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【短歌】連作「親友」―F1カーとバン―

連作「親友」

 中学高校時代に出会い、卒業後もずっと特別に大切な存在だった友だちとのことを詠みました。掛け替えのない思い出と、そのあとに起きた、信じられないような出来事と。

全13首です。

1/3

ふたりして通った劇場放課後の舞台に見つめたそれぞれの夢

一人だけ白のニットで浮く君と並んで聴いたX JAPAN

「五十嵐はF1カーさ。俺はバン」すべてを失くした俺に笑って

君にしか言えないだから打ち明けた「力を合わせて生きてゆきたい」

2/3

「君と俺は魂の片割れだ」それは君に発した私の言葉
(彼の戯曲の最後の台詞は、かつて私が彼に向かって言った言葉だった。それはこう続く。「だから俺は、どんなことがあっても、君を守る」)

飛び降りそう 聞いて駆けつけ付き添って夜を明かした日々を忘れず

いつまでも話を聞いたいつだって妻と母とを合わせたように

名声も家族も親もある君を何もない俺が救った事実

3/3

君はもう君でないのか黒づくめ心さえもが闇と成り果て

ハイエナのように芝居のネタにするつもりか人の真心さえも

転げるほど笑って話して夜が明けたあの時さえも偽りなのか

真友と信じ続けたその人が心を閉ざす悪魔の顔で

耐へ得ぬと心の泣けばブロックす身を尽くしても助けし友を
(もう耐えられない、と私の心が泣いている。だからブロックするのだ。かつて私自身を犠牲にしてまでもその命と人生を救った親友のことを)
 
それでも大好きなNよ――


私の作品に最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。魅力をお感じ頂けましたら、そのお気持ちをお伝え下さいますと幸いです。コメント、フォロー、サポートなど、いつでもお待ちしています。私たちの心が、芸術によって通じ合いますように祈ります。

五十嵐創(Twitter & Instagram: @soh_igarashi)

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