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青春の後ろ姿のその先94 〜鍋の中〜

 表題作の『鍋の中』が、人間の記憶や心のごった煮の鍋の中を覗き見る思いがして、いろんなものが曖昧になっていき、そこがなんとも言えない魅力です。もう一つは、やっぱりどうしても石垣りんの「私の前にある鍋と お釜と燃える火と」という詩を思い出します。年を重ねることの深みや、生活することの重み、台所やその道具たち、それを大切に使い続ける名もなき人の営み、石垣りんの詩とともに、ジェンダー小説として読めると思います。

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