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読書とランニングに学ぶ、続けることの大切さ

島田潤一郎『長い読書』の一番はじめに書いてあるエッセイ。めちゃくちゃ刺さる。全部が刺さる。

つい先日、この記事を読んで、「読者を惹きつけるために重要な部分を最初に持ってくるとはこのことか」と感心した。

全部を載せる訳にはいかので、抜粋して思ったことを書いておく。

本を読み続けることでなにを得られるのか。いちばんわかりやすいこたえは、本を読む体力を得られるということだろう。眠たい目をこすりながら、夜、一ページ、一ページ、本を読みすすめる。わからないところもある。うまく想像できないところもある。でも、黙って読む。物語の終わりに向かって、あるいは、論考の帰結に向かって、暗い洞窟のなかを手探りですすむように、ページをめくる。
(略)
いま読んでいるところは昨日読んだところの続き。昨日一〇ページ読んだから、今日も一〇ページ読む。おもしろいかどうかはまだわからない。もしかしたら、最後までわからないかもしれない。でも、読むと決めたから読む。

P7

夜じゃないんだけど、中学校の朝読書をしている私と全く同じ(朝も眠いのは同じ)。

「訳わかんねぇ。けど、読まなければ終わりの時間がこない。だから読む。」

そんなことを思いながら読んでいた。最後まで読み通しても「読み終わった。でも、全く内容は分からなかった。」という感想しかない。けれども、「読み通した」という達成感はあって、たしかに読む体力はついた。

エッセイでは運動にも触れられている。

運動が取り立てて好きなわけでもなかった。ただ単純に、健康のこと、もっと正確にいえば、増えはじめた体重が気になって、毎夜走るようになった。最初のうちは、走ることがつらかった。同じコースを走るひとと比べると、友人は飛び抜けて スピードが遅かったし、走るための格好も、ペースも、どうやってそれを終わらせるのかもわからなかった。
でも、毎日走っているうちに、自分なりに走るコツのようなものがつかめてきた。そうすると、 走る距離も少しずつではあるが伸びていき、以前ほど疲れなくもなった。
走るのはたのしい? とたずねると、友人は「いや、そんなにはたのしくない」という。ではなんで毎日走るの? と聞くと、「走るのを休んでしまうと、次の日がたいへんだから」とこたえる。一日休んでしまうと、それを取り返すのに倍の力が要る。そのひとのいう「倍の力」とは筋肉のことだけではなく、きっと「意志」のことも指しているのではないか。

P9

走るのは嫌いじゃなかったけど、長距離走は嫌いだった。苦しむ時間が長いから。

元々体力がない方で、体力測定の長距離は下から数えた方が早い。年齢的にも、体力は確実に下り坂に入っている。そんなこともあり、少しでも体力を維持するために4月からコツコツ走り始めている。

人に見られるのが嫌で、ひとけがない夜に走っている。最初は中高生時代の流しくらいのペースで走っていたが、これでも少し走って酸欠しそうになった。視界が暗くなり始めて、「あ、ヤバい倒れるかも」って。

それからはさらにペースを落として走っていた。

そうすると、だんだん走るのが楽になってきて、ペースを上げたりもした。

いつも走っているコースは大体800m。最初は4分かかっていたが、3分半になり、つい数日前は3分を切って走れるようになった。

3分切りはめちゃめちゃ疲れる。走り終わるとその場に倒れこんでしまう。しかし、明らかに体力がついているのが分かる。むしろ現役よりもその時間内なら今の方が速いのでは?と思うほどに。

梅雨の影響もあって、一時期走るのを止めていた。1週間以上空いて、「流石にこのままだと、走らなくなる」と思って、走りに行った。

本当にエッセイのとおりで、筋肉もそうだけど、走る気力が奪われる。気持ち的にも間隔が空けばあくほど、指数関数的に億劫になる。

読書も同じで、本を読むのを一日休むと、続きを読むのがおっくうになる。あらすじを思い出すのに、その著者の論旨を思い出すのに、倍の時間がかかるからだ。休んでいる期間があまりに長いと、自分の記憶のなかから、その本の思い出がきれいそっくり無くなっているということもある。
だから、本を読むコツというのがあるとすれば、それは毎日続けることなのだ。眠くてしかたない日も、仕事が忙しい日も、こころが乱れている日も、すこしでいいから本を開く。それが頭のなかに入ってこなくても、共感できるところがすくなくても、一ページでも、二ページでも読んでおく。そうすると、本を読む体力がつく。

P10

難解な本に出会った時はあいだをあけがち。結局、わけがわからなくなって最初から読み直している。

これは読書感想文を書くときに一番感じる。読み終わってから書くまでの期間が長いと、「あれ?なに書いてたっけ?」と。そして「何を書きたいんだっけ?」となる。

本書も読み終わってから3日経っている。本当はその日じゅう、長くても次の日には書きたい。読み終わった当時のことがどんどん薄れていく。

惰性でいいからやることが大切。長い本は読み終わるまで時間がかかる。序盤に書かれていることは忘れがちになる。なんとなくでいいから章ごとにメモを取っておく。そうすると、読む前に「どんな流れだったっけ?」と確認ができる。これをしないとするとでは、そのあとの記憶の定着が違う。

好きなことはどんなに疲れても毎日少しは触れているし、気づいたら覚えている。自分にとって毎日やることは本当に大切だと思う。

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