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定期的に鬱になるわたしと、職場の話


10月、わたしは月の半分鬱でベッドから出られなかった。

わかりやすいようにタイトルは「鬱」という表現にしているけれど、おそらく「自律神経失調症」に近い症状だと思う。心療内科にも行ったけれど、いろいろな条件が複合的に合わさって症状が出ているので、なにか診断名がついたわけではない。なので、ここでは鬱状態と言うことにする。

(ちなみに今年の10月は台風が続いたり一気に気温が下がったりしたせいか、わたしと同じような症状に苦しんだ人は多いみたい。)

今わたしは新卒1年目。大学生の頃から、悶々としてベッドから出られないことはちょくちょくあった。でも、大学には比較的真面目に通っていた方なので、数日休んだところでなんの問題もなかった。けれど、社会人になったいまはそういうわけにはいかない。

半月鬱状態になるということは、半月仕事ができないということだから。(お仕事のご連絡が遅れてしまったり、予定をリスケしていただいた方、ご迷惑をおかけしました。)

いわゆる鬱状態になるとき、わたしがどんな状態なのか、そして、そのとき一緒に働く仲間がどんな言葉をかけてくれたのかを、

わたしと同じような症状で苦しむひとや、チームとしてのより良い働き方を模索している人に向けて言語化してみようと思う。


どんな状態になるのか?

わたしの症状は、主に「気候の変化によって起こる」、というのが今のところの分析結果。だから、コントロールができない。

今回はおそらく台風による気圧の変化と、20°以上(なんなら台風の前は30°の日も)あった気温が、一気に20°を下回り一気に寒くなったせいで、それにからだが適応できなかったのだと思われる。


わたしが鬱状態になるときの症状をお話すると、

まず、文字通り動けなくなる。ベットとトイレの往復しかできなくなり、ご飯を食べるのもお風呂に入るのもやっと。ほんとうは仕事もしたい。なのに、からだが動かないのだ。

そうすると、どういう思考になるか。「どうしてみんな毎日働いてるのに、わたしだけベットから動くことすらできないんだ?」「わたしが怠けているから?自分のせいなんじゃないか?」そんな風に、自分を責める気持ちになる

しかも、鬱状態のときは酷い眠気にも襲われるので、余計に「ただ寝たいだけなんじゃないか?」と自分を責めたくなるのだ。(でも寝ても寝ても異常な眠気に襲われるので、明らかに自分のせいじゃないのだけど。)

そして、頭が正常に働かなくなる。ややこしいのが、うまく思考ができないので、自分が「いま鬱状態なのか」の判断ができないのだ。

無理やり外に連れ出してもらえば、少し元気になるので(正確には元気になったように感じるだけなのだけど)、治ったような気になってしまうのだけれど、やっぱり明らかに仕事ができる状態ではないし、家に帰ればベットから1mmも動けないのだ。

そして、これまたややこしいのが「できない奴、って思われたくない」という意識が働くこと。新卒1年目でただでさえできないことが多いのに、1週間も休んでられない。

だから、「早く鬱状態から抜け出さなっきゃ」と焦ってしまうし、いまが鬱状態で仕事ができないってこともチームのメンバーにいうのが申し訳なくて、仕事を頼まれても断れない。

(ただでさえ溜まっている仕事が頭にひっかかって休んだ気になんてなれないから、仕事を増やしてしまってももっとつらくなるだけなのに。)


そんな状態が1週間くらい続くと、ようやく気候の変化に体が慣れるのか、通常モードに戻れる。そうすると、びっくりするくらい仕事が捗り、いろんなことが考えられるようになる。

そして自分のことも客観的に見れるようになり、「あぁ、自分は鬱状態だったのか」とそこでやっと自分が鬱状態だったことが認識できる。

これらはあくまでわたしの症状だけれど、周りの人に話を聞く限り、同じような症状のひとも多いように感じる。


人間として働くということ


鬱の話をすると、「仕事が大変なの?」と心配してくださる方も多くいる。

もちろん、社会的立場や環境が変わったことや、リモートで働けることで仕事とプライベートが分けにくいということ・複数の仕事をしていることは、この症状に至る要因としてないとは言い切れないけれど、基本的にわたしの鬱状態は気候によるもの。

