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僕が、結果よりプロセスの共有にこだわる理由 (愛着が生まれるチーム/コミュニティのつくりかた)

結果だけが共有されるチーム

「会議の結果が決まったので、共有します」

チームや組織の運営において、「結果/結論だけが共有される」ことがほとんどです。

それを受け取った人は、結論だけを見て、それに従って行動することになってしまいます。

その結果、
なぜするのか、何のためにするのか、という理由もわからず、ただの答え合わせをすることになってしまいます。

これでは、たとえ答えは合っていても、意図とは違う答えになってしまっても仕方ありません。

ですから私は経営者やチームのリーダーとして、プロセスを共有することにこだわっています。

できるだけ、決定する過程に、多くの人に参加をしてもらいます。
意見を求めるということではなく、見ていてもらうだけでも大丈夫。

この参加には、とっても大きな効果があるのです。

一緒に物語を歩いて、判断基準を共有する

過程を見てもらうということは、物語を一緒に歩いてもらうということです。

道のようなものでしょうか。
一緒に歩くのです。

私たちの道は、こんな風にいろいろな分かれ道を辿って、結論というゴールにたどり着いています。

これを見ると、4回の分かれ道があって、何らかの理由で選択をしているということがわかります。

この4つの段階(フェーズ)を認識して、記録しておくことが大切です。

その段階を上がるときには、何らかの判断基準があります。
そこで交わされる価値をみんなで決めていく、つまり価値基準。
つまり、その価値と呼ばれる、チームが大切にしていることが共有されることがもっとも重要なポイントです。

この時間を共有することで、次の組織を担うリーダーとの共通認識が生まれますし、アイデンティティーのようなものが一緒に培われていきます。

プロセス共有は、軌道修正が容易になる

プロセスを共有すると、軌道修正がラクになります。

事業をしていると、必ず想定と異なることが出てきます。
多くの場合は、前提条件が変わったり、外部環境が変わるなどして、変更をしなければなりません。

…というか、ビジネスってこういうことがほとんどですよね。
修正しつづけるというか、改善し続けるというか。

修正をしなければならなくなったとき、どうしますか?

また密室で検討をして、全く違う結論が出ると、現場は混乱します。
結論だけが変わったものだけが共有され、振り回されているように受け取ります。

「これまでやってことが全部無駄だったのか?」
そんな風にモチベーションも下がることがあるでしょう。

階段で3階まで上ったけれど、2階だったという場合、階段を2階まで戻れば良いのです。
こんな風に、段階を意識していけば、戻る場所がわかります。そこから選択し直すことができれば、新たに進むことができるのです。

☆マークの場所まで戻りました。
ここの場所では、二択しかありません。
進んで選択したか、消去法で選択したのかもしれません。

選択の理由は様々ですが、いずれにしても選択をした時点では、選択肢がなかったのかもしれません。

多くの場合「犯人捜し」をしてしまいがちです。
そんな無駄なことに時間を使うのではなく、前に進むための選択肢を発見することに集中するように意識を向けていきましょう。

