「パワハラを防ぐために取り組みたい課題」
社会保険労務士の山地です。
前回は退職していく人の2人に1人は「本当の理由」を告げずに辞めていくこと、理由は人間関係、なかでもパワハラやセクハラで辞めている人が40%を超えていることをお伝えしました。
今回は無自覚のパワハラを防ぐために取り組みたい課題について、お伝えします。
♦職場環境の改善
令和2年度「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(厚生労働省)によれば、 現在の職場でパワハラを受けたことがある人にたずねたところ、パワハラが起きやすい“職場の特徴”としてあてはまるものは多いものから順に次の5つでした。(複数回答)
・上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない(37.3%)
・残業が多い/休暇を取りづらい(30.7%)
・業績が低下している/低調である(28.6%)
・従業員の年代に偏りがある(27.2%)
・失敗が許されない/失敗への許容度が低い(23.7%)
これらの特徴は単独ではなく、複数が絡み合っているものと思われます。
ハラスメントが起きる要因のひとつとして挙げられるのがコミュニケーションの不足です。パワハラに限ったことではなく、他のハラスメントでも同じです。
無自覚についやってしまいがちな例としては、このようなものがあります。
・「なぜ指示どおりに動かないのか?」
上司が完璧主義者だと自分のやり方が正しいと信じ、自分の思いどおりに動かない部下に対して怒りを感じ、このような言葉を発してしまいます。
・「頑張ればできる」「努力が足りないから目標を達成できないんだ」
一見部下を励ましているように見えますが、これらが口癖になっている上司は根性論を押し付けていることに気が付いていません。
・「懇親会になぜ参加しないのか?」
コミュニケーションを図るために毎月のように開催しても参加しない部下に対して、執拗に理由を問いただせば、業務の適性な範囲を超えてしまいます。
このように無意識にやってしまっていることを意識することができれば、行動が変わります。行動が変われば結果が変わります。
職場風土が改善しハラスメントのない働きやすい職場環境であれば、これを理由に退職する人がいなくなり、生産性が上がれば業績も向上します。
次回は、職場環境を改善した会社は何をしているのか?について、お伝えします。
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