山地雅子 社会保険労務士

両立支援で生産性を向上させる人事コンサルタント。社会保障を知らず介護離職した経験から正…

山地雅子 社会保険労務士

両立支援で生産性を向上させる人事コンサルタント。社会保障を知らず介護離職した経験から正しい知識の普及と啓発をするため社会保険労務士になる。中小企業が「人材確保」と「定着率を向上」させるには、従業員の課題解決がカギを握る。育児や介護、治療と仕事の両立支援をテーマに活動している。

最近の記事

「幸せとは、足るを知ること」 ~災害を通じて気づく幸せ~

能登半島地震から2か月が経ちました。発災直後から医師、看護師、業務調整員(救急救命士や薬剤師などの医療職および事務職)からなるDMAT(Disaster Medical Assistance Team)災害派遣医療チームが現地で活動しています。たびたび報道されているのでご存じの方も多いと思います。それではDWATはご存じでしょうか。 DWATのWはWelfareで「福祉」を意味します。災害時における、長期避難者の生活機能の低下や要介護度の重度化など二次被害防止のため、一般避

    • 「合同企業説明会に出席するのは誰?~人選を間違うと成果につながりません~」

      社会保険労務士の山地です。 今回は合同企業説明会に出展する際に、案外見落としがちな「出席者」についてお話したいと思います。 先月初めに福祉職の合同企業説明会がありました。その直前に事務局に出展予定の事業所から問い合わせの電話がありました。以前から何度か出展されている事業所なのでご不明な点は何だろう?と思ったら、当日の出席者についてでした。 その事業所はいつも人事担当部署の方がおひとりで出席されていました。今回はその担当の方ではなく、施設長がおひとりで出席しようと思うがい

      • その求人票、誤解されるかもしれません!? ~福祉職の新卒求人~

        社会保険労務士の山地です。 今日は採用活動において最も重要な求人票についてお話したいと思います。 今回のケースも合同企業説明会に初めて出展される福祉施設を訪問したときのことです。この施設は会社自体も新しく、障害者のグループホームを新規で立ち上げたばかりです。新たにオープンする施設は求職者には非常に人気があります。 その秘密はズバリ、人間関係においてみんな一緒にスタートできるからでしょう。既存の施設ですと、すでに出来上がっている職場の人間関係に馴染めるのか? 果たして自分

        • 説明資料は“求職者用”になっていますか? ~人材採用に絶対必要な視点は求職者目線~

          社会保険労務士の山地です。 前回に続き、今回も福祉施設さんが合同企業説明会に出展する際に注意したい点についてお話します。 これまで合同企業説明会というものに一度も出展したことがない、ある児童発達支援施設を事前訪問したときのことです。 児童発達支援施設とは、障害のある未就学のお子さんが定期的に通って自立するのに必要な技能や知識などの習得、日常生活に必要な基本動作や集団生活に順応していくためのコミュニケーショントレーニングなどを行う施設です。 特設サイトに掲載する資料や会

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          求職者の心をつかむ! 人材獲得競争をリードする画像の活用

          社会保険労務士の山地です。 新型コロナウィルスが5類に位置付けられ、最近は観光地も街中も以前の賑わいを取り戻しつつあります。 そうなるとまた激しい人材獲得競争が繰り広げられることになります。私は自分の事務所の仕事以外に県の委託事業にも従事している関係で、福祉施設さんの採用・定着の支援をかれこれ7年しています。これまでの経験から採用活動を効果的に行う方法について、ご紹介したいと思います。 先日開催された合同企業説明会に初めて出展する事業所に対し、この春から2か月余りにわた

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          病院受診や介護保険の利用で親に無理強いしていませんか?

          社会保険労務士の山地です。 先日、知り合いの女性からこんな話を聞きました。 近所に住んでいる実母を訪ねるたびに身体の不調を訴えられます。正確にはわかりませんが、関節リウマチのようです。医療機関を受診して医師から薬を処方され、様子を見てそれで良くならなければきちんと治療しましょうと言われても積極的に治療を受けようとしないそうです。 この痛みさえなければと、ある意味自分を“だましだまし”過ごしていらっしゃるようで痛みを自分に訴えられてもどうすることもできません。彼女にしてみ

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          法改正への期待が高まる、仕事と介護の両立支援

          社会保険労務士の山地です。 総務省が発表している「就業構造基本調査」によると、介護・看護を理由に仕事を辞める人は年間約10万人で推移しており、高止まり傾向にあります。介護をする必要に迫られる人は40代後半以降の人で、社内では管理職や中核人材であることが多いです。同省が発表した昨年10月1日時点での日本の高齢化率は29.0%。高齢化率が高くなるにつれ、介護をする人が増えていくことは想像に難くありません。 経済産業省の試算によれば、介護離職による経済損失は年間約6,500億円

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          介護休業だけじゃない ほかにもあります両立支援制度

          社会保険労務士の山地です。 前回は仕事と介護を両立するための制度のなかで利用したことはなくても、名前くらいは聞いたことがあるというものの代表格である「介護休業」についてお伝えしました。 育児介護休業法に基づく両立支援制度は介護休業だけではありません。今回は他の制度についてご紹介します。 「介護休暇」 これも言われてみれば、ありそうだなと思う方もいらっしゃるでしょう。介護休暇は対象家族を介護するための休暇となっていますが、介護休業同様に実態として介護するためのものかといえ