なので、仕事はというと、ほんとうに素敵なメンバーに囲まれて、すごく楽しく働かせてもらっている。


ここまで話してきた症状は、10月が圧倒的に酷かったが、働きはじめてからの約半年で何度もあった。

そんなときの一緒に働く人たちの対応はというと、感謝してもしきれないほどに理解をしてくださっていて、たくさんの言葉に本当に助けられた。(もちろん、もっとこうしてほしいというオーダーや、わたしの成長の余白はあるだろうけれど。)

そのいくつかを紹介したい。

わたしが働く会社アスノオトの代表である信岡さんは、症状が出始めた頃から理解をしていただいていて、

「パフォーマンスの凸凹具合が、ほんと人間らしいね。」
「アスノオトのクレド(大事にしたいこと)は『人間の凸凹と、ともに生きる』だね」

と言ってくださったのが、とても印象だった。

そして10月の本当にひどかった時期には、同じくアスノオトのまりこさんがご飯に連れて行ってくださったり、お仕事でご一緒しているYOSHさん(兼松佳宏さん)が、

鬱は心の風邪だから、(普通の風邪と同じように)もっと理解が広まるといいよね。

と声をかけてくださったりもして、本当にありがたかった。

さらには、グリーンズで一緒に働く大智さんが、「どうやったら弱さを受け入れて働けるチームになれるか」を考え、noteにまで書いてくれたのだ。わたしが動けなかったしわ寄せは大智さんに行き、迷惑をかけたはずなのに、本当にありがたいことだ。

わたしはもともとPMS(月経前症候群)といって、生理前の気持ちの浮き沈みが激しくなる持病も持っていたので、そのことも含めて、一緒に考えてくださった。

文章中の、「仕事は人間が勝手に作り出したものなんだから、仕事に人間が合わせるんじゃなくて、人間に合わせた仕事の設計にできるはず。」というのは、本当にその通りだなぁと思う。

鬱状態になるのはほんとうに大変だけど、それを理解し、さらには「弱さを受け入れながらのチームづくり」を一緒に考えてくださる(なんならそれすらも楽しんでくれている)メンバーに囲まれて働けることは、ほんとうにありがたい…。


そして、一番印象的だったのは、グリーンズの代表菜央さんのコメント。

 気候の急激な変化によって動けなくなるのは、動物としての本能。そのほうが生き残る可能性が高い(場合がある)からだって理解してるよ。そいちゃんは、動物としての本能が強くでてるんじゃないかな。仕事という概念は最近200年の話で、動物の本能は億年単位の話。本能をベースに社会を作るべきだと思う。
 持続可能な社会というのは、みんなの体の声に忠実に動ける社会だと思うなー。普通の人は調子悪くても仕事を同じペースでつづけちゃうけど、そういう人が多いと、社会は変わらない。そいちゃんの存在に意味があると思うよ。だから、こういう投稿をすることは、とてもいいことだと思う。

仕事ができないことに引け目を感じていたときにこの言葉をかけてもらって、本当に救われた。

ここに書けないくらい、多くの人に助けられて、なんとかこの症状と付き合っている。

自分がこの症状と付き合うようになってわかったのは、日常でそこまでストレスを感じていなかったり、楽しく働けていても、簡単に心やからだが疲弊したり動かなくなってしまう、ということ。

だから、普段もっとストレスを感じながら働いていたり、(菜央さんのいうように)毎日同じぺースで働いている人は自分のからだの声を無視してしまっていたりするのだと思う。

グリーンズでは、「いかしあうつながり」をビジョンに掲げて、様々な活動に取り組んでいるのだけど、まさにこれから必要なのは「いかしあう働き方」なのだと思う。弱さを含めた個々の持つ特徴を「いかしあう」働き方。

でこぼこだらけのわたしの存在にも意味があると信じ、本来の人間らしさに合わせた働き方を、これからも仲間とともに模索していきたい。

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