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増井雄一郎氏×深津 貴之氏による初対談!! 「エンジニア・デザイナーのためのプロダクト論」 イベントレポート


こんばんは。SOLMUスタッフの井木康文です。最近好きなプロダクトは新日本プロレスワールドです。

11/21(水) 日本経済新聞社2FのイベントスペースNIOにて、

SOLMU主催増井雄一郎氏と深津 貴之氏による初対談イベント「エンジニア・デザイナーのためのプロダクト論」が行われました。

登壇者ご紹介

増井雄一郎氏

深津 貴之氏

今回は、デザイナー・エンジニアなら知らない人はほとんどいないと思われるビッグゲスト2人による初対談となったトークセッションパートをレポートさせて頂きます!モデレーターは、SOLMUのPMである吉村大希が務めました。

増井雄一郎氏×深津 貴之氏による初対談!! 「エンジニア・デザイナーのためのプロダクト論」トークセッション

エンジニア・デザイナーが、起業家・ビジネスサイドとわかり合うためには何が必要か?

増井氏:
投資家を集めるためのピッチ資料があると思いますが、それを代表と同じくらいにプレゼンができて、QAまでできるようになることを心がけています。そこまで理解することで同じ方向を向かって走れると考えているためです。

深津氏:
エンジニアとビジネス側は話す言葉がそもそも違います。外国語くらいに違う。そのため、まずは相手と同じ言葉が話せるかを確かめた上で、翻訳することが大事。立場が違うと言葉が通じなかったり、通じても優先度が違ったりするので、目線を合わせて、どれくらい重要なことかを伝えるようにしています。

増井氏:
両者の言葉を完全に理解することは難しいですが、お互いの信頼関係も重要です。「自分にはよくわからないが、こいつが言うには間違いないだろう」という部分もエンジニアとビジネスサイドの間にはあると思います。

深津氏:
たしかにそうですね。細かいところは任せつつ、自分や自分のチームに負債が出ないような議論や、出た負債をいつ返すかという議論を丁寧にするようにしています。

創業者(会社)のビジョンの重要性について

増井氏:
ビジョンは、その精度や規模が大事だと思います。例えば「世界を幸せにする」という大きすぎるビジョンだと具体的なアクションや判断基準になりません。判断基準にならないビジョンは考え方の良し悪しは別として機能しないと思います。みんながA/Bで迷った時に、ビジョンによってBを選べるような精度が必要です。

深津氏:
細かい意思決定をするときに「ビジョンがこうだからこれは捨てよう」みたいななことが出来ることは重要です。

増井氏:
「良いビジョンがあれば、メンバー全員が前を向いて走れる」とよく話しています。ビジョンがないと他のメンバーが何を目指して頑張っているのか、常に横を見ながら前に進まないといけない状況になるためです。

良いビジョンは、かっこいいポエムじゃなくてもいいと思います。多少長文になっても、みんながわかりやすいことが大事だと思います。

深津氏:
近いと思いますが、僕は「北極星」と呼んでいます。ビジョン=北極星がわかっていれば、みんなが同じ方向に向かうことができ、小さな角度のズレが出ても軌道修正可能で大きなズレにはなりません。

増井氏:
ビジョンによって働きやすさにもつながったりもします。ビジョンが評価にも結びついていれば、上司や違う職種の人へ貢献度をアピールしやすいからです。

良いビジョンを掲げている会社の例は?

増井氏:
仕込みではないがnoteは良いと思います(笑) どうやって作ったんですか?

深津氏:
社内でワークショップをしてミッションとビジョンを作りました。ビジョンによってnoteがクリエイターに何を与えるべきか、何から与えるべきかを決められるようになったと思います。

表現方法としては、イラストや4コマ漫画でも表現したりします。クリエイターが、noteを使うBeforeとAfterでどういう風に変わるかなどをわかりやすく共有するためです。

また、「ビジョンを忘れてnoteがダークサイドに落ちたらどうなってしまうか」「こういうnoteになったら僕は辞める」みたいな理想の対局を考えることで、理想を浮かび上がらせるようなプロセスも行うこともあります。

増井氏:
今のビジョンを決める前はどのような状態だったんですか?

深津氏:
ビジョンはありましたが、今よりもふわっとしていました。ビジョンを明確化したことで、意思決定に悩んでいる時に判断しやすくなったと思っています。

どのようなプロセスでビジョンをつくるか?

深津氏:
禅問答のようにこのサービスはなんなのか?ということをいろんな角度から質問を投げつけて輪郭を浮かび上がるまでします。

そのあとからみんなに理解されるような言葉にしていきます。主要メンバーがいれば1〜2日で輪郭はできるが、そこから言葉にしていくのは長いと半年くらいかかる作業です。

増井氏:
僕はトップダウンが好きです。代表がほぼ作っています。

会社やプロダクトのビジョンがふわっとしている時、ボトムアップで何かできることはあるか?

深津氏:
小さい会社なら社長と飲み友達になることから始めるといいと思います(笑)

ビジョンを作った人や、その立場にある人に禅問答みたいなことをするべきです。社長やプロダクトオーナーも気づいていないことを発見できたりして精度の高いビジョンを得られたりします。

増井氏:
実際はふわっとしている会社が多いと思います。ビジョンを作った人に、1on1等の機会に、どんな意味のビジョンなのか丁寧に聞くしかないと思います。

社員が増えて、必ずしもビジョンに共感してるわけではない人が入ってくるフェーズをどう乗り越えるか?

