見出し画像

ウォーミングアップとクールダウンをしよう【Doctor Tのスポーツ・エクササイズ医学】

こんにちは、Doctor Tです。お正月休みも終わり、日常に戻っていることと思います。お正月に食べすぎてしまった人、これから取り戻しましょう!

ところで皆さんは運動する前後でウォーミングアップやクールダウンをしていますか?

ウオーミングアップとクールダウンの主な目的

基本的に運動による体の変化が急激に起こらないように徐々に変化させるのが目的です。それは筋肉と関節の問題だけではなく、心臓や呼吸の機能も忘れてはいけません。

アメリカスポーツ医学学会でも効果的に筋肉の疲れやダメージから回復するためのウォーミングアップやクールダウンの11項目を紹介しています(リンクはこちら)。

いきなり結論ですが、一般的な運動であれば以下の図のことをやればよいでしょう。

最低限やっておきたいウォーミングアップとクールダウン

それぞれに少し解説を加えます。

1. ダイナミックウォーミングアップ

ウォーミングアップは数分軽く走ったり、バイクをこいだりして心拍数を徐々に上げた後、関節の可動域が広がるように関節を動かしていきます。小さな動きから徐々に大きな動きに広げていきます。
血流を増やすことによって、筋肉痛が長引くのを防ぐ目的もあります。

2.アクティブクールダウン

5−10分ほど軽い有酸素運動をしましょう。軽いジョギングから徐々に歩いたり、バイクで徐々にスピードを落としていきましょう。運動が終わった後に、ウォーミングアップの逆、つまり心臓から送り出される血流を徐々に減らして体温を下げていくのが目的です。

急に立ち止まってしまうと、心臓から勢いよく送り出されている血液が下半身から心臓へ戻ってこられなくなり、下半身に血液が滞ってしまう原因になります。血液は心臓から全身に酸素や栄養を送り込み、全身から老廃物を運んで来る役目があります。そのため血液は全身をバランス良く循環している必要があるのです。

運動中は特にふくらはぎの筋肉が伸縮することによってそれが心臓のようなポンプ代わりになり、重力に逆らって血液を心臓に戻しています。突然足の動きだけを止めると循環のバランスが崩れます。足を軽く動かしながら心拍数を下げれば、下半身から戻すことのできる血液も減りますが、心臓から送り出される血液も同時に減らせます。

以前、マラソンなどで急に立ち止まると倒れてしまう原因でも紹介しました(note:マラソンなど耐久系運動で倒れる原因)。

3.ストレッチ

運動によって硬くなったり疲労した筋肉をゆっくり伸ばすことによって、あとの筋肉痛を和らげたり、運動で崩れた筋肉のバランスを整えます。使った筋肉は硬くなり、スポーツやエクササイズの場合は同じ動きを繰り返すので、使う筋肉グループが偏りがちです。(参考note:ストレッチを深堀りする

4.水分補給 hydration

これは運動後に限らず、運動前、運動中も大切な要素です。パフォーマンスを上げるだけではなく回復の鍵にもなるので忘れないようにしましょう。(参考note:どうする?ドリンクの中身)。

5.栄養

まずは十分なカロリーを摂る!炭水化物はエネルギー源で、ある程度体に蓄えておくべきものです(グリコゲン)。一方でタンパク質は壊れた筋肉を補修します。脂質も成長ホルモンなど回復に必要なホルモンを出す上で欠かせません。詳しくはまたの機会に説明します。

6.休養と睡眠

強い強度の筋トレは同じ部位の場合48時間間隔を開けたほうがいいと言われています。筋肉が回復するのにそれくらいの時間がかかるからです。ただし、この間に軽い運動はしても大丈夫です。有酸素運動やヨガなどが勧められています。

7.筋膜リリース 8.フォームローラー

自分でできる筋膜リリースの方法がアメリカスポーツ医学会から出ています(こちらを参照)。

フォームローラーもその一つですが、2.5センチ/秒位のスピードでトータル30−60秒くらい、自分の体重を使って、骨や関節の上ではなく、筋肉をマッサージしましょう。特に硬いと感じるところは10-15秒ほどその部分を集中的にほぐします。

9.マッサージ

マッサージによって血流を増やし代謝を良くするので痛みが軽減したり炎症が軽減されると言われています。

10.冷却療法 

冷却療法はエリートアスリートでないとあまり馴染みが無いと思いますが、冷たい水もしくは温かい水の中に入って水圧で体を回復させるwater immersionとcryotherapyというものがあります。

11.圧迫

マッサージチェアの足マッサージをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。ケガをしているときなどはこの方法を利用していいかを専門職に確認してからにしましょう。

まとめ

  • ウォーミングアップやクールダウンは運動による体の変化を穏やかにするために大切

  • 関節や筋肉だけではなく、心臓や肺の準備も必要

  • 運動前も後もまずは心拍数を調整してから可動域(ストレッチ)へ

  • 疲労回復には水分や栄養を摂ることや休息も大切

ウォーミングアップは自分でもからだが硬いとか冷えているという自覚があるのでやる人が多いかもしれません。一方でクールダウンは早く家に帰りたいなどの理由でスキップされることが多いと思います。

クールダウンしなくても、筋肉痛や疲労はだいたいこんなもんだと受けて入れていませんか?一度、クールダウンをした時・しない時を比べると効果が実感できるかもしれませんね!

# DoctorT
#ドクターT
#スポーツ医学
#ウォーミングアップ
#クールダウン
#ストレッチ
#ケガ予防
#スポーツセーフティ
#疲労回復
#健康

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?