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【健脳】MBTIの国際比較(連載4/4回)~Fが多い国、Tが多い国の傾向~

MBTIの国際比較シリーズ。前回までは、フィンランド、オランダ、ドイツ、アメリカ、日本、韓国、中国の7カ国で、どのタイプが多いか、どの指標に分類された人が多いかを比較してみてきました。

今回は、MBTIの[気質]指標の”傾向”に注目して、F(感情型)が多い国とT(思考型)が多い国を、国の情勢で比較した傾向をお伝えします。
(ちょっとした論文のように長くなってしまいました)

まずTとFの特性を知りたい方は、特性が極端でわかりやすいこちらの動画をご覧ください。脳の柔軟性が弱いと、エンパシーを得られずこうなります。
(ちなみに特性の強さと、脳の柔軟性は生活習慣で変わります)

ランキング発表

Thinking vs. Feeling
From: World Personality Map @16personalities.com
Fが多い国トップ10と、Tが多い国トップ10の地理的な分布

細かい解説(Fが多い国の特徴、Tが多い国の特徴)は結論の後に続きます。

結論

唐突ですが、ここで結論をお伝えします。F(感情型)のトップ10には、金融が盛んで、安全な、英連邦加盟国か英王室属領が並びました。一方で、T(思考型)のトップ10には、長い期間戦闘状態にある国が並びました

渡航危険情報の発令状況(レベル1黄色~レベル4赤)
外務省 海外安全ホームページより

"Tが増えて戦闘が激化した"とか、"Fが増えて経済が拡大した"というわけではなく、"脳が環境に順応して[気質]が変化した"と考えます。予期せぬ攻撃を恐れる混乱した時にTが増え、安全で変化の少ない状況ではFが増えるのは、脳の性質から考えると合理的です。

Fが多い国まとめ

  • 上位5カ国は安全。(渡航危険情報の発令がなかった)

  • 英連邦加盟国7カ国(うち英連邦王国2カ国)、英王室属領2カ国。

  • 国際金融センター3カ国。租税回避地2カ国は共に英王室属領。

  • 「安全」「英国」「金融」「低失業率」

Tが多い国まとめ

  • 国家独立で拗れて紛争になっている。(Fが多い国と対照的)

  • 歴史的に長い、民族間または国家間の紛争が多い。

  • 過激派組織や腐敗政治など反社会的活動が横行している。

  • 全土にわたって市民の生活や生命が脅かされる緊張状態。

まとめのまとめ

  • MBTIの[気質]は、環境に適応すると変化する。

  • 混沌状態が続くと、未来を合理的に予測する習慣で思考型(T)が強まる。

  • 安定状態が続くと、合理的な未来予測が廃用されて感情型(F)が強まる。

この結論に至った理由を、以下に解説しますね。

Fが多い国の特徴

Fが多い国の特徴を、この先の解説に関わる部分だけお伝えします。
治安に関しては海外安全ホームページを、国民一人当たりのGDPとジニ係数に関しては世界銀行を、失業率は国際労働機関を参考にしました。

1位 シンガポール

シンガポールは小さな島々からなる共和制国家。英連邦加盟国の1つで、世界的な金融センター(世界金融センター指数3位)としても有名です。国民一人当たりのGDPは世界5位で、失業率3.59%は世界140位。国内の治安は良さそうです。ジニ係数45.9 (2017)は先進国ではトップクラスの所得格差。

2位 ブルネイ

ブルネイはボルネオ島にある小さなイスラム教国です。英連邦加盟国の1つで、石油や天然ガスなどの資源を多く埋蔵しており、失業率4.45%は世界111位。国内の治安は良さそうです。

3位 ニュージーランド

ニュージーランドはオセアニアに位置する立憲君主制国家です。英連邦加盟国の1つで、英連邦王国の1つ。失業率3.30%は世界147位。国内の治安は良さそうです。2023年の世界幸福度は10位。ジニ係数33.9 (2019)。