増井氏:
共感できなくても理解していればいいと思います。理解した上で、尊重して行動ができれば問題ないと思います。

深津氏:
ユーザーが喜んでいることをシェアしたりしてビジョンの重要性を理解してもらう活動は大切だと思います。また対外的にもそのビジョンを常に言い続けることで、理解や共感してくれる人を増やす活動も大切です。

プロダクトの「引き算」の重要性について

深津氏:
noteオフィスに141徳ナイフという機能てんこ盛りな巨大なナイフが御神体として置いてあります(笑)。「アプリに機能をいれすぎるとこうなりますよ?」と説明をする時に一役買ってくれるためです。

増井氏:
引き算はとても大事ですが、毎回理由をつけて依頼を断っていると「嫌がるだけの仕事をしないやつ」に思われたりします。そのため、ベースに信頼関係がないと断り続けるのは難しかったりします。

深津氏:
初期のアプリは別として大企業の場合は「1年間何も新機能を加えなかった!」ということは、逆にちゃんと仕事をした証拠だったりすると思います。にもかかわらず、進歩がないとみなされて、予算が減らされたりする難しさもあります。

増井氏:
アプリの5%問題に陥らないことが重要です。5%問題とは、全ユーザーは機能の5%しか使っていないが、みんながいろんな5%を使っているため、どの機能も削りたくても削れない状態を意味します。何かを削るとその分ユーザーも削られますが、どの機能に特化することもできないので、全ての機能が使いづらいと言われる地獄の状態です。

深津氏:
その地獄にならないようにどの部分で高い満足を得てもらって、どこを諦めてもらうのか判断出来ることが重要です。

141徳ナイフのように物理的なものであれば、重さや大きさがわかりやすく、太りすぎに気づきやすいです。しかし、バーチャルの場合は大きさや、重さがわからないため、サービスが太りすぎかどうかわからない。プロダクトオーナーがそこの重量感を適切に把握していないと、どんどん太っていきます。

太りすぎない機能開発の優先順位について

増井氏:
ビジョナリストの要望を全て叶えると太りすぎになりやすいと思います。ビジョンが強い人は「全部にピントがあっている写真」のように見えているとよく表現しています。明日必要なことも、来年必要なことも、10年後必要なことも全部同じくらいに語ってしまいます。そのため、エンジニアやデザイナーが時間軸を意識し、直近に必要な機能から作っていくことが重要です。

深津氏:
ぼくは時間軸といよりは、カードゲームを連想します。効率・効果のいいコンボカードから順に切っていきます。その後、だんだんと切りづらいものや、効率が低いものを切っていく優先順位で開発していきます。

プロダクト開発とユーザーの声について

深津氏:
ユーザーの言うことをそのまま聞きすぎないようにしています。ユーザーの意見を集約し、実現したいことを先回りして提供することが大事です。

比喩として医者を使います。ユーザーは患者。ユーザーが「胃が痛い」と言っていきなり胃を切り取る医者はいません。「いつから、どのように、どれくらい」など聞いたり、もっと検査をしてから処方を考えます。サービスの改善も同じです。

増井氏:
同じ意見です。カスタマーの問題は実はだいたい同じところにあるので、みんなが求めている部分から治すようにします。

例えば、バックグラウンドのカラーをカスタマイズする機能が欲しいという要望がありました。技術的には比較的簡単な要望ですが、その変更がどれくらいユーザーにプラスがあるのかや、それによって及ぶ悪影響等を考えた上で、断りました。

どのように意思決定や権限委譲をするか?

深津氏:
noteはかなりみんなが自分で手を動かすので割と任せています。僕は地雷外しなどをしたり、アイデアをガンガン書き込むslackに自分も書き込んだりしています。細かい色や形はお任せており、全体のバランスを取ることに重きを置いています。

増井氏:
権限委譲などはあまり考えずに、コードを書いて途中で放り投げて怒られるみたいなことが多いです(笑) そうすると勝手に周りが巻き取ってくれたりします(笑)

そういう意味では自分がやりすぎないみたいなことが大事だと思います。えらくなった人は他にやらないといけないことが増えるため、現場の仕事は現場が一生懸命やった方が良いものができると思います。そのため、早めに手放すようにはしています。

見ず知らずの人同士で新規事業につなげるには?

増井氏:
トレタの中村氏はネットを通じてほぼ知らない人として会いました。会社以外の用事では飲みに行ったこともないです。深津さんともネットで会話するくらいでプライベートでは会ったことは無いです。なので起業をする仲間として、プライベートで仲が良いかは問題ではないと思います。重要なのは、その人が課題意識をちゃんと持っているかというところを把握することだと思います。

深津氏:
キャラを理解すること。あとトーク力ではなくコミュ力があるか確かめること。重要な問題などをきちんと事前に伝えられるかとかそういうポイントを把握します。

自分もプライベートであまり遊んだりしませんが、チームのワークショップでボードゲームをやったりするのはおすすめです。特に難しいボードゲームはキャラの理解に役立ちます。特にスコットランドヤードパンデミックがおすすめです。

SOLMUは新たな出会いにより事業創出を応援します

SOLMUは、「事業は、仲間から、つくる」をビジョンに掲げています。

熱い想いを持った起業家や事業担当と、増井さんや深津さんのように優秀なデザイナー・エンジニアの方との出会いを創出します。

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