【仙台発】商店街DX事例!Googleビジネスプロフィールの活用により集客力を高める│クリスロード商店街
仙台にある「クリスロード商店街」では、コロナ禍で落ち込んでしまった商店街への集客やインバウンドへの対策に課題を感じていました。
デジタルでの集客に力を入れたほうがいいことはわかっていても、第一歩目が踏み出せなかったり、個々の店舗であれば管理が難しかったりと様々な問題が浮かびあがります。
そんななか、ソウルドアウトが開発・提供するGoogle ビジネスプロフィール運用支援サービス「ライクル」を活用して、デジタルを活用した集客に取り組まれました。そして現在この取り組みをきっかけに、商店街のデジタル化をさらに進めようとされています。
そこで今回、ライクル事業本部 本部長の光山 誠一 が、取り組みの結果や実際に起こった意識の変化、商店街の集客施策としての有効性などを伺いました!
クリスロード商店街振興組合では、156店舗すべてが組合に加入
「ちょっと先を行く商店街」をテーマに、未来を考える活動に取り組む
─── ではまず、今回の取り組みの発起人である早坂さん、クリスロード商店街について教えてください。
早坂(株式会社早坂サイクル商会 代表取締役 兼 クリスロード商店街振興組合 理事):クリスロード商店街は、1963年4月に商店街振興組合として東北で第一号認可をいただいた商店街で、JR仙台駅から徒歩5分ほどに位置している全長285メートルのアーケード街です。
私が代表を務めている早坂サイクル商会は、宮城県を中心に自転車やバイクの販売や修理などを行なっています。組合には、2012年2月、商店街に自転車専門店舗がオープンしたのをきっかけに加盟しました。それから5年が経った2017年から理事を務めています。
─── クリスロード商店街振興組合の特徴を教えてください。どのような組織なのでしょうか?
早坂:とても活気のある組織だと思います。
商店街の活動に対して活発に意見が出ますし、出た意見に対して否定するのではなく「どうやったら実現できるのか」や「本気でまちを盛り上げたい」という前向きな気持ちをもった方が多いです。
倉片(クリスロード商店街振興組合 事務長):現在商店街には店舗が156あり、組合への加入率は100%です。オーナーもテナントも、すべての店舗が加入しているケースはなかなかめずらしいのではないでしょうか。
また、クリスロード商店街振興組合のテーマは「ちょっと先を行く商店街」です。組合の理事長が50代半ばで役員の平均年齢も50代半ば。商店街の組合としては、比較的若い人材が活躍している組織だと思います。
─── そのような土壌があったからこそ、今回の取り組みがスムーズに進んだといえそうですね。
早坂:そうですね。組合には「未来を考える委員会」という組織があり、その委員会の事業の一つとして今回の取り組みが行なわれました。
商店街全体でGoogle ビジネスプロフィールを活用して集客に活かす
補助金を活用した取り組み
─── では、今回のお取り組みを始めたきっかけを教えてください。
早坂:ある日の宮城県商店街振興組合連合会のセミナーで、Google ビジネスプロフィールの活用次第で、来街者の増加が見込めるといった内容のお話がありました。
商店街では、コロナ禍を機に、来店客が減少傾向にありました。しかし、このまま留まっていてはいけない、Google ビジネスプロフィールを活用して集客していきたい、インバウンドのお客さまの集客にもつなげたい、と考えるようになったんです。
そこで、組合の懇親会の場で、商店街でGoogle ビジネスプロフィールを活用していきたい、という思いを話しました。すると、補助金が使えるのではないか、という話になったんです。後日、いつも社内のデジタル関係でお世話になっている東通インテグレートの本多さんに、補助金を絡めた事業でご支援いただきたいと相談をもちかけました。
もともとハヤサカサイクルでは、Google ビジネスプロフィールの活用に取り組んでいました。試行錯誤を重ねていたものの、本当に効果が出ているのかよくわからない状態だったんですよね。客観的な評価を得たいとも思っていたので、改めてGoogle ビジネスプロフィールについて取り組んでいきたいと考えました。
本多:ありがとうございます。Google ビジネスプロフィールのお取り組みを強化されたいとのことだったので、パートナーであるソウルドアウトさんにご相談させていただき、クリスロード商店街で「ライクル」を活用することになりました。
─── ありがとうございます!商店街ははじめての事例だったので、模索しながらご支援させていただきました。ちなみに、補助金とはどういった補助金なのでしょうか?詳しく教えてください。
牧野(宮城県中小企業団体中央会 運営支援部 運営支援第一課 主任主査):私たち宮城県中小企業団体中央会は、宮城県にある23の商店街振興組合で組織する宮城県商店街振興組合連合会の事務局を担っています。
宮城県商店街振興組合連合会では、宮城県から商店街活性化のための事業を受託しています。この事業は、大きく調査研究とイベント事業の二つを実施しており、今回の取り組みは、調査研究事業を使って実施できそうだというご提案をさせていただきました。
─── 補助金を活用して行なわれたんですね!実際の取り組み内容を教えてください。
早坂:商店街の各店舗に対してGoogle ビジネスプロフィールの活用を促進し、商店街全体の集客力を高めていくことが目的でした。
取り組み内容としては、Google ビジネスプロフィールの運用マニュアルを提供していただいたり、効果や活用メリットを学ぶセミナーを複数回実施していただいたりしました。
商店街のデジタル化は大きな課題
─── 取り組みの結果はいかがでしたか?
