問いが切り拓く自立自走する組織への道 第1回(2回シリーズ)
こんにちは、佐藤賢一です。私はクエスチョンデザイナーとして、京都産業大学で教鞭を取りながら、問いづくり学習によるコミュニケーションの深化を研究しています。北海道生まれの私は、高校時代に「おもしろいDNA」という本に出会い、生物学の魅力に取り憑かれました。この経験が、私の研究者としての道を切り開くきっかけとなりました。現在は、NPO法人ハテナソン共創ラボの代表理事として、また株式会社HackCampで共創エバンジェリストとして活動しており、ビジネス文脈における問いづくりの可能性を探究しています。
問いの力:ビジネスにおける変革のきっかけ
現代ビジネスは変化の速度が速く、企業は常に新たな課題に直面しています。こうした状況で企業が競争力を保ち、持続可能な成長を遂げるためには、革新的な思考と柔軟な対応能力が不可欠です。ここで重要な役割を果たすのが「問い」です。
例えば、消費者の行動が予測不能に変化する中で、マーケティングチームが「顧客は次に何を求めるのか?」という問いを立てることから始めます。これにより、彼らはデータ分析に基づく顧客洞察に集中し、新たなトレンドやニーズを特定することができます。また、製品開発チームが「私たちの製品をさらに差別化するために何ができるか?」と自問することで、革新的な機能やデザインの探索につながります。さらに、経営層が「次の10年で業界のゲームチェンジャーとなるにはどうすれば良いのか?」と問うことで、長期的なビジョン構築と戦略的な意思決定が促進されます。これらの問いは、企業が新しいビジネスモデルを開発し、市場でのリーダーシップを確立するための基盤となります。
このように、問いは既存の枠組みに挑戦し、新たな可能性を探るための出発点として機能します。ビジネスの文脈において問いを立てることは、組織全体の思考を活性化させ、未踏の領域へと進むための一歩となります。
自立自走の本質:自ら問いを立てる力
組織が自立自走するためには、トップダウンの指示待ちではなく、各個人が自ら問いを立て、解決策を模索する能力を持つことが重要です。自ら問いを立てる力は、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するための基盤となります。この力を育むことで、組織は内部からのイノベーションを促進し、外部環境の変化に対しても積極的に行動を起こすことができるようになります。
問いづくりの重要性:ビジネス文脈での応用
ビジネス文脈において問いを立てることは、市場のニーズを深く理解し、顧客にとっての真の価値を見出すために欠かせません。また、問いづくりはチーム内でのコミュニケーションを促進し、多様な視点を統合するプロセスでもあります。このプロセスを通じて、組織は革新的なアイデアを生み出し、ビジネスモデルの再構築や新たなサービスの開発につなげることができます。
さて、VUCA、最近ではAFTER AIとも言われているイマ・ココの時代、世界と社会において、私たち一人一人の「問う力」や私たちがもつ「問い」の重要性がますます顕在化しています。
問いとは何か?問う力とは何か?
「問う力」とは、状況や問題の本質を深く理解し、適切な質問を立てる能力を指します。これにより、表面的な理解を超えた深い洞察が可能となります。一方で「問い」とは、具体的なクエスチョンそのものや、課題に対する深い探究を表します。
想像してください、あなたが新しいプロジェクトのチームリーダーに任命されたときのことを。プロジェクトの目標は明確ですが、進め方については何の指示もありません。初会議の日、部屋は期待と不安で静まり返っています。チームメンバーそれぞれが異なる背景を持ち、異なる期待を抱いています。この時、あなたはどのように進めますか?答えは単純ではありませんが、「問う力」を発揮することで、方向性を見出すことができます。「問う力」とは、表面的な事象ではなく、本質を見極める力です。それは、単に情報を収集するのではなく、正しい質問を通じて深い理解を求める行為です。例えば、あなたがチームに最初に投げかける質問は「私たちの真の目標は何か?」かもしれません。このシンプルな問いは、ただの目標達成ではなく、チームが一丸となって目指すべきビジョンを明確にします。次に、「どのような問題や障害が成功を妨げる可能性があるか?」と問うことで、未来の課題を先読みし、対策を練ることができます。これらの問いは、チームの全員が同じ方向を向き、協力して難題に立ち向かうための基盤を作ります。
このように「問う力」を発揮することは、単に問題を解決する以上の意味を持ちます。それは新しいアイデアを生み、革新を促し、時にはビジネスモデルそのものを変革する原動力となるのです。そして、「問い」それ自体が、私たちが未知の領域を探究し、新しい可能性を開く道具となります。
下記にご案内するオンライン・セミナーで、わたしたちがなぜ、そしてどのような場面で、そしてどのようにして「問う力」を身につけ、実践するかを学びます。問いを通じて深い洞察を得る方法、そしてそれが如何にしてビジネスの成果を最大化するかを探究しましょう。ビジネスリーダーとして、またチームメンバーとして一歩先を行くための不可欠なスキルの必然性と重要性についての理解を、ここで手にいれることができます。
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「自立自走する組織への変革:指示待ち人間を激変させる問いの力」 組織が自立自走するためには、トップダウンの指示待ちではなく、各個人が自ら問いを立て、解決策を模索する能力を持つことが重要です。今回は自立自走をテーマに、問いについて考察します。申し込みフォームリンク先
【執筆者紹介】
私、佐藤賢一は、問いの適切なデザインを生業とするクエスチョン・デザイナーであり、京都産業大学生命科学部の教授です。学術界での深い知識と実践的な経験を活かし、昨年11月から株式会社HackCampの共創エバンジェリストとしても活動しています。さらに、NPO法人ハテナソン共創ラボの代表理事として、主に教育界における問いづくり学習の展開にも従事しており、さまざまな業界のプロフェッショナルたちと協力し、創造的かつ実践的な問題解決のプラットフォームを提供しています。私の、教育研究そしてビジネスの文脈に一貫している専門領域は、複雑な科学的および社会的課題に対する革新的なアプローチを開発することです。これには、持続可能な生態系の維持から新しいビジネスモデルの創出まで、幅広いテーマが含まれます。教育者としては、次世代を担う若者(主に高校生、大学生、大学院生)たちに対して、クリティカルシンキングと問題解決スキルの重要性を教えています。また、HackCampやハテナソン共創ラボを通じて、学際的なコラボレーションを促進し、さまざまなバックグラウンドを持つ参加者が集い、共通の問題について一緒に考える場を提供しています。これらのプラットフォームでは、問いの設計と解決策の探求を通じて、具体的で実行可能なアイデアを生み出すことを目指しています。私の目標は、単に知識を教えるだけでなく、参加者が自らの問いを通じて、真の意味で学び、成長し、自分たちのコミュニティや業界にポジティブな変化をもたらすことができるようにすることです。このアプローチを通じて、私は継続的に新しい教育方法と共創の文化を推進していきます。
わたしにとっての大事な問いの一つは・・われわれはどこからきたのか われわれはなにものか われわれはどこへいくのか
毎朝心の中で唱えている、1日の初めの問いは・・今日の晩ごはんは何かな?
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