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ミスコンは何のためにあるのか~消えてゆくミスコンたち~

ますます賛否両論が飛び交うミスコンテスト。

外見至上主義、性的なもの、多様性がない、時代遅れ・・・

「ミスコンなんてやめてしまえ!」

そんな声があちこちで生まれ、ルールの大幅な変更やコンテスト自体の廃止へと措置が取られてきました。

しかし様々な実態の中で 私たちが本当に注目しなければならないことは、ミスコンの本質を正しく理解し、持てる力を適切に使うことです。

それができてこそ、ミスコンに限らず
どのような組織・コミュニティにおいても
適切に関わり合い、存続していけるのではないでしょうか。

そうでなければ、
仮にそれが「ミスコンテスト」でなくなったとしてもまた同じことを繰り返します。


この記事では、
ミスコンテストを外側から「眺める」のではなく
「役割に注目」しながら進めていきます。

ミス・インターナショナル世界大会2022を題材に、ミスコンはこの社会においてどのような役割を担っているのか

外側から見ているだけでは決して辿り着けない、
その本質に迫ります。

(世界大会の写真はすべて
セイントビューティーメンバーが撮影したものです)


2022年12月13日
東京ドームシティホールにて開催された、
第60回 ミス・インターナショナル世界大会


セイントビューティーメンバーで観に行きました🌸


ミス・インターナショナル
「相互理解による世界平和の実現」など
「国際社会への貢献」を目指した、
”美と平和の親善大使” を選ぶ
ビューティ・ページェント。

66の国と地域の代表が東京に集結です!!


審査員には、デヴィ夫人、コシノジュンコさん、藤原紀香さんなど
そしてゲストパフォーマンスでMIYAVI、和太鼓芸能集団の「鼓童」という豪華メンバー。

会場は各国の応援団で大盛り上がり。
日本の国内大会は、場合によっては静かなイメージがありますが、世界大会は一味違います。
熱狂的な声援がまるでスポーツ観戦のよう。

コンテスタントの周りだけでなく「国」として一丸となってミスコンを応援している姿は、まさに五輪やワールドカップのようなイメージです。
五輪やワールドカップでは、選手たちが日本代表として世界の舞台に立ち、日本国民の大部分も彼らを応援すると思います。

たとえそれがミスコンであったとしても、
日の丸を背負って世界で戦うという点において相違はありません。国民全体が「代表」を応援する、それが世界大会です。

ここで、ミスコン元日本代表としてJAPANのサッシュをつけて世界の舞台に立った経験のあるセイントビューティーウォーキング講師の清水まどか先生に、その時抱いた気持ちを聞いてみました。

JAPANのサッシュをつけて
世界のステージに立った時、
どんな気持ちでしたか?

改めて「責任」を感じる瞬間でした。
もらった時から
名前ではなく「国名」で呼ばれます。
日本を代表して日本を表す女性でいなければ”
常に日本を表現する者でいなければ”
と感じました。

国を背負ってあのステージに立つということは、
自分を通してその国が見られているわけです。
自分が選ぶ言動や考えは、そのまま国の言動や考えになります。
そんな「世界大会」は、最終日のステージの上だけが審査対象ではありません。

彼女たちはホスト国に集まり指定のホテルに滞在しながら、数日~数週間の審査期間、そして事前審査会を経てようやく最終日のステージを迎えます。

ギャラリーでMissたちの活動の様子をcheck!

審査期間中は常に誰かに見られ、審査されています。振る舞い、発信、ファッション、ヘアメイク、リーダーシップ、自信、積極性、人柄、アクティビティ・・・

よく勘違いされがちな、顔の造形美がジャッジされているわけではありません。

Miss になれば、任期中は各国を回り様々な社会貢献活動をします。世界中の、特に若い人々を導いていく必要があります。
そのため大会では、Missとしての人格や言動
ロールモデル性やオピニオンリーダー性なども見られるのです。

多くの人々がニュースや新聞などで目にするのは、そんな美の祭典の切り取られたごく一部、特に最後の受賞シーンです。

今回私たちセイントビューティーが観に行ったのは、その受賞シーンがプログラムの最後に待つ、最終日の一般公開ステージ。
もちろん私たちは その最終日までの期間中、各国代表たちが日本各地をまわり日本の伝統文化等に触れる姿などの発信を見てきました。