本多:Googleビジネスプロフィールのレポートで1店舗あたりの平均数値をみると、閲覧ユーザー数は上昇傾向にあり、2024年1月は昨年対比で約2倍に増加しました。特に「スマホでのマップ閲覧数(*下図青線)」や「スマホでのキーワード検索数(*下図黒線)」が増加しましたね。来店の増加にも寄与したのではないかと考えています。
─── 実際に参加された組合の方の反応はいかがでしょうか?
早坂:取り組み後のアンケートでは、8割以上の方がマニュアルが参考になったと回答、7割以上の方がGoogle ビジネスプロフィールへの理解度が上がったと回答されています。
能動的に取り組まれていた方も多かったものの、まだまだ活用しきれている方は少ないのが現状です。ご支援の結果、Google ビジネスプロフィールの「オーナー登録」が完了したのが17店舗、グループで登録できたのが27店舗でした。
正直なところ、セミナーへの参加店舗数がもう少し多ければ、より効果が出ていたかもしれません。電話をかけたり直接訪ねたりして参加を呼びかけたのですが……。
倉片:取り組みがなかなか進まなかった背景には、商店街のデジタル化という課題もあると思います。
今回のセミナー案内も、私たち事務局からメールを使って案内できたのは半分以下の60店舗ほど。あとはFAXなどを使いました。Google アカウントをつくるのもハードルが高いんですよね。
今後商店街でイベントをやる際には、Google フォームを使って申し込んでもらう流れにしようとしています。Googleサービスに馴染んでもらうことからはじめていきたい。商店街のデジタル化を加速させていきたいです。
デジタル化が進まない限り、商店街の将来はないと危機感をもっています。
─── なるほど、デジタル化を課題と感じられているんですね。Google ビジネスプロフィールに関しては、活用が進んだ店舗もあれば、思うように進まなかった店舗もあったのでしょうか?
早坂:そうですね。店舗ごとに状況がまったく違うことがわかってきました。
高いレベルでご活用されている店舗もあれば、オーナー登録さえままならない店舗もある。店舗ごとに差があることを知ることができました。デジタル化はまだまだという方や、Googleサービスに触れたこともないという方も多く、そういった方に対してこの取り組みを進めていくのは特に苦労しましたね。
本多:そうですね。ですがそういった方に対しては、実際にやり方を説明して、ちゃんと理解していただけると前向きに取り組んでいただくことができました。この期間ではやり切れませんでしたが、一歩を踏み出すいいきっかけになったと感じています。
集客効果やメリットを理解する
─── Google ビジネスプロフィールの活用にハードルを感じられている原因にはどのようなことが考えられるのでしょうか?
早坂:皆さんから多くあがったのは、クチコミへの対応の仕方が不安だという意見です。「クチコミへ返答するのが怖い」「批判的なクチコミへの適切な返答がわからない」など、クチコミへの対処法が一番のハードルになっていました。
そこで、セミナーの内容をご相談させていただき、しっかりと対処法を教えていただきました。書き込みがあっても誠実に返答すればいいというお話や、店舗をよりよくしていく活動として大切だという認識ができたと思います。
─── ありがとうございます。セミナーの内容を相談しながら決めていけたのはとてもよかったですよね。店舗からの反響はありましたか?
早坂:阿部蒲鉾店さんからは「仕事がやりやすくなった」というお声をいただきました。
これまでGoogle ビジネスプロフィールに力を入れたかったけれど、その効果やメリットについて会社にうまく説明できなかったそうです。しかし今回、「まずはやってみよう」という動きになり、クリスロード商店街以外の拠点でも積極的に活用をはじめられました。その結果、スマホでマップ閲覧数が大幅に増加するなど数値にも表れていましたね。なんと、2023年12月は前月比で約8万増加、翌年1月はさらに約6万増加したそうです。
また今回の取り組みでは、モデル店舗2店舗に対して、強化してご支援していただきました。モデル店舗の一つは、三文字屋呉服店さんです。ビジネス情報の修正やSNSの追加、写真投稿など様々な施策を行なった結果、ルート検索数が増加するなどの結果につながりました。
もう一つは、アーロンチェアの庄文堂ショールームさんです。無店舗販売店ではどのように集客すればいいのかを知ることができました。商店街には2階や3階にある店舗もあるので、その集客方法のヒントも得ることができたと思います。
店舗の個性を言語化し発信すれば集客力の向上につながる
─── Google ビジネスプロフィールの活用が、商店街全体へと広がっていくといいですよね。
早坂:そうですね。個々の店舗への集客はもちろん、商店街への集客もできるようになると思います。
今回の取り組みでは、商店街振興組合の情報を各店舗のGoogle ビジネスプロフィールに一括投稿するご支援もしていただきました。
商店街では、定期的にイベントを企画しています。苦労してつくっているのにも関わらず、認知度が低く、イベントを目的に商店街に足を運んでくれる人は少ないんですよね。発信力をつけて、商店街自体の集客力向上につなげていきたいです。
─── 集客のためには、情報発信が必須ですね!