4位 北マリアナ諸島

北マリアナ諸島はグアム島の北にある14の島から成るアメリカ合衆国の自治領です。民族構成はアジア人が約半分、ハワイ・太平洋系が35%。主要産業は観光業で、観光客のほとんど(7割以上)を日本人が占めています。

5位 オーストラリア

オーストラリアもニュージーランド同様、オセアニアに位置する立憲君主制国家で、かつ英連邦加盟国で英連邦王国のひとつです。国民一人当たりのGDPは世界9位で、失業率3.70%は世界134位。国内の治安は良さそうです。2023年の世界幸福度は12位。ジニ係数34.3 (2018)。

6位 ジャージー

ジャージーは英仏海峡に浮かぶチャンネル諸島のうち、ジャージー島などで構成される英王室属領です。人口は10万人程度ですが、GDPの約60%が金融業によるもので、租税回避地として知られる国際金融センターです。

7位 フィジー

フィジーはニュージーランドの北にある英連邦加盟国です。失業率4.56%は世界108位。首都圏で観光滞在者を狙った窃盗、強盗、詐欺などが多発しており、渡航安全情報は「レベル1;十分注意」です。ジニ係数30.7 (2019)。

8位 マレーシア

マレーシアは東南アジアに位置する英連邦加盟国の1つ。失業率3.63%は世界137位。ボルネオ島北東部の海域では海賊事件や身代金目的の外国人誘拐等が発生。ボルネオ北東部沿岸に限り渡航安全情報は「レベル3:渡航中止勧告」。その他地域の危険情報はありません。ジニ係数41.2 (2018)。

9位 パプアニューギニア

パプアニューギニアはオーストラリアの北、約1万の島で成り立つ英連邦加盟国。失業率2.78%は世界165位。山岳地域は部族間衝突で渡航安全情報「レベル2:不要不急の渡航中止」で、その他地域は「レベル1;十分注意」。ジニ係数41.9 (2009)。

10位 ガーンジー

ガーンジーもジャージー同様、チャンネル諸島にある英王室属領。人口は7万人弱で、こちらも租税回避地として知られる国際金融センターです。

Fが多い国まとめ

  • 上位5カ国は安全(渡航危険情報の発令がなかった)。

  • 英連邦王国2カ国、英連邦加盟国7カ国、英王室属領2カ国。

  • 国際金融センター3カ国。租税回避地2カ国は共に英王室属領。

  • 「安全」「英国」「金融」「低失業率」

Tが多い国

Tが多い国の特徴を、この先の解説に関わる部分だけお伝えします。

1位 ジョージア(グルジア)

ジョージアはトルコの北に位置し、1991年にソ連から独立した国。人口は400万人で、失業率11.68%は世界37位。独立以降も国内紛争が多く、現在もロシア国境地域でロシア軍が占領を続けており渡航安全情報は「レベル3:渡航中止勧告」。ジニ係数34.2 (2021)。

2位 ロシア

ロシアは米国の2倍近くの面積を持つ大国。失業率3.87%は世界123位。1991年ソ連崩壊後、旧ソ連の国と軍事衝突が続いている。2022年2月ウクライナ侵攻。ウクライナ国境地域の渡航安全情報は「レベル4:退避勧告」で、その他地域は「レベル3:渡航中止勧告」。ジニ係数36 (2020)。

3位 ベラルーシ

ベラルーシはウクライナの北。1991年にソ連から独立後もロシアから国家統合を迫られるなか、ウクライナ紛争後はロシア軍と民間軍事会社「ワグネル」の部隊が駐留。ウクライナ国境地域の渡航安全情報は「レベル4:退避勧告」で、その他地域は「レベル3:渡航中止勧告」。ジニ係数24.4 (2020)

