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社会人2年目に倒れた話

デザイナーのつぼたです。学生や社会人の方々、無理したりしていませんか。最近、フリーランスやデザイナーの体調に関してのお話をよく見かけます。実は私も体調を崩したことがあります。今回はその体験談を少し話させていただきます。

社会人2年目

 T社にインハウスデザイナー(社員として所属しているデザイナーのこと)として入社して2年目。

当時私は、初めてプロダクトデザインの担当を割り当てられていました。それまでは先輩のサポートでカラーデザイン、グラフィックデザインをやっていたので、やっとメインでプロダクトデザインができる!と張り切っていました。製品は低価格のもので、先輩がサポートに付いてくれて新人としては丁度いい難易度だったのだと思います。スケッチをたくさん描き、どの方向性にしようかという打ち合わせを重ねて試作モデルも作成していました。

しかし、突如としてその企画は「低価格製品よりも主力製品をなんとかすべきではないか」という鶴の一声によって、会社の中心の超主力製品のデザインへと変わってしまいました。今同じことが起きてもそれほどプレッシャーには感じませんが、当時は新人で社会人として初めての大きな仕事&初プロダクトデザイン。すごくプレッシャーに感じます。そこからは大変で、頑張って頑張って修正&変更をしていきました。

先輩も当時の私に取っては厳しく、相談をしたくて「今お時間良いですか」と聞くと、こっちも向かずに強い口調で「無理」とだけ言うような方でした。私は中高大と厳しい先生に教わっていたので厳しいことに関しては耐性がありましたが、一方的でコミュニケーションの取れないことにはストレスがありました。

それぞれの要因だけならマシなのですが、さまざまな要因が複合的にメンタルを追い詰めていったのだと思います。

倒れる

ある程度デザインが固まり、スケッチを見ながら方向性のミーティングをすることに。簡易的なミーティングなので立ったまま行なっていました。メンバーは先輩デザイナー、デザイン部長、企画担当、事業部長、私の5人の少人数。

そんな時、眠くもないのに突然まぶたが下がってきたのです。「あれ?眠たくないのに」と思ったのを覚えています。

眠そうに見られないように耐えていましたが、次に急にトイレに行きたくなり、部長に断ってトイレに行きました。用を足していると目の前がどんどん白くなっていきます。

これはおかしい。

そう思って、一旦自席に戻って座りましたが、力が入らず座っていることも難しくなり、床に倒れこみました。「顔が真っ白だ」という声が聞こえます。運がいいのか悪いのか気を失ったりはしませんでした。周りに人が集まるのを感じました。

少しすると産業医の方がやってきて倒れた状態のまま診断をしてくれました。自律神経失調症による起立性調節障害のようだという診断です。キャスター付きの椅子で運ばれ、社内にある血圧計で血圧を測定してみると、上が70〜80くらい、下が40〜50くらいだったように記憶しています(正常値は上120〜130、下80〜85)。

そこから5〜6時間ほどベッドで寝ていました。少しマシになり、産業医さんの書いてくださった診断書と紹介状を持って病院へ行き、2週間分の薬をもらいました。

自律神経失調症

自律神経失調症を調べると厚生労働省が説明をしてくれていました。

ストレスなどが原因で、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れて出る様々な症状。
 
自律神経失調症は、自律神経がストレスによって正常に機能しないことによって起こるさまざまな症状の総称です。
 
神経は「中枢神経」(脳と脊髄)と体中に張り巡らされている「末梢神経」に分けられます。
末梢神経は意思によって身体の各部を動かす「体性神経」意思に関係なく刺激に反応して身体の機能を調整する「自律神経」に分けられます。暑いときに手で仰ぐのは体性神経、汗が出るのは自律神経の働きです。
 
この自律神経は、交感神経と副交感神経という逆の働きをする2つに分かれています。交感神経は身体を活発に動かすときに働き、副交感神経は身体を休めるときに働きます。これらが互いにバランスを取りながら身体の状態を調節していますが、このバランスが崩れることがあり、その原因として、不規則な生活によって自律神経が興奮し続けたり、ストレスによる刺激、更年期におけるホルモンの乱れ(更年期障害)、先天的要因などが挙げられます。
 
全身的症状としてだるい、眠れない、疲れがとれないなど、器官的症状として頭痛、動悸や息切れ、めまい、のぼせ、立ちくらみ、下痢や便秘、冷えなど多岐にわたります。
精神的症状として、情緒不安定、イライラや不安感、うつなどの症状が現れることもあります。
 
治療法として、ホルモン剤などによる対症療法や睡眠の周期を整える行動療法などがありますが、ストレスのコントロールと生活習慣の改善(規則的な睡眠と食事)が最も大切なことです。

厚生労働省「e-ヘルスネット」

自律神経失調症は様々な症状が起こるので一概にはいえませんが、自律神経の説明に「意思に関係なく刺激に反応して身体の機能を調整する」という説明があるように、私の症状は分かりやすいです。
・まぶたが下がってくる → 頭に血液を送れない
・トイレに行きたくなる → 尿意・便意を制御できない
・目が霞む → 頭に血液を送れない
・顔が白くなる → 頭に血液を送れない

なんだよー、ただの低血圧かよ。自律神経失調症で倒れるなんて大したことないよ、と思っている方もおられるでしょう。たしかに大きな病気と比較すると大したことないかもしれません。

ですが、極端に血圧が下がりすぎると臓器に損傷が起きる可能性もありますし、駅のホームや道路で倒れれば事故につながることもあります。イメージとは異なり下手をすれば命に関わるので、気をつけないといけないのです。

精神的な不調の前兆

仕事をしていると「頑張らないと」と思うシーンは多く存在しています。真面目な人は「逃げてはいけない」と考える人も多くいます。ですが、自律神経失調症になって感じたことは、肉体的な不調は前兆がありますが、精神的な不調は前兆がほぼなく、前兆=発症だということです。ダムが決壊するように急にきます。

しかも一度崩してしまうと、一生付き合っていかないといけなくなるかもしれません。私も10年ほど前になった自律神経失調症ですが、未だに困っています。少しでも調子が悪い時は勢いよく立ち上がらないように、無理しないように。

ちなみに、先週木曜の血圧は「最高血圧101、最低血圧67」でした。その3日前の最高血圧が98だったので少し上がりましたが、まだまだ低血圧です。

少なくとも2週間に1回、血圧を計測しています。

ときどきネット上でもっとギリギリまで無理をしろという意見も見かけますが、仕事をしていると無理をしないといけないタイミングは必ずあります。その時に無理できるように体調を整えておくことが必要だと思います。あとはちゃんと「逃げること」を覚えたほうが良いですね。

みなさんも体調にはお気をつけください。
ではー。

P.S.
倒れながらデザインした製品は無事発売されました。かなり前なのでもう売っているお店はないと思いますが「BC-313」という製品です。

倒れながらデザインしたBC-313

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SPOT DESIGN 坪田将知

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