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二度とない人生だから

小学校から中学校へ転勤し、気分は一新したものの、日々提出物や会議の準備等に追われる日々が続いています。

転勤先では、先生方一人一人としっかり話をする時間をとっていくためにも、こちらから話しかけていくことに心がけようと思っていました。

しかし、日々の業務に下を向いていることが多く、一日の終わりに、今日はあの先生に話しかけられなかったなあと悔やむことがあります。

仕事に没頭して気づけば、21時を過ぎていることもあり、一緒に暮らしているのに、小学生の息子に丸二日間会えないこともありました。

妻とも事務的なことしか会話がない日々が続いていました。

長女や次女にも、新しくスタートしたそれぞれの大学生活や高校生活のことを聞いてあげれていないでいました。

満開の桜、風が吹いて舞い散る桜、新しい制服やランドセルまとった子どもが歩いていく様子…そんな4月ならではの景色も楽しめていませんでした。

そんな日々の中で、ふらっと覗いてみた学級で、担任の先生が、子どもに読み上げていた詩が胸に突き刺さりました。


二度とない人生だから
一輪の花にも
無限の愛をそそいでゆこう
一羽の鳥の声にも
無心の耳をかたむけてゆこう

二度とない人生だから
一匹のこおろぎでも
ふみころさないようこ
こころしてゆこう
どんなにかよろこぶことだろう

二度とない人生だから
一ぺんでも多く便りをしよう
返事は必ず書くことにしよう

二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに
できるだけのことをしよう
貧しいけれど
こころ豊かに接してゆこう

二度とない人生だから
つゆくさのつゆにも
めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう

二度とない人生だから
のぼる日 しずむ日
まるい月 かけてゆく月
四季それぞれの星星の光にふれて
わがこころをあらいきよめてゆこう

二度とない人生だから
戦争のない世の実現に努力し
そういう詩を一篇でも多く作ってゆこう
わたしが死んだら
あとをついでくれる若い人たちのために
この大願を書きつづけてゆこう

坂村真民『二度とない人生だから』


わたしの知人に、どんなに忙しくても、どんなに自身が苦しくても、「自分の人生にとって大切なこと」を見失わないように生きようとされてる方がいます。

わたしは、自分の人生にとって大切なことは何かと問われれば、間違いなく答えることができるようなことも、日常の中では、つい後回しになっています。

自分の命、人生、家族よりも大切な仕事なんてあるはずないことなんか、わかっているのに、消えてなくなる心配がないと思い込んでいるんでしょうね。

ああ今日も、子どもたちとリビングで一緒にテレビ観ていっぱい笑うような時間をとれなかったな。

小学生の息子にキャッチボールしようと言われていたのに、してあげれなかったな。

妻に冷たく当たってしまったなあ。

もし、明日世界が終わったら、心底悔やむだろうなあ。

自分の人生は二度とないんだということを、もう一度胸に秘めて、明日から時間を刻んでいこうと思います。


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