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その求人票、誤解されるかもしれません!? ~福祉職の新卒求人~

社会保険労務士の山地です。

今日は採用活動において最も重要な求人票についてお話したいと思います。

今回のケースも合同企業説明会に初めて出展される福祉施設を訪問したときのことです。この施設は会社自体も新しく、障害者のグループホームを新規で立ち上げたばかりです。新たにオープンする施設は求職者には非常に人気があります。

その秘密はズバリ、人間関係においてみんな一緒にスタートできるからでしょう。既存の施設ですと、すでに出来上がっている職場の人間関係に馴染めるのか? 果たして自分は受け入れられるのか不安なものです。その点、新しくできる施設では入職時期が一緒なのでそういう心配をしなくてもよいのでしょう。

ネットの大手人材サービス会社に求人票を出したり、ハローワークでミニ面接会をしたりして順調に採用できています。合同企業説明会に出展する目的は主に新卒学生等の若い人材を獲得したいということでした。

特設サイトに登録されている求人票を拝見して、う~む・・・ちょっとイマイチなところが2点ほどありました。

1.職務内容
「障害者の共同生活の支援員(世話人、料理・洗濯補助、一部介助)」と記載されています。求めているのは「支援員」なのか?それとも「世話人」なのか?

求人票は新卒専用求人です。学歴が専門学校卒以上で介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士等(取得見込)のうちいずれか必須になっています。

支援員と世話人の違いについて、私はデイサービスの生活相談員しかやったことがないので、正確にはわかりません。しかし一般的に世話人は利用者のために調理や洗濯、お風呂を沸かす、掃除等のいわゆる家事援助を求められていることが多くたいていはバートタイマーです。

専門知識をもった資格取得者を求めるという点から考えると、障害者とより深く関わり自立支援を主な業務とする支援員であると考えられます。

2.賃金が年俸制
年俸制が決して悪いわけではありませんが、福祉職で年俸制の求人票は一般的ではありません。まして新卒(大学等)求人であればなおさらです。

何が困るかというと求職者の立場からすると、ほかの求人票と比較できないからです。基本給のみ表示があり、それ以外の各種手当は空欄です。

通勤手当を支給しているところは多いですが、通勤手当も込みなのか? それとも支給しないのか?

賞与ありでも、賞与は別に支給されるのか? それとも年俸に含まれているのか?

夜勤の回数は明記されていますが、夜勤手当はそもそもいくらなのか?

時間外勤務はおおむね10時間になっていますが、これは固定残業代込みということなのか?

何もかも「込み込み」であれば、下手をすれば“ブラック”とも受け取られかねません。

たとえ年俸の金額に魅力を感じたとしても、それだけの金額をもらうということはかなりレベルの高い仕事ができないといけないのではないか?と逆に尻込みされる可能性もあります。

もうひとつ忘れてはいけないのは親の存在です。一般の転職者と違い、新卒学生の場合は多かれ少なかれ親にも相談しているはずです。親がこの求人票を見たらどう思うかも考慮しないといけません。

福祉の仕事を理解されていればいいのですが、そうでない親であれば、調理や洗濯をさせるために大学まで出したわけではないと思うかもしれません。逆に調理や洗濯だけで年俸○百万も支払われるなんて、おかしいと思うかもしれません。

この施設は障害の種別を問わず難病の方まで受け入れるということなので、それ相応の知識や援助技術が必要な点から考えても職務内容の記載に工夫がほしいところです。

そもそもですが、年俸○百万欲しいとはっきり言ってくるのは、長年キャリアを積んだ施設長(管理職)待遇で転職したいと考えるようなごく一部の人です。福祉を志す新卒学生にはほとんどいません。

きちんと教えてもらえてよかったです、と社長からは言われました。

誤解されないように、求人票はわかりやすく記載していただきたいと思います。(*^_^*)


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