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23 伝聞法則(1)
1 裁判所は、Wの証言のV供述部分についてどのような措置をとるべきか。V供述部分が伝聞証拠として証拠能力が認められるかが問題となる。
(1)320条1項の趣旨は、供述証拠は人の知覚・記憶・表現・叙述の過程を経ており、その各過程に誤りが混入する恐れが高いにも関わらず、反対尋問や偽証罪の威嚇などにより真実性の担保に欠けることから、証拠能力を否定する点にある。
よって、かかる趣旨から、伝聞証拠とは公判
21 自白の証拠能力(2)
0 Xの自白について
「自白」とは、自己の犯罪事実を認める旨の被告人の供述をいうところ、本件のXの供述は、自己の犯人性を肯定できるものであるから、「自白」に該当する。もっとも、かかる自白は警察官による「事実を認めたら、俺がうまく検事に話して確実に不起訴にしてやるから」という申し向けを受けてなされたものであるが、「任意にされたものでない疑のある自白」(憲法38条2項、刑事訴訟法319条1項)にあた
20 自白の証拠能力(1)
1 「自白」とは、自己の犯罪事実を認める旨の被告人の供述をいうところ、本件のXの供述は、自己の犯人性を肯定できるものであるから、「自白」に該当する。もっとも、かかる自白は警察官Kによる「事実を認めたら、俺がうまく検事に話して確実に不起訴にしてやるから」という申し向けを受けてなされたものであるが、「任意にされたものでない疑のある自白」(憲法38条2項、刑事訴訟法(以下、略)319条1項)にあたり、自
もっとみる19 類似事実証拠排除法則
1 裁判所は、被告人の自認する4件の犯罪事実を、他の6件の器物損壊について被告人と犯人の同一性の推認に用いることができるか。前科・前歴を含む類似事実をいかに取り扱うべきか問題となる。
(1)そもそも、類似事実も1つの事実であり、類似事実証拠は、一般的には犯罪事実について、動機や機会、同一性といった様々な面で証拠としての自然的関連性を有している。もっとも、類似事実証拠は、被告人の犯罪性向といった実証
16 訴因変更の可否
1 裁判所は、過失運転致死罪の訴因を犯人隠避罪の訴因へ変更する許可を許可すべきか。訴因変更の可否が問題となる。
(1)「公訴事実の同一性」(刑事訴訟法(以下、略)312条1項)は、訴因変更の限界を画する機能概念であるから、新旧両訴因の基本的事実関係の同一性を意味する。
このような機能からすれば、両訴因が1個の刑罰権の枠内に含まれているかという観点から判断すべきである。具体的には、両訴因の犯罪を構
15 訴因変更の要否
1 裁判所は、訴因変更手続を経ることなく建造物侵入・窃盗の各幇助の事実を認定することができるか。
(1)まず、訴因とは、罪となるべき事実の記載であると解される。そして、訴因の趣旨は、審判対象を画定し、裁判所が他の事実から識別して審理を開始・進行できるようにした点にあり、その裏返しとしてその限度で防御範囲を明示し、被告人の不意打ちを防止する点にある。
ア.そうだとすれば、訴因の審判対象画定機能から
13 一罪の一部起訴
第1 設問(1)
1 まず、本件では売却による横領(刑法252条1項)行為に先立つ、抵当権設定による横領を起訴していない。かかる一部起訴も事案の軽重・立証の難易等諸般の事情を考慮したもので、刑事訴訟法(以下、略)248条より許される。
では、そのため、本件における訴因は売当行為による横領であるが、その訴因外の事実である抵当権設定行為による横領行為を主張できるか。
(1)当事者主義的訴訟構造の下、
10 逮捕に伴う無令状捜索・差押え(2)
第1 設問(1)
1 本件捜索は刑事訴訟法(以下、略)220条1項2号より適法か。本件ではGを通常逮捕(199条1項)で「逮捕する場合」(220条1項柱書)の「逮捕の現場」(220条1項2号)である411号室で,そこにたまたま居合わせた第三者であるXに対して身体捜索している。
かかる捜索場所にたまたま居合わせた第三者に身体捜索することを220条1項2号は許容されるか。
(1)そもそも、220条3
9 令状に基づく無令状捜索・差押え(1)
1 Kの逮捕に伴う捜索・差押え(刑事訴訟法(以下、略)220条1項2号)は適法か。
(1)まず、無令状捜索差押えについていかに解するべきか問題となる。
確かに、憲法35条が令状主義を原則と理解するならば、その例外を限定的に理解する緊急処分説の方が令状主義の趣旨に適合的であると言える。
しかし、憲法35条は、令状による捜索差押えと逮捕に伴う無令状捜索差押えについて、原則例外の関係ではなく、並列の
8 令状による捜索・差押え(1)
第1 Bに対する捜索行為について
1 本件では東京本部事務所を捜索場所とする令状が発付され、その捜索がなされている。もっとも、当該捜索行為はBのズボンの中という身体捜索である。そこで、本件令状はBの身体との関係で関連性を有するか。
(1)ここでも、場所に対する令状発布の際の「正当な理由」の判断対象に身体が含まれているかという観点から検討をすべきである。
刑訴法は、「場所」と「人の身体」を区別して