ショートショート#9「書店の秘密」

大型書店で小説を物色していると、突然20歳くらいの青年に声を掛けられた。
「何がおすすめですか?」
急なことで戸惑いながらも、これも何かの縁だと思い、
「どんなジャンルが好きですか?」
と青年に尋ね返す。
「とにかくお兄さんのおすすめが知りたいです」
「うーん、これは面白いですよ」
「【書店の秘密】ですか。ミステリー?」 「単純にミステリーとも言えず、絶対想像できない結末ですよ」
「へぇー、興味深いな」
青年はそう言うと【書店の秘密】を抱えて行ってしまう。
変わった人だなと思いつつ、また棚を物色していると青年が再び現れる。
「面白かったです」
「え?もう読んだの?」
まだ数分しか経っていない。
それに青年の雰囲気がなんだか変わったような。
青年は「合格です」と呟き、僕の腕をガッと掴み大型書店の奥へ奥へと連れていく。
そこには不気味な扉が。
青年は更に呟く。
「絶対想像できない結末になります」

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