ショートショート#特別編「ホームレスのタドコロさん」
タドコロさんには家がない。
公園に段ボールで作ったベッドを敷いて眠っている。
警察や公園の管理人には注意され、通行人からはゴミ同然の扱い。
迷惑をかけているから当然だ。
ある日小学校低学年と思われるおかっぱ頭の男の子が「僕はユウキ。おじさんは?」と、気さくに尋ねてきた。
「タドコロ」
「タドコロはずっとここで暮らすの?」
呼び捨て。まぁいい。
「今だけだ。仕事が見つかるまで」
「働く気があるんだ」
「お前、俺を馬鹿にしてるんだろ」
「別に馬鹿にしてないよ。でもいっぱい殴られて