新しい選択肢は、知らない人の方が発見できる事も多い

二択しかないと思われていた選択肢が、もうひとつの見つかることがあります。

本当は無限の選択肢があるのでしょう。
でも、何かの条件や制約、環境で、見えたり見えなかったりするのでしょう。

その見えたり見えなかったりということも、ただ知らなかっただけのこともあれば、ただの思い込みということも多くあります。

ですから、選択肢を探す場合も、できるだけ多くの人と一緒に考えることが大切です。
考えるプロセスをシェアしながら一緒に考えていく過程がとても大切です。

新しい選択肢を見つけることは、何も知らないから見つかることがあります。

ビギナーズラックというものがあるように、知っているから見つからないことも、多くあります。
認識が古いままだったりすることは多くあります。

人は見たいものだけを見てしまう、そんな習性があります。

そういった時にも、いろいろな人が参加することによって、新しい視点から、情報を出してもらったり意見をもらうことができます。

こんな風にして、多くの人の意見で決めることのメリットがたくさんあるのです。

人材育成に不可欠

チームやコミュニティで「人が育たない」という相談が多くあります。

ほとんどの場合、このプロセス共有が充分でないからです。

リーダーが孤立したり、チームが機能しなかったり…

物事を決めるときにリーダーが決めなくてはならないという思い込みがあります。
ですが、考えることもチームが共通の頭を持つ、という意識が必要です。

私はコモンビートという団体をつくりました。
当初から退任することを前提に起業をしています。

大切なのは、ひとりで考え考えこまないこと、みんなとプロセスを共有することです。

いろいろな会社や団体の経営に関係していますが、多くの役員会でも、結果だけが共有されることもあります。
プロセスがわからなければ、やっぱり何もわかりません。

特に社外役員などで参加している場合には、普段のプロセスが見えません。内部で関わっている人は日頃のことなので全てが見えるのでしょう、
だから、そこを丁寧に聞くようにしています。
私以外の人も、結論に参加できるよう、私はそのプロセスを共有するための場をつくることがとても多いです。

「みんなで決める」というプロセスを、会議でどのように運営していけるかということも、大切なスキルだと思います。

物語に参加することで、ジブンゴトになる

人は、知ることによって関心が生まれます。

関心が生まれると、欲求が生まれます。

欲求が生まれると、実現したくなります。

こんな風にして、プロセス共有は、自分ゴト(当事者意識)になります。

本当は、誰もが、物語に参加したいのです。

結論を外から見ているのではなく、その過程に参加をしたいのです。

結果だけ渡されると、「誰かが決めたことを実行するだけ、自分は決めたわけじゃないし、知ったことではない。」という部外者のような気持ちにもなります。

プロセスを知っているがゆえに、「あそこの判断は、自分ならこうする」など、当事者意識を持ちながら、結果に携わることができます。

物語に参加をして、物語の筋書きすら変えられるって、楽しいですよね。

そんな風にして、自分の想いを反映していくと、徐々に愛着が生まれていきます。

コモンビートはそんな風に参加型で100人が100日でミュージカルをつくるので、どのチームも自分たちが最高だと思っているし、自分がいなければ成功はなかったと確信しています。

最高ですよね。

僕は12年子育てをしていますが、やっぱり子育てって愛着が生まれます。

いろいろと苦労も多いし悩みも尽きませんが、そのプロセスがあるからこそ、全てが許せたりします。

写真をふり返って、遠い目で「こんな時もあったなぁ。いろいろと迷って判断したなぁ」と思い返すことで、現在が肯定できたりします。

結果だけ受け取って、プロセスがないと、気持ちがなかなか入りません。

共感できる仲間の存在が、さらに愛着を深める

そしてその苦楽体験をみんなで行うことは、気持ちを共有しているという財産に変わります。

子育てのプロセスも夫婦で話をしたり、子育てをしている仲間と話しをすると、共感で心が温まりますよね。

その判断をする時にはいろいろな矛盾などに悩むことがありますが、それでも結果を見て自分がやってきたことが肯定されるというのは、誰もが欲しい感情です。

これはビジネスだけでなく、私たちの暮らしの中でも、プロセスをどう共有していくか、ということはこれからの時代とっても大切です。

プロセスだからこそ参加ができますし、参加するからこそ共感が生まれます。

結果よりプロセスを共有することで、チームやコミュニティの気持ちを高めていく。

まとめ

  • 軌道修正ができるように、段階を踏むことを明確にしておく。

  • 段階を上がるときに、判断をする過程を共有する。判断基準は価値基準であり、価値が共有される。

  • プロセスを共有しておくことで、軌道修正が容易になる。(戻れる判断ポイントがわかる、判断をしなおした過程も理解してもらえる)

  • 知ることで、関心が湧き、欲求が湧き、参加したいと思ってくれる環境をつくる。(場合によっては、参加したくない感情も生まれるので注意が必要)

  • 共有が共感を生み、愛着を深める。


ぜひ、みなさんのチームが共感で温かく育まれていくように、ぜひプロセスを共有していきましょう。