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発達がゆっくりだったからこそ僕は夢を持てた

僕は今保育士として働いている。
保育士を目指して勉強をしているときに一番聞かれた質問が
『あなたは何故保育士を目指したのですか?』
だ。僕はこう答えた。

「僕は子どもの頃から保育士になることが夢でした。また、小児リウマチを持つ子どもたちと遊ぶボランティアを経験し、病気と闘いながらも明るく元気に過ごしている姿から多くの勇気をもらいました。そしてもっと多くの子ども達を支えたいと思い、保育士を目指しました。」

これだけ聞くと、すごく真面目で一生懸命な人という印象だったと思う。
しかし、実は本当のきっかけはボランティアではなく、ただ単純に子どもと遊ぶことが楽しかったのだ。
だがそんな志望理由では、面接や小論文では通用しないと思い、実際に参加していたボランティアの話を語っていた。
嘘ではないし、ボランティアでの経験も保育士を目指すキッカケの一つではあった。

でも、僕が長年の夢を叶えることができたのは【子どもと遊ぶのが楽しいし、好きだ】と言う、とてもシンプルな理由があったからだと思う。
これは母から聞いた話だが、僕は子どもの頃、心と知能の発達が同い年の子と比べてゆっくりだったそうだ。
保育の勉強をして保育士になった今、改めて子どもの頃を振り返ると、自分でも発達が遅れていたのではないかと思うことがある。

同じ年齢や年上の子たちとうまく遊べず、気に入らないことがあるとすぐに癇癪を起こしていた。次第に遊ぶ友達は減り僕は一人ぼっちになっていた。
だが、年下の子とはちょうどよく遊ぶことが出来ていた。遊びの内容やコミュニケーション能力が僕の発達と合っていたのだ。
母が言うには感覚的に3年くらい遅れているように感じていたようだ。

でも、僕が保育士になりたいと感じた原点はここにあるように思う。
クラスの友達とうまく遊べずにいた僕が、年下の子と遊ぶことで【楽しい】を感じ「もっとこの子たちと遊びたい」「もっと遊ぶために保育士になろう」と思えたからだ。

子どもの頃から思春期くらいの間、僕が見ていた世界はすごく狭かった。目の前で起こったことが自分の全てだった。
しかし、「保育士になりたい」という自分の気持ちを持ち続けることで、勉強に追いつけなくても交友関係がうまくいかなかった時も、なんとか自分を保つことが出来ていた。

保育の専門学校に入ってからようやく保育士になるために必要な勉強や努力の仕方がわかり、長年の夢に向かってようやく動き出すことが出来た。
その時間はすごく楽しいものだった。知識を得ていくことが初めて楽しいと思えた。
実習やテストなど辛く苦しい時間は沢山あったが、確実に夢に近づいていると思えると自然と頑張れた。
僕が専門学校で過ごしたのは2年間という短い時間だったが、その中で勉強の仕方を教えてくれた先生や友達がいた。
友達との付き合い方を教えてくれた友達がいた。

子どもの頃発達が遅れていた僕も、少しづつだが同年齢の子たちに追いつき今こうして人に何かを伝えるためにこのnoteを書いている。

今回この記事を書くにあたって母と僕の子どもの頃の話をしていた。
その中で心に刺さった言葉を紹介したい。

みんなが年齢なりに成長するわけじゃないから、ソタなりに成長して、ちゃんと帳尻が合って大人になった。

だから今思えばまったく問題ないんだけど、ママはMちゃん(姉)とソタしか育てたことないし、現在進行形の子育て中には、子どもというのは年齢に合わせた発達をするものだと思ってたんだよね、だからいろいろ発達検査に行ったりして、ソタにはかわいそうなことしたなって思ってる。

人工的に作った機械じゃないんだから、おんなじ3歳だって発達のレベルが違って当たり前なのにそれに気づかなかった。

僕はこの言葉を聞いて、息子としてまずは感謝をした。母も悩みながら必死で僕を育ててくれた。母の期待を何度も裏切りぶつかりに行ったこともあった。
でも、母は僕の成長を諦めずにずっと支えてくれた。

保育士として子どもの発達を近くで見守っていく者として、子どもの今の発達をきちんと捉えたい。その子は今、何を求めているのかをキャッチし
子どもたちそれぞれが自分らしく遊べる環境を作り、僕もその環境の一つでありたいと思う。
そのためには、まだまだ勉強と経験が必要だ。保育士になるという夢を叶え、今はその先に見つけた新たな夢を追いかけている。

最後に

僕は仮面ライダー作品が大好きなのですが、中でも好きな『仮面ライダー555/ファイズ』の劇中にこんなセリフがある。

お前夢を持ったことあっか?
俺に言わせればな夢ってのは呪いと同じなんだよ。
呪いを解くには夢を叶えなければならない。でも、途中で挫折した人間はずつと呪われたままなんだよ。

仮面ライダー555第8話/海堂直也 

夢を持つとね、時々すっごく切なくて時々すっごく熱くなるんだ。

仮面ライダー555第8話/園田真理

海堂直也は怪人で人間の頃、他人から夢を挫折させられ、二度と自分の夢を追いかけることができない体になってしまった。
園田真理は人間で自分の夢を叶えるために挫折しながら泣きながら、必死で頑張っている。
どちらのセリフも仲間に夢について問いかけられた時のセリフだ。
このセリフは怪人と人間という対比ではなく、夢を持ち追いかけた純粋な人間同士の対比ではないかと僕は思う。

僕の夢もある種の呪いなのかもしれない。
保育士になるまでも、なってからも沢山失敗した。でも、その度に「次こそは上手くやる」と熱くなることができた。

僕は保育士になり、一度は夢を叶えた。だが、夢の先にも夢ができた。
これからも僕は夢に呪われるづけるのかもしれない。必ず切ない思いもするだろう。
でもその度にきっと熱くなることもできると思う。
だから僕は、これからも自分の夢と戦っていこうと思う。

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