正しい呼吸を身につけるには「姿勢改善」が不可欠
みなさんこんにちは!パーソナルトレーナーの吉田です。
前回は「正しい呼吸を身につけることのメリット」と題してお送りしてきました。
今回は「正しい呼吸を身につけるには猫背改善が不可欠」と題してお送りしていきたいと思います。
■前回のおさらい
正しい呼吸の定義は
①その時々の状況に応じて最適な呼吸を行えること
②基本的に鼻呼吸であること
また、正しい呼吸を身につけることのメリットとして
①脳や身体に適切に酸素が正しい行き届き、心も身体も元気ハツラツになる。
②ダイエットがスムーズに行える
③自律神経がバランス良く働き、体調が良くなる
④姿勢がきれいになり、運動パフォーマンスがアップする
⑤効果的なボディメイクができるようになる
詳しくはぜひ、前回の記事もご参照ください。
■姿勢が悪くなることで横隔膜が動かなくなる
正しい呼吸を身につける=呼吸機能を改善するために最も大事なポイント・・・それがズバリ「姿勢改善」です。
なぜかと言いますと、私たちが普段行っている呼吸の大半を占める「安静呼吸=ゆっくり静かな呼吸」はその約80%が「横隔膜」によるものだからです。
●横隔膜とは
横隔膜はドーム状の薄い膜状の筋肉で、胸腔(肋骨の内側のスペース)と腹部とを仕切るようにして、胸骨、肋骨、脊椎からなるかご型の骨組み(胸郭)の底面に付着しています。
横隔膜は息を吸い込むときに最も重要な役割を果たします。息を吸うとドーム状の横隔膜は平らになるように収縮します。
すると、イラスト右のように胸腔(肋骨内の空間)が広くなり、同時に肺に空気が入ります。
そして、息を吐く時には平らになったイラスト左のように横隔膜はドーム状に戻り、それと同時に肺から空気が排出されるわけです
実は肺自体には動かす筋肉はついておらず、この「横隔膜の上下運動によって胸腔が広くなったり、元に戻るのに合わせて」、肺も動いているんですね。
●姿勢が悪いと横隔膜が動かなくなる
このように、呼吸機能において横隔膜は重要な働きを担っています。しかし、この横隔膜が正常に動かなくなる要因は、皆さんの身近なところにあります。
それが、「猫背」や「反り腰」などの「悪い姿勢」です。
なぜ姿勢が悪いと横隔膜の働きが低下するかと言うと、「背骨や肋骨の位置がズレて、横隔膜が動きにくい位置になってしまうから」です。
●「反り腰」で肋骨が開くと、横隔膜は動かなくなる
横隔膜の機能と姿勢との関係について、もう少し詳しくみていきましょう。
正常な姿勢の場合、横隔膜は下のイラストのようなドーム型の形状をしています。
息を吸うときは、この横隔膜のドームが平らになるように下降するわけです。
ところが、写真の女性のように背中の反りが強い姿勢ですと、肋骨が大きく開いた状態になります。
すると、横隔膜は開いた肋骨によって引っ張られ、ドーム状から平らに近い形状になってしまうのです。
先ほど述べたように、息を吸う際に横隔膜は「ドームが平らになるように下降することで胸腔のスペースを広げ」、肺が拡張するように促します。
しかし、反り腰姿勢で肋骨が開いた状態では、息を吸う前からすでに横隔膜が平坦になっています。
これでは横隔膜は下降できず、息を吸おうとしても胸腔内に肺が拡張するためのスペースが作れなくなるのです。
このように、反り腰になると横隔膜は正常に動くことができなくなってしまいます。
●横隔膜が動かなくなると、呼吸は荒くなる
反り腰姿勢で横隔膜が動かなくなると、肺が拡張しにくくなるため、1回の呼吸で取り込める空気が少なくなってしまいます。
しかし、私たちは生きるためには空気を吸わなければなりません。そこで、横隔膜が動かない代わりに、
「首や肩、胸、背中の筋肉を使って肋骨を上方向に大きく持ち上げることで、肺が拡張させて息を吸う呼吸」
になるのです。
さらに、1回の呼吸で十分な量の空気を取り込めない場合は「呼吸の回数を多くしようとします」。しかし、これが結果に呼吸のし過ぎ=呼吸過多へと繋がってしまうのです。
このように、反り腰姿勢で横隔膜が動かなくなることで、
・首や肩の筋肉で呼吸を行う
・呼吸過多
などの「荒い呼吸」が完成してしまうのです。
■現代人に多い「猫背+反り腰」=スウェイバック姿勢
ここまで、「反り腰姿勢になると横隔膜が正常に動かなくなり、呼吸が荒くなる」とご紹介してきました。
しかし、実際には反り腰姿勢だけではなく、「猫背」の方にも横隔膜が正常に動かずに呼吸が荒くなっている人が増えています。
現代人に多い猫背姿勢が「猫背と反り腰が合わさった」下の写真のような姿勢です。このような姿勢を「スウェイバック姿勢」といいます。
一見すると猫背に見えますが、実は首の付け根辺りが過剰に丸まり、背中の反りが大きくなっているのが、特徴です。
骨盤の位置がが前方に大きくズレているので、分かりにくいですが、背骨の腰の部分=腰椎は大きく反っている状態です。
そのため、肋骨の前側が大きく開いた状態になり、横隔膜のドームは平らになり、動きづらい状態になっています。
実は多かれ少なかれ、このような姿勢になっている人は多くいらっしゃいます。
スウェイバック姿勢の特徴としては、
・肋骨の前側が大きく開いているため、横隔膜が動きづらくなり、呼吸が浅くなる
・頭の位置が肩より前方に出るため、首や肩の筋肉の負担が大きく、肩こり&首こりになりやすい。
・背中の反りが大きいため、腰の筋肉が固まり、腰痛になりやすい。
・肋骨が開いて骨盤が前方にズレているため、腹筋が弛みやすく、ポッコリお腹の原因になる。
・太ももの前側の筋肉が張りやすくなる。
などのデメリットがあります。
■まとめ:猫背や反り腰を治して、正しい呼吸を身につけよう
今回は「猫背や反り腰といった悪い姿勢=不良姿勢になると、横隔膜が正常に動かなくなり、呼吸が荒くなる」というお話をしてきました。
特に猫背の人は非常に多く、一説では、世界で一番猫背が多い国は日本で、国民の90%が猫背・・・などという不名誉な話もあるようです。
今回ご紹介してきたように猫背は呼吸機能をさせる他、肩こりや腰痛、またボディメイク面においても様々なデメリットをもたらします。
その意味では、健康の観点からも、ボディメイクの観点からも猫背は早急に治していきたいですよね。
次回は「90%の人が知らない!?猫背改善の真実」と題して、猫背の知られざる真実についてご紹介していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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