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映画の話82 家族ゲーム

 この映画を観ると、一見、あり得ない家族を描いているかのような感じがしますが、横並びの食事、団地、どこかズレた母親、根本的に家庭に興味がない父親、優秀な兄。こうして改めて考えてみると、ありがちな家族を描いていることがわかって、そのことだけでも驚きです。
 松田優作、伊丹十三、由紀さおりの演技が、それぞれに味を出してシュールさを際立たせて、経済成長期の受験戦争の歪みが全編にわたって滲み出ているように思います。その歪みを、三流大学生の松田優作が炙り出して壊していく様子が、何とも言えない痛快さと同時に、どこか不安な感じにさせます。ラストのヘリの音がそれを象徴しているような気がします。

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