早坂:クリスロード商店街は街中にあるので、店舗からすると、集客に注力しなくても勝手にやって来てくれる、という意識があったかもしれません。しかし、来店客が減少傾向にある今、情報発信による集客施策は必須だと思っています。
各店舗がもつ個性やこだわり、想いを言語化して可視化し、Google ビジネスプロフィールを活用して発信する。そういった作業を丁寧にできるようになれば、各店舗ごとの集客力向上につながります。
今回の取り組みを通して、デジタルでの情報発信への意識向上につながりました。今後はさらに各店舗の個性を発信していき、商店街全体を盛り上げていきたいです。
─── 各店舗の集客力と、商店街の集客力には相乗効果があるということですね!
商店街のデジタル化を促進
商店街全体で活用し、大きなインパクトを生み出したい
─── 今回の取り組みをきっかけに、Google ビジネスプロフィールの活用がより進むといいですね!今後どのような展開を考えていますか?
早坂:まずはGoogle ビジネスプロフィールを活用する店舗数を増やしていきたいです。そして活用の幅を広げていきたいと考えています。
昨年、大阪・心斎橋にあるなんば戎橋商店街の視察に行ってきました。戎橋商店街では、独自の方法で人流調査をやられていたんです。どの曜日のどの時間帯に、どのような人がいたのか。それらの情報がわかりやすく記録されていました。
私たちクリスロード商店街でもそういった人流調査を行ない、調査データとGoogle ビジネスプロフィールを掛け合わせて活用し、もっとおもしろい取り組みやよりよい効果につなげていきたいと構想しています。
─── おもしろいですね!まずは、活用する店舗数を増やしていくために、どのような方法が考えられそうでしょうか?
早坂:クチコミ的に広がっていくといいなと思っています。
Google ビジネスプロフィールをうまく活用している方が、検証・分析したデータや役立つ情報を周りの店舗に発信していけば、どんどん活用できる店舗数も増えていくでしょう。
倉片:皆さんプライベートではGoogle ビジネスプロフィールを使って地図検索を行なうのに、ビジネスでは十分には活用できていません。もっと意識を変えていきたいです。
早坂:現在、組合への加入率は100%ですが、加入メリットをきちんと伝えていかなければ、加入率は下がり、将来商店街はバラバラになってしまいます。ですので、加入メリットの一つとしても、Google ビジネスプロフィールの活用施策を強化していきたいです。
これからの店舗集客にはデジタル人材が必要
─── 徐々に意識を変えていくことが重要そうですね!
倉片:そうですね。
今回改めて感じたのは、お客さまに選ばれ続ける店舗であるためには、デジタル人材が必要だということです。これまでは、店舗でいかにうまく接客するかが重要でした。しかし今後は、リアルだけではなくデジタル上での接客にも力を入れなければなりません。目から鱗でした。
これまでの成功体験にとらわれず、お客さまとデジタルでの接点をもつ。今後の店舗運営には、デジタル人材が必要です。デジタルを駆使して、集客や情報提供を行なっていくことが重要ですね。
全国の商店街でも活用できそう
─── 商店街でGoogle ビジネスプロフィールを活用している事例は、おそらく国内にはなさそうです。全国の商店街の皆さんにお伝えしたいことはありますか?
早坂:ぜひ、全国の商店街で活用できたらいいなと思います。
日本の人口、働き手は減少していく一方です。だからこそ、より効率的にデジタルを活用して集客していかなければなりません。また、インバウンドのお客さまを呼び込むためにも、情報発信は必須です。
今日ではECも一般的になりましたが、私たち商店街の店舗は、ECではなくリアルな店舗に来ていただいてこそ成り立つ商売です。集客への努力は不可欠だと感じています。
牧野:宮城県中小企業団体中央会では、商店街以外にも協同組合の支援を行なっています。今回のクリスロード商店街さんの事例を、いろいろな組合に展開していきたいです。
例えば、塩釜に水産物仲卸市場があり、インバウンドのお客さまが増加しています。各店舗の情報発信を強化して、より多くのお客さまを呼び込むためにも、Google ビジネスプロフィールの活用を呼びかけていきたいですね。
ほかにも、仙台にある朝市商店街でも、近隣にホテルが多くインバウンドのお客さまが非常に多いです。ここでは人流調査を実施予定なので、Google ビジネスプロフィールの活用と組み合わせて、人の流れを意識した店舗への集客方法を考えてみたいと思います。
早坂:クリスロード商店街には、すてきな想いやこだわりをもって店舗を運営されている方が本当に多いです。そういった個性をもっと発信して、横につながっていくことができればおもしろいと思います。
Googleサービスは無料で利用できるので、もっともっと活用していきたいですね。全国の商店街さんでもぜひ試してみてほしいです!
【インタビュアー:光山 誠一(ライクル事業本部 本部長)/執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】
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