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どうする?ドリンクの中身【Doctor Tのスポーツ・エクササイズ医学】

こんにちは、Doctor Tです。皆さんいかがお過ごしでしょうか?

最近寒くなってきたので、肩に力が入ったり、着る服が重くなったりしますよね。そう、肩が凝りやすくなる季節です。しっかり暖めてストレッチをしましょう!ストレッチについてはこちら

今回は前回に続いて高強度の運動をするときの飲み物についてです。前回は水分と炭水化物(糖分)の役目など概要をお話しました。今回は具体的な量など実践的な話をします。参考資料は前回と同じ以下です。

水分は足りてますか?

水分量は体重を指標に

体内の水分を直接測ることはできません。でも、水分量の「変化」を体重の変化で読み替えることができます。もちろん、たくさん食べた後はその限りではないですが、概ね代用できると言えます。

まずは自分のベースとなる体重を知ろう

自分のベースの体重を知るには、普段から朝一番の排尿後に体重測定しておくのがよいでしょう。この朝の体重の変化は概ね1%以内に収まるはずです。

運動後に減ったの体重分を水分で補う

運動中にも定期的に水分を摂りますが、それでも多くの場合運動後に体重は減っています。それが汗などで失われた水分と考えます。

私の所属するバスケチームの選手は1.5時間の練習で平均1.5kgほど減っていました。これは外国人選手も入れての平均なので普通の日本人はこれより少ないですし、子供であればもっと少ないでしょう。やはり自分の体重変化に合わせて水分を摂るのが大切です。

練習後体重を測るとき、汗だくになったユニフォームなどは脱げるだけ脱ぎましょう。着たまま体重計に乗ると、服についた汗も体重にカウントされてしまい、体重の減り(=失われた水分量)が実際より少なく見えてしまうからです。

ただ、最近は水分摂取が強調されるあまり、次のような問題も生じています。

低ナトリウムに注意!塩分を忘れるな。

最近は脱水の観点から運動時の飲水が強調されるようになっていますが、真水は推奨されません。塩気ゼロの水を多量に飲むことによって、脱水の反対に位置する低ナトリウム血症になる人がいるからです。以前「耐久系運動で倒れる理由」で紹介しました。素人のアスリートに多いと言われているのでご注意下さい。

飲み物のナトリウム濃度は50-70mg/100mlが目安

これを予防するために水分には適切な量の塩分(ナトリウム)が含まれている必要があります。もしくは、塩をタブレットなどで補給することでも代用できます。塩分を加えることによって浸透圧が上がり、水分の吸収が良くなるようです。

エネルギー源の炭水化物はどうするか

試合前に十分に炭水化物を蓄えておくことが重要

今回紹介した運動中の栄養は使った分を補います。でもこれで追いつけないこともあるので、これに加えて、本来は長距離ドライブの前にガソリンを入れておくような「イベントの前に」「計画的に」炭水化物を追加補充しておく必要があります。これはまた別の機会にお話ししたいと思います。

試合中の補充は

炭水化物として30-60g/時間での補充が勧められています。またスポーツドリンクの炭水化物含有量は5-8%つまり100mlあたり5-8gが勧められています。

ポカリスエットを例にすると100mlあたり炭水化物が6.2gなので、1時間に500−1000mlほど飲むと良いということになります。

もちろん、一気に1時間分摂るより、休憩ごとに分割して摂ったほうがいいです。

スポーツドリンクのわかりやすい比較表が以下にありました。

よく見かけるスポーツドリンクは実は炭水化物の含有量が少ないですね。激しい運動をしない場合に飲まれることも考慮してのことかもしれません。

高強度運動時飲料の推奨

説明が難しかったかもしれませんが、まとめると高強度のときの水分補給、エネルギー補給の推奨はこのようになります。

スポーツドリンクをメインで使いながら、好みに合わせて水を少し増やしてみたり、糖分を固形物で追加するというのが現実的かなと思います。

まとめ

  • 体内の水分量の変化は体重の変化で代用

  • 運動後に減った体重分を水分で補う

  • 真水ではなく塩分(ナトリウム)も加えて

  • 1時間分を一気に飲むのではなく分割して徐々に補充を

  • スポーツドリンクをベースに水や固形の糖分で微調整を

選手には飲みなれたスポーツドリンクの味というものがあると思います。私の所属するバスケチームの選手の好みも様々です。気持ち悪いのに推奨通りの飲み物を無理矢理飲むのは続きません。

ただ、食わず嫌いの可能性もあるので推奨の飲み物から始めてみるのはいいかもしれません。これは私が実際にチームで経験したのですが、意外に味に慣れてくるということもあるのです。

推奨の飲み物は、パフォーマンスを最大限に引き出したり、けがや障害を予防するのに最も適切だと理論的に検証された結果の内容です。

本来の栄養の目標を達成するために推奨を知っておくことは大切ですし、よりよい栄養補給を継続可能にするためには選手の好みの味に合わせていくのも大切です。

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