【科学雑学#001】植物の実から生まれた大発明/果実と種子のでき方【中学理科イラスト解説】
大発明の種というのは、実は身の回りに転がっているものなんです。
しかし、その種に気付くことができるかどうかは、その人の観察眼と探求心が大切になってきます。
そんな誰にでも起こるような日常の出来事から、大発明を生み出した人がいます。
それが、スイスのジョルジュ・デ・メストラルという人になります。
メストラルは、1941年にアルプスを登山していたときに、自分の服や愛犬に貼り付いたゴボウの実を不思議に思い家に持ち帰ります。
そして、家にある顕微鏡でゴボウの実を調べて、マジックテープのヒントを得ます。
マジックテープは面ファスナーとも呼ばれているのですが、構造はフックと呼ばれるフック状に起毛したものと、ループと呼ばれるループ状に密集して起毛したものが、組合わさることで止めることができます。
メストラルは、この仕組みをゴボウの実からヒントを得ます。
そして1948年にマジックテープの研究を開始し、1951年には特許を出願し、これが1955年には認定されます。
ちなみにこのゴボウの実は、よくひっつき虫と呼ばれるのですが、これは種子が動物や人の衣服に張り付いて、生息域を広げる植物の俗称になります。
このひっつき虫には、何種類かあるのですが、今回は3種類紹介します。
まずは、オナモミなどの鉤をもつもので、表面に突き出した針の先が鉤(かぎ)になっていて、それにより引っ掛かります。
次が、センダングサなどの逆さとげをもつもので、逆向きのとげのある突起によって引っ掛かります。
最後が、ヌスビトハギなどの細かい鉤が密生するもので、種子の端や表面にごく小さな鉤が並んでついており、それにより張り付きます。
種子の形ひとつ取り上げただけでも様々な形があり、より多くの子孫を遠くまで残すために様々な進化をしてきました。
しかし種子の形だけではなく、植物は受粉の仕方も様々な方法があります。
そもそも植物の花のつくりで、種子をつくるのに重要な場所はめしべとおしべになるのですが、めしべは大きく分けて3つの部分に分けることができます。
一番先端が、花粉が付くためにねばねばしている柱頭と呼ばれる部分で、逆に下の部分が子房と呼ばれる部分になります。
子房の中には胚珠と呼ばれるものが入っており、この胚珠が子房に包まれているものが被子植物と言われるものになります。
そして、柱頭と子房の間にあるものが花柱になります。
ちなみに、柱頭におしべで作られた花粉がつくことを受粉と呼び、受粉後成長すると子房は果実になり、胚珠が種子になります。
果実と聞くと果物を思い出す人が多いと思いますが、必ずしも甘くておいしいものではないです。
例えば枝豆でいえば、さやの部分が果実になります。
めしべは3つの部分に分かれていましたが、おしべは2つの部分に分けることができます。
それが、花粉できる先端のやくと呼ばれる部分と、それ以外の花糸と呼ばれる部分になります。
実はやくは被子植物にだけあるもので、裸子植物にはありません。
それでは、やくとはいったい何なのかというと、やくの中身を見てみると小さな部屋に分かれています。
この小さい部屋を花粉のうといい、この花粉のうを束ねたものをやくと呼びます。
裸子植物の場合、花粉のうが直接雄花についた形になるので、やくとは呼びません。
そして、この花粉の運ばれ方にも様々あるのですが、今回は2種類紹介します。
ひとつが虫媒花(ちゅうばいか)と呼ばれるもので、虫によって花粉が運ばれるものになります。
虫媒花の特徴としては、強い香りがあり、蜜を出し、花粉には粘り気があり、目立つ花弁をしているものになります。
こういう花に引きつけられ、虫がやってくるのですが、実は虫によって好きな花が違っていたりします。
例えば、ハエの場合気温が低くても活動が出来るのが特徴で、特に白い花を好んだり、冬の時期に開花する植物の花粉を運んでくれます。
さらに、ラフレシアなど悪臭によってハエをおびき寄せる花もあります。
それと、花にくる虫と言えばハチも欠かすことができませんが、ハナバチは蜜が多い花を好みます。
羽根が硬い虫の総称として甲虫がいるのですが、甲虫は飛ぶのが苦手なので、小花がかたまって咲く花などの着陸面積が大きく、白い花を好みます。
ちなみに特定の花を好まないチョウのような虫もいます。
チョウに似たような虫としてガがいるのですが、ガは夕方から夜にかけて活動するので、視覚ではなく嗅覚に頼ります。
そのため、強い香りを持つ花を好みます。
こういう風に虫媒花は、来て欲しい虫によって色々な花を咲かせます。
ちなみに、虫の力を借りずに風によって花粉が運ばれる花があります。
この花を風媒花と呼ぶのですが、裸子植物のほとんどがこれに当てはまったり、他にもヤナギ科やブナ科の樹木や被子植物でもイグサ科やイネ科などがこの風媒花になります。
風媒花の特徴のひとつとしては、花弁が無くなってしまっているか退化しているので、花全体がとても地味に見えます。
イネの花のつくりとしては、柱頭が大きく発達しており、花粉の量がとても多いです。
さらに風媒花の花粉は風に乗りやすいように、空気が入る袋を持っているものもあります。
今回は、植物の実から生まれた大発明と果実と種子のでき方について紹介しました。
この記事で少しでも理科について興味を持っていただけると嬉しく思います。
You Tubeにはこの記事に関しての動画を投稿しています。
動画の最後にはちょっとした雑談を入れています。
良かったらこちらも観てもらえると嬉しいです('◇')ゞ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?