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          介護休業は介護をするための休業ではありません ~育児介護休業法に基づく両立支援制度、あなたはご存じですか?~

          社会保険労務士の山地です。 前回は急速に少子高齢化が進む日本において、75歳以上になると要介護になる人が増えること、家族の介護に直面する人は40代後半から50代の人に多く、その日はある日突然やってくること、介護に直面したからといって安易な退職はハイリスクであることなどをご説明しました。 退職せずに仕事と介護を両立しながら働き続けるために必要なものは「両立支援制度」と「介護保険」の知識です。 両立支援制度のなかで実際に利用したことはなくても、聞いたことはあるというものの代

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          団塊ジュニアの皆さん、準備はできていますか? ~11月11日は「介護の日」~

          「介護の日」は介護について理解を深め、介護業務に従事する人や介護サービスの利用者とその家族を支援し地域社会での支えあいや交流を促進する観点から、国民への啓発を重点的に実施する日として、平成20年に制定されました。(厚生労働省ホームページより一部抜粋) 介護の日が制定された年に社労士試験に合格し、すでに母の介護(看護)を経験している私は個人的に親しみを感じる日です。(*^_^*) 少子高齢化が急速に進む日本 65歳以上の高齢者が総人口に占める割合を示す高齢化率は2022年9

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          求人票、古いままになっていませんか? ~職業安定法が改正されました~

          社会保険労務士の山地です。 今日はマイナーであまり注目されていない(^_^;) 10月1日に施行された改正職業安定法について、求人・採用の観点からどのような点に留意すべきかについて、お話したいと思います。 法改正の目的は次の2点です。 1.求職者が安心して求職活動できる環境の整備 2.マッチング機能の質の向上 そして、改正のポイントは3点あります。 1.求人等に関する情報の的確な表示の義務付け 2.個人情報の取扱いに関するルールの刷新 3.求人メディア等について届出制の

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          ~中小企業の人事ご担当の皆さんへ~ 10月1日出生時育児休業制度がスタート。対応準備はお済みですか?

          お久しぶりです。社会保険労務士の山地です。2か月ぶりの投稿です。 今日は施行が目前に迫った育児介護休業法の「出生時育児休業制度」について、労務管理の観点からお話します。 少子高齢化が加速する日本。令和3年人口動態統計の概要によると、出生数は81万1622人で、前年の84万835人より2万9213人減少し、調査開始以来最少になりました。 仕事と家庭の両立をめぐる現状として、約5割の女性が出産・育児を機に退職しておりその理由のトップは仕事と育児の両立の難しさと回答しています。

          ~中小企業の人事ご担当の皆さんへ~ 10月1日出生時育児休業制度がスタート。対応準備はお済みですか?

          「ハラスメント対策に最も効果的なものは○○」

          社会保険労務士の山地です。 前回は無自覚のパワハラを防ぐために、取り組む課題として職場環境の改善についてお伝えしました。 今回は職場環境を改善した会社は何をしているのか? について、お伝えします。 ♦ウチにはパワハラなんてない 中小企業の事業主さんに社内でハラスメントの問題はありませんか?とおたずねすると、たいていウチは職員からハラスメントの相談なんてされたことはない、見たこともないし聞いたこともないので大丈夫、とおっしゃいます。 しかし、ハラスメントに関

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          「パワハラを防ぐために取り組みたい課題」

          社会保険労務士の山地です。 前回は退職していく人の2人に1人は「本当の理由」を告げずに辞めていくこと、理由は人間関係、なかでもパワハラやセクハラで辞めている人が40%を超えていることをお伝えしました。 今回は無自覚のパワハラを防ぐために取り組みたい課題について、お伝えします。 ♦職場環境の改善 令和2年度「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(厚生労働省)によれば、 現在の職場でパワハラを受けたことがある人にたずねたところ、パワハラが起きやすい“職場の特徴”とし

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          「人材流出を防ぐために知っておきたい視点とは?」

          社会保険労務士の山地です。 人手が足りないのに職員が辞めてしまう。それでなくても採用には苦労しているのに、追い打ちをかけるように辞められてしまうのは、本当にツライですよね。 職員の補充も決して容易ではなく、採用できたとしても戦力になるまでには多少なりとも時間がかかります。現場の負担も増え、管理職をはじめ職員さんも気持ちに余裕がなくなり疲弊していく一方です。 退職の理由がわかれば対策できますが、退職の理由を聞いてもはっきりわからないことが多いのではないでしょう

          「人材流出を防ぐために知っておきたい視点とは?」

          「働く人を犠牲にしていませんか?」

          社会保険労務士の山地です。 前回はヘルパーさんの移動時間は労働時間なのか?ということについて、考察しました。今回もヘルパーさんの業務においてよく問題になる、キャンセルがあった場合の保証についてお話します。 ヘルパーステーションは施設の介護職と比べて、さらに深刻な人手不足に見舞われています。地方にいくと訪問介護を希望してもヘルパーさんが足りないために、仕事を受けることを制限しなければならない事業所もあります。 介護保険という国が運営する保険において事業を営むので、あ

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