だからこそ、この最終日というのは
誰の「顔」が美しいかではなく
彼女たちのプロセスも丸ごと含めて

誰が最も自分らしく自信に溢れ、そして
世界を代表するミスという役割にふさわしいか

を見ることができる、長い長いストーリーの一部なのです。


さて、
ミスコンの本当の姿が少し見えてきたところで
お待たせいたしました。
実際のステージの様子を一緒に辿りながら
もっと深いところまで潜ってみましょう。

「ミスコンなんて、顔でしょ?」
なんていう言葉が失礼にあたると思えるくらい、

これまで抱いていた印象とは違うミスコン像が
あなたの前に広がると思います。

そうなっていただけたら幸いです。


それでは、

Miss International World Competition 2022
ミスインターナショナル世界大会2022


自分の国や地域を思い思いに表現する伝統衣装審査
ナショナルコスチューム」から幕開けです✨


NATIONAL COSTUME

一つ一つのデザインや色、アイテムに、その国や地域の習わしや言い伝え、文化、伝統、考え、願いが込められています。
その土地に根差した海や草木などの風土を感じさせるものから、先祖たちから受け継がれてきたものたちまで、その国や地域のアイデンティティーを表現していきます。

Miss Czech Republic


Miss Laos


目の前で目まぐるしく入れ替わる世界中のナショナルコスチュームたち。
自国を誇りに思い、そのアイデンティティごと現地から大切に持ち込まれた衣装の美しさたるや、まるで、会場にいながら世界を旅しているかのような嬉しい錯覚に酔いしれます。まさにこの日、東京ドームシティホールは世界の縮図でした。


Miss Northern Marianas

世界には、これだけの多種多様な自然、文化、思想、価値観があるのだと思い知らされます。
そこに優劣はなく、かといって融合してまとめてしまうわけでもなく、全てがそのまま存在していていい、息づいていていいものです。


フェスティバルのようなNATIONAL COSTUMEのあとは、ドレスでエレガントに歩く「イブニングガウン審査」。
まるで深い夜の水面の如くなめらかに反射するステージフロアに、きらめくドレスたちが揺れ輝きます。

思わずため息が出てしまう、曲線美やウォーキングパフォーマンス。
コンテストを最も華やかに彩る、
コンテストの醍醐味、イブニングガウンです。

EVENING GOWN

Miss Vietnam

ランウェイにて二人一組でのウォーキングでした。
ステージ奥のスタンバイ中に、ペアの子と事前に考えたであろうポーズや息を合わせる姿が見え、世界大会といえど各国の繋がりや絆、平和を感じることができました。

息の合ったMiss BoliviaMiss Brazil


「世界」というと何か遠い大きなことのように感じてしまいますが、世界を構築しているのは一人一人の人間。異なる背景や文化を持つ者同士の、一人一人の思いやりや共生していく姿勢から始まるのではないでしょうか。

Miss Italy   /   Miss Norway


歩くことー
胸を張って、一歩一歩前に進むこと
自分の特徴や感性を魅せていくこと

面白いことに、
自分を見失っていたり自信がなくなっていたりするとウォーキングに反映されてしまいます。

反対に、感謝や愛情、自分を信じる気持ち
ウォーキングの中に現れてきます。

ウォーキングは、「生きること」をぎゅっと凝縮した、自分自身そのものだとも言えるのです。

SWIMSUIT

Miss Portugal / Miss Romania /
Miss Slovakia など

水着審査には賛否両輪があります。
しかし彼女たちが示しているものは性的なアピールではなく、
健康美・自分自身そのものです。
また、過度なダイエットで瘦せすぎることを「美しい」と思ったり思わせたりしている社会に警鐘を鳴らします。

姿形を否定し隠すのではなく
これが私であると堂々と立ち 歩くことで、
生まれ持った何かへの否定や拒絶、
誰かの目線で決めつけられた歪んだ美の基準に
NOを示します。

