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TikTokといえばZ世代というのは本当なのか?

綱紀廃弛(こうきはいし)
→ 規律や秩序が乱れゆるむこと。

規律や秩序が乱れゆるむこととは往々にしてあり得る。

というのも、ルールは常に変わっていくのが当然で、組織や企業の規律や秩序のような小さなコミュニティから世の中の大きな規律や秩序まで様々なことに共通している。

とりわけ、今の時代はテクノロジーの進歩により、あらゆるサービスの新陳代謝がはやい。

そんな中、2020年の夏に注目されているのは、TikTokだろう。

Twitter、Instagramに次いで注目されている中で、TikTokの時代がすでに来ているとはいえ、まだまだ伸びしろのあるのがTikTokだろう。

TikTokを使っているのは本当にZ世代なのか?

昨今のブランディングやマーケティングにおいては、TikTokが欠かせないと、どのメディアでも連日報じられている。

これはポジショントーク的な部分も大きいし、TikTokとニコイチで登場するワードがZ世代だ。

その影響は大きく、TikTokはZ世代の心を掴むために欠かせないツールだという認識を持っている人が多いだろう。

ただ、本当にこの認識は正しいのだろうかという疑問を持ったことはないか。

メディアの情報には、なにかしらのバイアスがかかっていて鵜呑みにしてはいけないというのが定石である。

ポジショントークを行っている場合もあるだろうし、しっかりとエビデンスのある情報を活用していなければいけない。

そこで、日経BPコンサルティングが、Z世代のSNSの情報収集手段やその利用状況について調査した結果が出ているので、こちらを参考にしていきたいと思う。

2022年4月1日時点で19~26歳のZ世代の実態調査

Twitter、Facebook、Instagram、TikTok、YouTubeのうちいずれか1つ以上のSNSを週1回以上利用しているZ世代のSNS利用状況の実態調査だ。

有効回答数は4,000件、回答者の割合としては男性51.0%、女性49.0%となっている。

職業は社会人74.5%、学生25.5%で、学生の中で60.4%は就活中という母数に関するデータである。

まず、Z世代が最もよく使うSNSがなんなのか、ここが一番のポイントになるだろう。

週1回以上利用するサービスについて聞くと、8割以上の回答者がYouTubeとLINEを、7割の回答者がTwitterとInstagramを利用すると答えている。

注目すべきは、TikTokを週1回以上利用するZ世代は、23.1%という結果に留まっているというところだ。

これは、全体の4分の1以下の925人だという事実をどう受け止めるかというところだ。

2022年3月時点でSNS各社が発表している国内月間アクティブユーザ数は下記のとおりである。

  • LINE:9,200万人

  • YouTube:6,900万人

  • Twitter:4,500万人

  • Instagram:3,300万人

  • Facebook:2,600万人

  • TikTok:950万人

TikTok売れという言葉が話題になっているが、これはTikTokを制すれば、Z世代を中心とした若者の流行の発信源となれるという定説だ。

ところが、上記のデータを見る限りは、TikTokがZ世代に広くリーチするという観点ではまだ他のSNSに及ばない部分がありそうだという見方をせざるを得ないだろう。

このギャップについてもう少し深堀りする必要がありそうだ。

Z世代の情報収集手段

私は検索からレコメンドの時代へと変遷が急速に進んでいるということをしきりに主張している。

この傾向については、確実に来ていて考え方や仕掛けを変えるつもりも訂正するつもりもない。

確実にレコメンドが中心の時代が到来するというか、すでに浸透しつつある。

一方で、Z世代の情報収集手段の統計データの集計は、下記のとおりという結果が出ている。

  • 検索エンジンや専門サイトやアプリで検索する:45.9%

  • Instagram、Twitter、YouTubeなどのSNSを見る:39.9%

仕事や勉強において、SNSの存在は重要な位置を占めていることは想像どおりといったところだ。

ただし、最も信用している情報源の統計データの集計は、下記のとおりとなっている。

  • 検索エンジンや専門サイトやアプリ:26.8%

  • 書籍:21.2%

  • テレビ:19.5%

  • SNS:18.5%

このギャップは重要だということが理解できない人は、マーケティングやブランディングの仕事には携わらない方がいいだろう。

SNSの利用頻度に反して、信用はテレビよりも劣るということだ。

仕事や勉強のためにSNSを見る人は39.9%と4割程度いるのに対して、SNSで検索する人は3割ほど、SNSで検索した情報が信頼できると感じる人は11%となっている。

