」というのは、大人の会議でもよく起きることです。だからこそ、生徒には「意見を言うときは根拠をセットに」と丁寧に伝えましょう!

自由な発想のための授業計画

ここまで4点、意見を出すための声かけ方法をご紹介しました。
この声かけも、年間の授業の組み立てがあってこそ、生かすことができます。
生徒に自由に考えてもらいたくて授業計画に余白を残しておきたいけど、生徒が迷わないようにしたい。でも、授業計画を作り込みすぎると、誘導してしまいどの班からも同じような意見しか出てこない。
答えのない探究学習だからこそ、このような悩みはつきものです。
各学校の探究学習の狙いや生徒の関心に応じて授業を組み立てながら、本記事でご紹介した4つのテクニックを活用してみていただければ幸いです。

年間の授業計画を考え中の先生方、ぜひご相談ください!
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