4位 シリア

シリアはトルコとイラクに面したアラブ共和国連邦の1つで、汚職の多い腐敗国家として知られている。ISIL等のイスラム過激派組織、クルド勢力、シリア政府軍等が入り乱れて衝突しており、多数の死傷者が発生している。シリア全土の渡航安全情報は「レベル4:退避勧告」。ジニ係数37.5 (2003)

5位 ウクライナ

ウクライナはロシアと黒海に面し、1991年にソ連から独立。その後、国内政権は親ロ派と敵対派が繰り返される状態が続いていた。2022年2月ロシアに侵攻され、未だ終戦に至らず。ウクライナ全土の渡航安全情報は「レベル4:退避勧告」。ジニ係数25.6 (2020)

6位 イラン

イランは中東に位置するイスラム共和制国家。2020年には米軍とイラク政府の衝突があり、2022年には大規模な抗議活動があるなど複数の死傷者や拘束者が発生する状態が続いています。イラク国境地域とパキスタン国境地域の渡航安全情報は「レベル4:退避勧告」で、その他地域は「レベル3:渡航中止勧告」。ジニ係数40.9 (2019)

7位 モルドバ

モルドバはウクライナの南でルーマニアの東。1991年ソ連から独立も従来からウクライナ国境地域ではロシア軍が駐留していたが、2022年2月以降は緊張が高まっている。ウクライナ国境地域の渡航安全情報は「レベル3:渡航中止勧告」で、その他地域は「レベル1;十分注意」。ジニ係数25.7 (2021)

8位 セルビア

セルビアはルーマニアの西に位置する旧ユーゴ連邦の1国。2008年のコソボ独立宣言は一方的として、コソボ国境地域ではアルバニア系とセルビア系の間で緊張状態が継続中。コソボ国境地域の渡航安全情報は「レベル1;十分注意」で、その他地域の危険情報はありません。ジニ係数34.5 (2019)。

9位 アフガニスタン

アフガニスタンはイランとパキスタンの間に位置するイスラム国家。タリバーンによる首都制圧、「ISILホラサーン州」と称する勢力によるテロ多発など情勢・治安は極めて不安定かつ危険。アフガニスタン全土の渡航安全情報は「レベル4:退避勧告」。ジニ係数29.4 (2008)

10位 アルジェリア

アルジェリアは地中海に面する北アフリカのアラブ連盟。南の国境地域では治安当局によるイスラム過激派組織や武器・麻薬密売業者の掃討作戦中で、渡航安全情報は「レベル4:退避勧告」。その他地域でも「レベル3:渡航中止勧告」か「レベル2:不要不急の渡航中止」。ジニ係数27.6 (2011)

Tが多い国まとめ

  • 国家独立で拗れて紛争になっている。(Fが多い国と対照的)

  • 歴史的に長い、民族間または国家間の紛争が多い。

  • 過激派組織や腐敗政治など反社会的活動が横行している。

  • 全土にわたって市民の生活や生命が脅かされる緊張状態。

最後に

今回は特に超大作になりましたが、とても良い学びがありました。
”脳は環境に適応するとMBTIの[気質]指標が変化する”ということです。
混沌状態が続くと、未来を合理的に予測する習慣で、思考型(T)が強まる。
安定状態が続くと、合理的な未来予測が廃用されて、感情型(F)が強まる。
脳の習性的に非常に合理的な知見を得られてとても良かったです。

それと別に、Fが多い国は英国の関与が多かった反面、Tが多い国は米国が関与した紛争が多かったですね。主旨と違うので深堀りしませんが…

今回まで4回に渡って、MBTIのデータを国際比較しました。
話にまとまりがなかったけれど大変充実しました。今回得られた気づきは非常に多くて、それを皆さんと共有できて本当に良かったです。

統計は一旦ここまでにします。

明日からは「ルールは守るもの?従うもの?」という記事をお伝えします。「守る」は立入禁止な感じだけど「従う」は受け入れている。それらがなぜ同じ意味で使われるのか不思議になって調べた結果がまた面白かったです。

そちらもお楽しみに。

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