Miss Mexico


スピーチ審査
TOP8に選ばれたミスたちが、それぞれ英語でスピーチをします。
ミスコンにおけるスピーチは、Missたちの「声」を世界に届ける大変重要な審査項目です。
彼女たちは自らの過去や生きてきた環境、そして世界のあらゆる問題に目を向け、自分という立場や影響力を通して提起し呼びかけ、解決や改善に向けて動きます。
Missたちの姿を見て、特に若い女性たちもそこに意識を向けるようになり、ひとつひとつの選択、行動に変化が出始めます。

このオピニオンリーダーとしての姿勢、役割こそが、ミスコンの本質です。


SPEECH

”完璧主義者だったがゆえに心身を壊し沢山苦しんだ
摂食障害は世界第二位の死因
自分自身を癒し力づけられれば他者にも良い影響を及ぼせる
まず自分のスーパーヒーローになって
世界が必要としている変化を一緒にもたらしていきましょう”
Miss Canada


”夢は世界初の自閉症を持つBeauty Queenになること。
取り残されてきた人たちに働きかけていきたい
彼らの声を代表していきたい
自分の痛みを美に変え、
誰一人として取り残されることのないようにしたい”
Miss Jamaica


自分の「声」を使って
世界中の人々の健康・幸せを達成するための第一歩を
踏み出せるのだということがわかった。
自分の行動・言葉などを通して
皆さんにインスピレーションを与えていきたい
Miss Spain


「痛みも苦悩もなく、ただ綺麗な格好をして
羨望の眼差しを受けたい」

もしこのような望みをお持ちであれば
ミスコンテストは向かないでしょう。

彼女たちのスピーチと真剣な表情を見れば、

届けたいメッセージがあり
届けたい相手がいること

知ってほしい現実があり、
知ってほしい人たちがいること

自分が辛い思いをしてきたからこそ
自分がたくさん悩んできたからこそ
自分だからこそ
伝えられることがあるのだという静かに波打つパワーを
感じ取ることができます。


結果発表

🌸MISS INTERNATIONAL 2022🌸
final result


これにて全ての審査を終え、
長い選考期間を経て、選ばれた5名をご紹介します。


4th runner-up (5位)

Celinee Santos Frias
(Miss Dominican Republic)
世界の子供たちの
教育に力を入れていきたい
:

3rd runner-up (4位)

Natalia Lopez Cardona
(Miss Colombia)
Beauty Queenになったとしても美しい人になったとしても
頭や心が虚しくてはいけない。
メンタルヘルスの活動がしたい。
:

2nd runner-up (3位)

Tatiana Calmell
(Miss Peru)
コンテストというのはルックスだけではない。
女性としての力が必要。
女性とはすなわちエンパワーメント
誰もが希望・愛・教育を受ける権利を持っている
(帰国後 弁護士に合格)
:

1st runner-up (2位)

Stephany Amado
(Miss Cabo Verde)
夢にも思っていなかった
まっすぐで長い髪、青い目でなければ
コンテストで選ばれないと思っていた。
本国アフリカにて
強制労働や強制的な関係を強いられる女性に
機会を創出していきたい
:


◆◆MISS INTERNATIONAL 2022
(優勝)◆◆

"大きいことも小さいことも大切
心は大きく持ち、優しく、
そして
誰もが平和の大使であるべき"

Jasmin Selberg
(Miss Germany)


桜のデザインが可愛らしいクラウンは、前回優勝者より贈呈されました🌸

新しいミス・インターナショナルの誕生です。


盛大な美の祭典が終わり、日本各地を堪能して
各国に舞い戻るそれぞれの美と平和の親善大使たち。

ここからが、彼女たちの力を発揮する時です。

それぞれの確かな思いを胸に
それぞれのフィールドで
世界中で、
美と平和のリーダーたちが、今日も世界をよりよくするために
優しく、しなやかに、そしてパワフルに活躍していることでしょう。

例えばMiss Germanyは優勝後も頻繁にインスタライブを開き、一人一人の質問に丁寧に答えてくれます。様々な身近なお気に入りのものを紹介してくれる姿は微笑ましく、小さな草花や虫たち、枝葉の揺れにまで "friend" のようなスタンスで接し共に生きていく姿勢に、彼女のスピーチはまさに彼女の人柄や信念を表していることが確認できました。

