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食卓から世界を「ナカラ=いい感じ」な場所に変える —— ナカラマサラ 塩月孝太郎さん 【地域と歩むまちづくりvol.7】

こんにちは。沖縄県名護市の「地域の公園」coconovaです。

このnoteでは、coconovaをキッカケにあたらしいことを始めてくれた人たちのインタビューをお届けしています。

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今回は、coconovaで毎月カレーワークショップを行っている、ナカラマサラの塩月孝太郎さんをご紹介したいと思います!

塩月孝太郎
ナカラマサラ代表。長野県出身。2020年から沖縄に移住した。本業のかたわら、カレーワークショップや間借りカレー、カレー持ち寄り会などを開催している。10年間、セラピストとして自分のお店を運営していた経験もある。現在、カレー屋さん開業に向けて活動中。
Instagram→nakara_masala
Written by 平良海舟(スタジオユリグラフ

対話と共に楽しむカレー教室

coconovaで毎月行われているスパイスカレーワークショップ。参加者さん同士、和気あいあいとした雰囲気で楽しめるカレー作りの講師を務めるのは、ナカラマサラの塩月孝太郎さん。「話が脱線しすぎることもよくある(笑)」というワークショップでは、参加者さん達が料理を心の底から楽しめるよう、コミュニケーションにも気を遣っているといいます。

「いちど、『お家で料理するのが嫌い』というお母さんが参加してくれたことがあるんです。子どもたちや旦那さんが美味しそうに食べてくれないから楽しくない、と。そのときは、『子どもたちや旦那さんとか関係なく、家で自分の楽しみとしてカレーを作ってください』とお話したりしました。次の回に来た時は、『言われた通りに作ってみたらみんなすごい美味しそうに食べてくれましたー!』ってキラキラした表情で話してくれて。そういうのは、もはやワークショップとか関係なく嬉しいですね」

塩月さんがカレーに興味を持ったのは、30代に入ってからのこと。カレー屋を営む友人に触発されて、カレー教室に通ってみたのがきっかけでした。スパイスの種類や、組み合わせのバリエーションの面白さに気づき、どんどんハマっていったといいます。

「沖縄に来てから、カレーのワークショップをはじめました。知り合いの集まりでカレーの作り方を教え始めたら、『うちでも教えて』と言ってくださる人がいたりして、いろんなところでカレー教室をするようになった、という感じです」

名護市大浦のスーミーコーヒーでカレーのイベントをした時に、coconova館長の具志堅と知り合いました。それ以来、半年以上、月に一度のペースでcoconovaのカレーワークショップを行っています。現在、coconova以外の場所でもワークショップをしたり、同業者のカレー屋さん等を集めてカレーの持ち寄り会を行ったり、カフェのスペースを借りた「間借りカレー」を行ったりするなど、様々な活動をしています。

「ワークショップの参加者さん達と話をしたりしてると、カレーは、人と仲良くなるツールとしていいなあ、ということを感じてますね。今は求められてる感覚があるからワークショップをやってるけど、いろんな出会いの中で、自分の活動がどんな変化をしていくのか、それも楽しんでいる状況ですね」

長野で経営していた自宅サロンを辞めることになった転機

長野県生まれの塩月さんは、20代の頃、東京でイタリアンなどの料理人として働いていました。しかし、20代の終わりに体調を崩し、料理人の仕事を引退。その後、長野県に帰り、セラピストとして働きはじめ、10年ほど自宅サロンを経営していたといいます。

「古民家を自宅として借りて、敷地の半分をお店にしてました。整体やカウンセリングを行う場所をつくってたんです。もともとは、自分が体調を崩したことがきっかけで、整体や瞑想など、身体や精神にいいとされることを勉強してたことがきっかけです。自分と同じように困ってる人たちのために提供する場所があったらいいな、と思ってサロンをやってたんです」

40代を過ぎた頃、塩月さんは「友人の死」という転機を迎えました。仲の良かった友人が亡くなり、そのことが今後の自分の人生について見つめ直す機会になったといいます。10年間、場所づくりを行ってきたこともあって、周囲の環境も悪くなかったそうですが、もう一度、新たなチャレンジをしてみたい、という気持ちが強くなっていました。

「ちょうど同じ時期に、離婚したことも大きかった。いろいろなことが重なって、考えさせられるタイミングが来ていたんです。長野も好きだったんですけど、ずっと長野にいて、外へ出ていかないのは人生損してるなあ、と思ってきて。だから、全く環境が異なる、知り合いもいない沖縄に行ってみようと思ったんです」

「ナカラ=いい感じ」な自分をつくるカレーとは

セラピストとして働いていた頃、よくお客さんに「自分の好きなことを大切にしてください」と声掛けしていた塩月さん。しかし、自分の好きなことってなんだろうと考えてみると、きちんとした答えがあるわけではなかったといいます。塩月さんは、セラピストの仕事を辞めてから、「好きなことをしてください」という言葉が漠然とした声掛けだった、と気づいたそうです。

「カレーワークショップは、みんなからやってほしいと言われてはじめたことです。でも、やってると嫌な感じがしないし、だんだん楽しくなってきたんですよ。みんなと話をして、料理して、美味しいねって言いながらカレーを食べてると、『自分はこれが好きなんだな』ってあとから気づけたんです。楽しむことができれば、好きなことは自然と見つかるってことですかね」

最近、塩月さんはカレー屋さんをつくりたいと思うようになったそうです。新しくつくりたいお店では、お客さんがカレーの味や香りを調整できるような出し方をしたい、といいます。もしお店を出したら、ワークショップなどでお店のレシピも公開するつもりです。

「料理って、同じレシピでも、つくる人によって味がぜんぜん変わるんですよ。その人がイライラした気持ちで作ってるのか、楽しんで作ってるのかでも変わります。だからワークショップでもレシピはどんどん渡すから、楽しんで作れるようになってほしいと思ってますね。食卓がハッピーになったら、作る人も、食べる人もハッピーになるはずなので」

塩月さんの活動名「ナカラマサラ」の由来は、長野県の方言から取っているといいます。「ガラムマサラ」というスパイスをもじって、長野県の方言「ナカラ(=いい感じ)」を加えた名前です。塩月さんは、カレーを作る人も、カレーを食べるひとも、みんなが「ナカラ=いい感じ」になれるよう、願いを込めて名づけたといいます。

「新しいチャレンジをするために沖縄に来たんですけど、やっぱりチャレンジするのは怖いんですよね。ただ、そうやってビビってる自分でさえも、いまは楽しめるようになりました。飛び込んでみたら、必ず背中を押してくれる人が現れるから、あとは流れに身を任せていく。これからも、みんなが「ナカラ=いい感じ」になれるカレーをつくっていければと思います」

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