見出し画像

少なくとも自分のために

今朝、起きてみたら空気が秋だった。
やっと!という感じ。
まだまだ暑い日は続くのだろうけど、朝方涼しいだけでだいぶ救われる。
長い長い長い、永遠のような夏の終わり。

岡本真帆さんの短歌に、

夏が好き すべてのものが永遠のような顔してそうじゃないから


というのがあるけれど、
今年の夏はほんとうに永遠に思える長さだった。
これから一年の半分くらいは夏になってしまうのかもしれない。それこそ永遠に思える長さで。
そう考えるとちょっと嫌だ。
ちょっとどころか、だいぶ嫌かも。
でもだからこそ涼やかな秋の訪れが、より愛しくなる気がする。

読書もなかなかできなくて、やっと最近2冊読みおえた。


1冊めは、永井玲衣さんの本。


『水中の哲学者たち』がとても素敵だったから、これも読んでみようと思っていた。
世界の適切な保存。
タイトルからしびれる。
なんだか穂村弘さんのエッセイを思いだす。
ところどころ違うけど、世界に対する認識とか、見方が変わる感じが似てる。
言葉が先鋭的で、疑っている感じがいい。
わたしが見ている世界とあなたが見ている世界は違う。
そんな当たり前のことを改めて認識させられて、ハッとしてしまうような体験。
短歌の引用もあって、そのどれもが素敵だった。


適切な説明をするひとは、集中している。言葉がやってくるのを注意深く待っている。落ちてくる流れ星を受け止めるように、ひとはそれをつかまえて、光ったまま、わたしに手渡す。言葉は光を放ち、わたしたちを包み込んでしまう。圧倒的な力で、共有させてしまう。だから心を動かされるのかもしれない。

『世界の適切な保存』より


こういう言葉を見ると、書くことは祈りに似ていると思う。
その人にしか紡げない祈りを誰かに手渡すために、人は書くのかもしれないとも。


もう一冊は、小説。


奈津子とノエチ、小さい頃から仲良しのふたりが織りなす物語。
その日常風景がこまごまと綴られていて、これは『るきさん』に少し似てると思った。
(つかず離れずのさらりとした関係性が)

こういう友情を紡げるひとはどれくらいいるんだろう。けっこう日本中にいそうだなんて思う。
ある意味すごく楽な、オアシスみたいな日常。

独身だからというより、好きなことをして緩やかに流れていく日々がそう思わせるんだろう。
確かドラマ化もされたはず。
ふたりの日常を映像でも見てみたい感じがする。50代からの人生も楽しめそうな本だ。


3連休はテスト期間なのもあって、とっても忙しかった。
(本当にものすごい人がやってくる)
そして、大量の返却本。


「本を読まない人が6割」というニュースを先日見たけれど、あの場所にいるとそんなの信じられないと思ってしまう。
(残りの4割の人が図書館に集まっているのかも)

長文を読めない人がこれから増えていくのかな。
思考するには言葉が必要で、その土壌が自分を支えてくれる。
つらいときや、苦しいときもきっと。

だから、(少なくとも自分のためにも)
書けたらいいと思うのだ。
いろんな本を読んで、図書館でも紹介したい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?