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23 伝聞法則(1)

1 裁判所は、Wの証言のV供述部分についてどのような措置をとるべきか。V供述部分が伝聞証拠として証拠能力が認められるかが問題となる。
(1)320条1項の趣旨は、供述証拠は人の知覚・記憶・表現・叙述の過程を経ており、その各過程に誤りが混入する恐れが高いにも関わらず、反対尋問や偽証罪の威嚇などにより真実性の担保に欠けることから、証拠能力を否定する点にある。
 よって、かかる趣旨から、伝聞証拠とは公判廷外の供述を内容とする証拠で、要証事実との関係でその内容の真実性が問題となるものをいう。
(2)本件で、V供述部分は、事件発生前のものであるから、公判廷外の供述を内容とするものである。
 そして、立証趣旨は「被害前のVの言動状況」と記載されているが、かかる事実により、XがVにいやらしいことばかりしていた事実から、XはVに対して情を通じたいとの野心を持っていたことを推認し、 ひいてはVに対する強姦の動機を推認するものである。そのため、要証事実は、「XはVに対しいやらしいことばかりしていたこと」といえる。そのため、V供述部分は、かかる要証事実との関係でその内容の真実性が問題となるものであるといえる。
2 そうだとすれば、V供述部分は伝聞証拠に当たり証拠能力は認められない。よって、裁判所は、かかる証拠を排除すべきである。
以上

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