そして彼女がライブ中に私の質問に対しての答えで
言っていたことがあります。

Miss International organizationが
(ステージでの) スピーチだけでなく
大会期間中、「私」をきちんと見ていてくれたことが嬉しかった。

冒頭でも触れた通り、
コンテストというものは最終日の数時間のステージだけを審査しているわけではありません。大会期間を通した総合的なジャッジが採用されています。

美とは単にすぐに目に見えるものだけでなく、
物事の背景や意味、話す内容などたくさんの形があり
様々なところから来ると思います

こちらも、別の質問を投げかけた時の彼女のアンサーでした。


優しく穏やかで思慮深い心が
人間同士だけでなく生きとし生けるものすべてを包み込み
人類だけでなく万物を抱く平和の大使としての役割を担っているのだなと感じました。


世界には、人の数だけ外見的・内面的・機能的特徴が存在します。

彼女たちが競ったのは、身体の造形的特徴の優劣ではありません。

「多様性」「ルッキズム」という言葉が溢れる昨今、
私たちは今一度、「美」について考える必要があります。

ミスコンが気づかせてくれるのは、
美の支配や制限ではなく、自由と可能性です。

すべての人にかけがえのない美しさがあり、
私たちはそれを自由に育み実らせていけます。



美は、自分自身を真の姿として輝かせてくれるものに宿るのでしょう。

生まれ持ったもの
心の奥底にある思い
自由な選択
実現したい何か
大切にしているもの・・


たった一度の人生の中で
かけがえのない自分自身や周りの人々に
なぜ私たちは
特定の基準を設け、自ら苦しみ他者を傷つけるのでしょう。

本物の自分が
本物の自分として生きる

そんな
シンプルで大切なことを
気づかせてくれる

ミスコンの存在意義は
そこにもあります。


最後に

昨今はSNSの台頭により、「多様性」を目にする機会が格段に増えてきました。
わざわざコンテストを介さなくても
言いたいことを言え、見せたい自分を見せられる時代になってきています。

裏を返せば、これまではコンテストを通さなければ
若い女性は自分の思いを公に口に出すことが受け入れられにくい世の中でした。それは今でも、まだ十分に、洋の東西を問わず解決されていません。

コンテストは、一歩を踏み出したい女性たちの背中を押してくれます。

この令和の時代、ミスコンが「多様性」を害する可能性があるとして廃止運動の渦中にあります。

しかしここまでご覧になってくださった皆様なら、ミスコンが多様性に欠け、廃止すべき理由を有していないことを おわかりいただけたと思います。
私は、ミスコンこそ多様性に溢れ、出場者はそれらを推し進めるリーダー的存在であると感じます。それだけでなく、様々な国が集まることにより互いの文化や視点、問題点を共有しながら絆を深め、時には助け合いながら、よりよい世界へと共に歩んでいけると思うのです。

国内大会であっても、それぞれの人生のストーリーがそこに集まり、共有され、還元されていきます。


どうか日本の皆さまにも
そんなビューティーコンテストを「ルッキズム」「性的なもの」として見るのではなく、彼女たちがコンテストを通じて表現しているものに注目し、
まっすぐに応援してほしいと思っています。

そして
コンテストそのものも
そんな女性たちを常にあたたかく、公平に、クリアに
コンテスタントが主役であることを忘れずに
プロデュースしてほしい。

ビューティーコンテストが
健全で
笑顔と信頼により築き上げられ
まっすぐに咲き誇りますように。


そう願っています。



”私は、いじめられっこで独りぼっちでした
でも今この舞台にいる、
美しい素晴らしい新しい姉妹と
ともに永遠に一緒に歩いてくれる仲間ができました。

私自身も気づかなかった、
自分の中にある力
気づかせてくれてありがとうございました。”

Miss Germany
優勝スピーチより



photo by Madoka Shimizu (St.Beauty)


-Yukiko



最後までお読みいただきありがとうございます。
ミスコンの世界に興味を持っていただけましたか?🌸

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