青春の後ろ姿#61 〜20代は、清志郎と、バイクと、文学以外に何もありませんでした〜源氏物語の始原と現在
『源氏物語の始原と現在』をなかなか手に入れられなかった時期にこんなものを作りました。小林茂美先生の『源氏物語論序説』同様、欲しくて欲しくてたまらなかった本です。
藤井貞和先生の『源氏物語』の考察の優れたところは、構造主義で得られた成果をものの見事に『源氏物語』の解釈に活かされた点です。
藤井貞和先生は、交叉いとこ婚を『源氏物語』の中に見出しました。交叉いとこ婚は、レヴィ=ストロースが『親族の基本的構造』でインセストタブー(近親婚の禁忌)について論じた際、これを回避するシステムとして指摘した婚姻形態です。これが源氏と葵の上、夕霧と雲居雁、匂宮と六の君の関係で当てはまります。
当時、これを指摘した藤井貞和先生は、若手の初学者の間ではカリスマ的な研究者でした。
レヴィ=ストロースは婚姻を交換として捉えました。贈与と交換の概念は、交通や漂泊とも関連していておもしろいです。
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