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【科学者#064】無名で難解だったため学会から無視された科学者【アメデオ・アヴォガドロ】

その当時無名だったため、重要な研究成果を残しても評価されなかった科学者は何人かいます。

例えば第56回目で紹介したグレゴール・ヨハン・メンデルは、死後30年たってから再評価され近代遺伝子学の創始者として認められます。

さらに短命だったため、生きている間に評価されなかった科学者としては第63回目ではニールス・アーベルを紹介しました。

そんなメンデルやアーベルのように死後に評価された有名な科学者がいます。

今回は、無名で難解だったため学会から無視された科学者であるアメデオ・アヴォガドロを紹介します。




アメデオ・アヴォガドロ

アメデオ・アヴォガドロ

名前:ロレンツォ・ロマーノ・アマデオ・カルロ・アヴォガドロ
   
(Lorenzo Romano Amedeo Carlo Avogadro)
出身:サルデーニャ王国
職業:物理学者・化学者
生誕:1776年8月9日
没年:1856年7月9日(79歳)


業績について

アヴォガドロの業績としてはアボガドロの法則があります。

これは、同じ圧力、同じ温度、同じ体積であれば、全ての種類の気体には同じ数の分子が含まれているというものです。

1811年にアヴォガドロは、ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックが提案した気体反応の法則とジョン・ドルトンの原子論の矛盾を説明するために、このアボガドロの法則を提案しました。

ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサック
ジョン・ドルトン

当時は物質が原子から構成されるという原子論が一般的で、一種類の元素からなる気体は原子から構成されるということが信じられていました。

そのため、アボガドロの法則は当時の学会では受け入れられませんでした。

実は、1813年に第41回目で紹介したアンドレ=マリ・アンペールも独自に研究をして同じように仮説を提案したので、アボガドロ-アンペールの法則ということがあります。


生涯について

アヴォガドロの父親は、重要な地位にいた法律家で貴族でした。

アヴォガドロは1792年に法学と哲学を修めて学校を卒業し、1796年には教会法に関する論文で学位を取得します。

大学卒業後には、法律家、弁護士として法律事務所を開きます。

1800年からは個人的に数学と物理の研究を続けて、この頃は特に電気系の研究を行います。

1803年にはトリノ科学アカデミーに初めて論文を提出し、1804年にはトリノ科学アカデミーの正会員になります。

1806年には大学の職に就き、1809年にはヴェルチェッリ王立大学で自然哲学の教授になります。

1811年にはアボガドロの法則を発見し、フランスの科学雑誌に論文を発表します。

しかし、当時アヴォガドロは無名だったことと、アヴォガドロの論文の内容が難解だったため、学会では相手にされませんでした。

1815年にはフェリチータ・マッゼと結婚し、6人の子どもが出来ます。

ちなみにアヴォガドロは家庭を愛して、勤勉で控えめな性格だったと言われています。

さらに、著名な科学者との交流は最小限にしていたため、アヴォガドロは科学界では孤立していました。

1820年にはトリノ大学で理論物理学の初代教授に就任します。

しかし、1821年に立憲と議会設置を求めた民衆反乱であるピエモンテの内乱により大学が閉鎖されます。

その後1822年7月には職を完全に失ってしまったので、弁護士事務所を開き科学実験を進めながら弁護士の仕事も行います。

1832年にはトリノ大学が再開し、数理物理学の職に第45回目に紹介したオーギュスタン=ルイ・コーシーが就くのですが、コーシーは1年後にプラハに移動してしまいます。

そのため、1834年11月28日にアヴォガドロがコーシーの後にトリノ大学の教授として就きます。

そして、気象学、計測学、統計学、度量衡などの研究を行います。


アボガドロという科学者

アヴォガドロの原子量についての仮説は、アヴォガドロの亡くなった後の4年後の1860年に科学者仲間のスタニズラオ・カニッツァーロが論文で引用したり、会議で発表することで注目を集めます。

スタニズラオ・カニッツァーロ

このことにより、アヴォガドロの研究が再評価されていきます。

アヴォガドロは、はじめ法律家として仕事をしていくのですが、趣味として数学や物理の研究をします。

そしてトリノ科学アカデミーの正会員になると、大学で職を得ることができ研究を行っていきます。

しかし、アヴォガドロの代表的な研究であるアボガドロの法則や原子量についての仮説は、アヴォガドロが生きている間には難解すぎたこともあり評価されませんでした。

今回は無名で難解だったため学会から無視された科学者であるアメデオ・アヴォガドロを紹介しました。

この記事で少しでもアボガドロについて興味を持ってもらえたのなら嬉しく思います。


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