この傾向から、自分自身の核となる部分というか深い部分についてはSNSに対する信用度というのは圧倒的に落ちるというということが理解できる。

つまり、SNSを利用するのは日常なのだが、だからといって信用しているということとは別問題というわけだ。

SNSが情報収集源として活躍するカテゴリ

一方で、SNSが情報収集源として受け入れられるカテゴリもある。

それは、趣味や娯楽のカテゴリである。

趣味や娯楽の情報収集に関しては、50%以上がSNSを見るだけではなく、検索すると回答しているという事実がある。

気になる店や商品の名前をSNS検索したり、営業時間や販売サイトの詳細を調べたり、口コミを見たりといった具合だ。

つまり、趣味や娯楽については、ググるよりもSNSが重宝しているというわけだ。

趣味や娯楽に関して検索するSNSは下記のとおりだ。

  • Twitter:71.4%

  • Instagram:64.7%

検索を主軸としたときに、TikTokは検索をするということを前提にしておらず、オススメとして勝手に流れてくる情報を見るというのが使い方といったところだ。

そして、1日の利用時間が長いSNSについてもデータが出ている。

まず、圧倒的に時間を費やしているのはYouTubeで、週1回以上利用する3,339人のうち、34.8%が1日に1時間以上は利用すると回答している。

さらに、その中で16.9%は1日に3時間以上、YouTubeで動画を視聴しているという。

次に、1時間以上の利用が多いSNSがTikTokだ。

週1回以上TikTokを見る925人の中で、27.8%は1日に1時間以上利用しているという結果が出ている。

ここがTikTokの最も特徴的な部分だという理解をすべきなのである。

要するに、TikTokを週1回以上見るユーザ数自体は全体の4分の1以下と少ないものの、ユーザのエンゲージは比較的高いことがわかる。

ただし、なにもTikTokが群を抜いてエンゲージが高いわけではないということにも注意が必要だ。

というのも、Twitterは21.6%、Instagramは26.4%のユーザが1日に1時間以上利用すると回答しているのである。

Z世代の中でも細分化している時代

Z世代といっても、19〜26歳と幅があることに違和感を覚えているという人は、しっかりと分析ができている人だろう。

というのも、19〜26歳とカテゴライズすれば、学生と社会人が混在することは誰でも理解できるだろう。

そして、学生と社会人を比較したときに、とちらが時間を持て余しているか、こちらも想像することは難しくないはずだ。

実際、学生の方が1日のTikTok利用時間が長いという統計データが取れている。

また、学生の中でも1日に1~3時間未満、または3時間以上の長時間TikTokを利用する人は、就活時期以外の学生、つまり大学1~2年生が多いのも想像どおりといったところだ。

理解しやすいと感じるコンテンツが、数秒~1分未満の短尺動画だという傾向もZ世代の中でも若い人ほどその傾向が強いという統計も出ている。

まとめ

SNSに関しては、まずどの媒体がどういった世代に使われ方をしているのかということを意識する以前に、カテゴリから分析する必要があることが理解できたはずだ。

なにをやろうとしているのか、なにをゴールにしているのかによって、現在地と手法が全く異なるということだ。

ザックリいうと、仕事や勉強というカテゴリでSNSを信用している人は少ないので、この分野については真面目とされる媒体での展開を考えた方がいい。

検索で引っかかりやすくするために、SEO対策をするブログやメルマガが有効だというわけだ。

あるいは書籍といった本などで情報を発信したり、万人に受け入れられやすいテレビを主軸に拡散する方法を考察した方がいい。

一方で、趣味や娯楽については、SNSを中心に情報発信をした方がいい。

加えて、Z世代とひとくくりにすることも危険だということも何度も警鐘を鳴らしているとおりだ。

流行り廃りのスピードが圧倒的にはやく変化も激しいという変数と世代も単純にひとくくりにしてはいけないということも当然視野に入れて日々SNSを追いかける必要があるというわけだ。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。