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トーレスワインは最高すぎる<夫婦世界一周機52日目>

川越のすぺいん亭でトーレスワインを知った。

外から見るとまるで工場のような風貌なのに、中に入ると壁にはホタテが敷き詰められ、ステンドグラスが輝き、小さなサグラダファミリアまであって完全に異国の趣き。地下室にはワイン蔵があって二人でコソコソと入り、チョークで書かれた名前を目安にカヴァや白ワインを選んだ。

そこで出会ったのがトーレスワインのサングレ・デ・トロとヴィーニャ・エスメラルダだった。リーズナブルな価格でどっしりとした飲みごたえがあったので、披露宴の時のワインに採用したのだ。ちなみに披露宴は古民家を貸し切って、食材も自分で選び、フェスを作り、スターマインを打ち上げた。この話は長くなるからまた今度しようと思う。

トーレスワインは僕たちにとって大切なお酒だ。だから今回は大学時代に行ったフレシネではなく、その奥にあるトーレスワインの見学に行くことにした。レビューに寄ると、フレシネが駅直結なのに比べてトーレスは駅からタクシーでないと行けない。見学もフレシネと比べると簡素らしく、評判はあまり良くなかった。でもいいのだ、自分たちの目で確かめよう。

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駅からタクシーで15分。一面ぶどう畑が広がる大地に降ろされ、見慣れたマークを見つけた。ここで育ったぶどうたちがここよりはるか遠く。極東日本の埼玉の川越のすぺいん亭の地下蔵に眠っている。スタート地点に立つとなんだか感慨深い。ワインという飲み物は情緒的でいいなあ。

と、一口に入るといきなり現実に引き戻された。どうやら予約するのが遅すぎて、今日は見学出来ないらしい。行ってみればなんとかなるかと思っていたが、たまたまフランスからの団体客が入っている日で一人も入る余地はないのだと。

「案内は出来ないけれど見学は自由にしてもいいし、テイスティングはお金を払えばいくらでもできるわ。それでどうかしら?」

店員さんからの粋な提案だ。見学代が結構高かったから浮いた分だけワインを買えるし願ったり叶ったり。どちらにせよスペイン語じゃほとんどガイドもわからないし、自分たちでじっくり見れるなら十分だ。

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ぶどう畑の端っこにはバラが植わっていた。害虫が来ているかどうかをチェックするために育てているらしい。近くの畑はもう収穫が終わったようで、レーズンのようになったぶどうが少しだけ付いている程度だった。

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よく見ると地面にぽつぽつと半乾きのぶどうが落ちている。ツアー見学の時に使われたのか、収穫の時に籠から落ちたのか…このぶどうがあのワインになるのだ。た、食べたすぎる…好奇心を抑えきれず、土がついたそのぶどうを口に含んでみた。

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デラウェアよりも小粒で、皮と身の部分の面積が大きい。中には甘みも酸味も通常の2倍くらいの濃さの果肉と、ずいぶん大きなタネが入っていた。食べる面積が少ないので、食用には向いていないけれど、素晴らしい味だった。

土付きのぶどうもそのまま味わってみる。なるほど…このテロワールに含まれるミネラルとほのかな塩分、そこにこの地特有の苦味がある。これがぶどうの甘みと相まってトーレスワインが生まれるのか。なんて分かるのであればかっこもつくが、土はやっぱりただの土味だった。不勉強です。

トーレスワインに訪れて一番嬉しかったのは、トーレスが売っているものがワインだけでないということを知ったことだ。出口付近で試飲させてもらったマグダラというお酒は、ぶどうから作られるブランデーである。しかもオレンジピールを漬け込んでほんのり甘み香るオレンジのリキュール。これがまたとんでもなく美味しかった。

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フウロが気に入って、木箱入りのお得三本セットを買ってしまった。超重いけど悔いなし。僕はトーレスワインに行ったら思い出のサングレデ・トロをと思っていたけれど、買ったお酒はアイスワインとオレンジリキュールとヴィンテージブランデーだった。合わせて55ユーロ。重ねて悔いなし、行く価値があった。

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バルセロナに来てから完全に追い風が吹いている。カルロスさんのおもてなしはアツいし近くのスーパーは飽きないしトーレスも最高だった。悔しいけれど、ヨーロッパっていいんです。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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