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発達障害・知的障害【障害者施設でのこと】大好きなエンタメと彼らの距離、僕が驚愕した事実

今日は、障害者施設にいた時に受けた衝撃と当時の私の活動の記憶を綴ろうと思う。
義務教育を終えた年齢から前期高齢者までを幅広く受け入れていたその施設で、エンタメや芸術が大好きな人たちと出会ったお話。

まずは、そもそもの経緯から。

学生時代からメンタル系の疾患を抱えていた私は、十数年前に障害者福祉施設の門を叩いた。
それは“このまま働き続けてはダメだ……!”と思った矢先の出会いだった。

【エンタメが大好きなのに、エンタメが遠い】

その施設では、月1でレクリエーションの日があった。

ミーティングで「どこに行きたい?」とスタッフが聞く。

通所者たちが答える。

「イオン」
「TSUTAYA」

スタッフは言う。

「またそれ?他にないの?」
「レンタルの返却は送迎車で帰りに寄ってあげるから、違う行きたいところ教えて?」

彼らは黙り、その後に意見は出なかった。

他の月も、近所のスーパーや散歩ですぐに行ける範囲ばかり。

私は絶句した。

彼らは一体どれほど狭い世界に生きてきたのだろうか、と。

普段、行きたいところと聞かれて思い浮かぶ範囲。
それがあんまりにも狭いのだ。

音楽やライブが好きでも、フェスやライブに行くという選択肢を知らないのだ。
はたまた、自分は行けないものだと諦めている。
更にPC操作が苦手な人は、その人にとっての音楽やライブはレンタルショップにしかなかった。

そして、賑わったところやイベントのあるモールへ買い物に行くという事が近所のスーパーしかない。

何たる……何たる事を…!!!

音楽・アニメやドラマ・本・ラジオ……エンタメや芸術が大好きな彼らが、ライブに行ったり観劇に行ったり美術館に行ったりと“生”の経験を出来ないような生活に閉じ込められている気がした。

画面や紙面越しにしか好きを摂取できない。
それが物理的な“出来ない”ではなくて。
自分で選んだ、無理のない範囲でもなくて。

“介助者たちのゆえに”という環境の問題であること。

環境のゆえに、選択肢を知らないということ。

当時の私は、筆舌に尽くし難い衝撃と悲しみに襲われたことを今でも覚えている。

【私の活動】

当時の私はすぐさま様々なレクリエーションを提案して、実行委員をして、写真をたくさん撮って、施設だよりにそれらを掲載した。

SLに乗ってお花見に行こう!

とか、

美術館に行こう!

とか、

夏祭りをしよう!

とか。

季節や場所も色とりどりに。

電車に乗って出かけるだとか、集団行動だとか、友達とだけで飲食店に入って自分で選び自分で注文をし自分で支払いをするだとか、機能訓練にもなる事を必ずレクリエーション内容に含むよう心がけた。

僕はこれらを金を払って通所者の立場でやっていたから、必要なことであって自分も楽しくやっていた事だけど……本来は自分の領分ではないから、とっても不満は蓄積していった。というのはまた別のお話。笑

【施設だよりの発行】

絵を描くことが好きな人たちのイラストも、施設だよりに掲載した。

「描いたよ!これ載せて!」

そう言って絵を持ってきてくれるようになった。
とても嬉しかった。

「この絵、載せていい?」って聞くと、恥ずかしそうに「えーっ」って言う実はとっても嬉しげな顔が好きだったりもした。

それは、保護者たちへ施設内での我が子の活動をお知らせするためでもあった。
幼子のように「これ、ぼくがかいたの!」「お出かけ楽しかったよ!」って家でコミュニケーションをとってもらうツールでもあった。

施設だよりを定期的に発行していたのは、施設見学の保護者会や自分の家族から「施設で普段どんな活動をしているのか」「うちの子はどんな様子ですか?」等という声があったから。

そして過去には、不定期に施設だよりを発行していたがスタッフが忙しくてなかなか発行出来ていない、という事も知ったから。

メンバーや保護者には、良い感じに反応をいただけていた。

【派生する変化】

年1の合宿訓練には、施設長の念願だったのか登山というアクティビティに参加したいというメンバーも出てきていたり、道中に体験施設や自然保護の観光地など“生”の体験を楽しみにしてくれる人もいて。

そのことも、そのイベント中のみんなの開放的な笑顔も、本当に嬉しかった。

お花のテーマパークで、テラスでお弁当を一緒に食べる笑顔。
駅前の足湯でみんなでほっこりしたり。
美術館でお土産を一緒に選んだり。
流しそうめんをしたり。

とても嬉しかった。
とても楽しかった。

そういった笑顔やリラックスした表情の写真たちをお留守番のスタッフたちに見せると、こんな表情見たことないと驚かれる事もあった。

そして、少しずつ変化は起きた。

「お休みの日にね、お友達とだけで映画を観に行かせてもらえたよ!」

「今度から通所を、バスや電車ですることになったんだ。」

「今度ね、〇〇(その人が大好きなアーティスト)の〇〇(地元のライブ会場)のライブにね、グッズを買うだけならいーよってお母さんに連れて行ってもらえるの!」

「〇〇のイオン行きたい。(近所じゃない近隣市町の大きな店舗)」

なんと……なんと嬉しい変化だろうか………………!!!

そういうひとつひとつの、雑談での報告が嬉しかった。

彼らや彼らの介助者・保護者にそういう変化があった事が、本当に本当に堪らなく嬉しかった。

【今、私の活動】

そういう体験。
そういう好きや得意で稼ぐ事。

僕は今は、それらを提供するための活動、のための地盤となる活動、のための補助金申請に向けて動いています。

活動とかなんかえぇ感じの言い方ですが、その実はお勤めが向いていない。だから起業する。

そういう当たり前な流れを、当たり前に選択するだけ。
家に籠っての作業だけではなくて、外に出かけたり人と交流をする言い訳を作りたいだけ。

彼らのような人たち、自分のような人たち、そういう人たちにも様々を届けたいだけ。

自己満だけじゃアガらない。
誰かのために押さえつけられたり、我慢したり、そーいうのっておもんない。

一緒に、楽しく。

そういうのがいい。

皆さんも様々あることでしょうけれど、お互い楽しくがんばりましょー💗
てか、ついついがんばっちゃうから、まったり遊ぶ感覚でゆるゆるとを意識して今は生きています!

ゆるライフ、しませう😘


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