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こどもの読みもの

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こどもにおすすめの本。 かつて、こどもだった大人におすすめの本。
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2023年5月の記事一覧

シャイニング

シャイニング

シャイニング
スティーブン・キング 1977

舞台はオーバールックホテル。五月から九月までのシーズン以外は寒さのため閉鎖されるこのホテルの冬季管理人にジャックが雇われる。爆発を防ぐためにボイラーの圧力計の点検を忘れない限りは大した仕事はない。ただし、外界との接触が断たれるという極端な孤絶状況となることから、家族共に住み込むのが条件である。
ジャックは妻のウェンディ、一人息子のダニーを連れてホテル

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ライ麦畑でつかまえて

ライ麦畑でつかまえて

【ライ麦畑でつかまえて】
THE CATCHER IN THE RYE
J・D・サリンジャー 1951
 
 ・・・・・
 「ライ麦畑で会うならば」が本当なんだ。
「僕はまた『つかまえて』だと思ってた」
・・・ 
僕はあぶない崖のふちに立っているんだ。
僕のやる仕事はね、誰でも崖から転がり落ちそうになったら、
その子をつかまえることなんだ。
ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたいんだよ

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家なき娘

家なき娘

「家なき娘」
エクトール・マロー

1893年に新聞連載。本来の題名「家族とともに」
日本では主人公の名より「ペリーヌ物語」
(1978年にアニメ化)

ペリーヌは、フランス人を父、インド人を母に持つ少女で。祖父のヴュルフランは7,000人が働く紡績工場を経営する新興起業家。もとから良くなかった祖父と父の関係は、父のインド人との結婚で絶縁状態となっていた。それでもペリーヌの父は、祖父との関係を回復

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風の歌を聴け

風の歌を聴け

『風の歌を聴け』
村上春樹 1979

・・・
「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
・・・

🖌️
1978年に20代最後の年を迎えた僕は、アメリカの作家ハートフィールドに思いを寄せ、書くことの困難さを認識しながらも、1970年の夏休みの体験を語り出す。

・・・
「嘘だと言ってくれないか?」と真剣に求められても訂正できなかった。
嘘が嫌いで嘘をつけない

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キューポラのある街

キューポラのある街

キューポラのある街
早船ちよ 1959年から1年間連載、1961年書籍化。

日本経済が上昇期に入った昭和三十四年頃の鋳物の街埼玉県川口市を舞台とする作品。
中学三年生の「ジュン」の家は極めて貧しい。キューポラ(溶解炉)の炭たきの父「辰五郎」、ビニールの内職工場に勤める母「トミ」、小学五年生の弟「タカユキ」、身重の叔母「ハナエ」と五人で暮らしている。
鋳物職人の父は、熟練と勘で腕の良い仕事をするが

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ふたりのロッテ

ふたりのロッテ

ふたりのロッテ
ケストナー(ドイツ) 1949

夏休み。スイスの湖畔で開かれた林間学校で二人の少女が出会う。ウィーンから来た「ルイーゼ」は活発な少女で作曲家の父親と暮らしている。ミュンヘンから来た「ロッテ」は編集者として母親を助けるしっかり者。九歳の少女の姿形はとても似ていて、誕生日も生まれた場所も同じ。自分達が実は双子であり、離婚した父親と母親にそれぞれ引き取られ、別々に育ってきたのだと気づい

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